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僕の仕事を手伝ってくれる頭の中の小人たち

これはroot Advent Calendar 2022 のDay3記事からの転載です。自己紹介の一環となりそうなのでnoteに投稿します。



皆さん、脳内会議してますか?

脳内会議のイメージ

こんにちは。rootの古里です。普段はさまざまなお客様の新規事業開発チームで活躍するデザイナーたちのマネジメントをしています。今日はデザイナーが仕事をする時に脳内で開催される脳内会議について、その参加者と議論の様子を記事にしたいと思います。


脳内会議とは

脳内会議は漫画やアニメの中で主人公の葛藤を描く表現手法としてあります。おそらく世界的に最も有名な脳内会議映画はディズニーの『インサイド・ヘッド』ですね。

脳内会議の表現手法のうち重要なのが、主人公の行動や発言を決めるために、登場人物の主観が多様な立場に分裂し、それぞれの立場から意見を述べ合い主張を比較することです。主に喜怒哀楽のような感情を因子として立場を分けていくパターンがよく用いられており、皆さんも想像しやすいかと思われます。

ここでひとつ、人間の行動や主張を方向づけている因子に関する1つの理論をご紹介したいと思います。FFS理論という有名な理論です。平たく説明すると

  • 人間は5つの望むあり方の方向性を持っている(因子)

  • 5種類の因子の強さがパラメータとなって、個人の性格やストレス耐性が決まる。

といった内容です。FFS理論について知ってるよ!という方はこのセクションは飛ばしちゃっておkです

FFS理論とは

いわゆる性格を類型化したタイプ診断のような話のように受け入れてしまいがちですが、実際は一人の人のなかに複数の強い方向性がある状態ということのようです。確かに「あの人は我が強いタイプ」「あの人は臆病なタイプ」と類型化してしまった方が理解が単純なのは事実です。ですが、皆さん自身の内面に目を向けるとお分かりの通り、私たちは状況や動機によって多様な感情や主張を表現・行動しています。多様な感情同士がぶつかり矛盾し葛藤することもあります。つまり私たちの行動や感情は複数の方向性を持つ複雑な仕組みから成り立っていることがわかると思います。

この仕組みは複雑かつ脳の中のシナプスの信号のやり取りの中で行われているので、まだその全貌は解明されていません。なので今回は1つの見方として一人の頭の中にある複数の方向性自体を、「一人の頭の中にいる別々の人格」と捉えてみたいと思います。つまりわたしたちの行動や発言は、彼らによる脳内会議の結果決まっているというイメージができるのではと思います。

これを踏まえて、FFS理論の5つの因子についてみてみると、自分が迷いや葛藤を抱えている時にどの因子とどの因子がお互いの主張をぶつけ合っているかが自覚できてくるのではないかと思います。(この記事では5つの因子全てを説明することはしません。詳しくは動画をご覧ください。)

デザイナーとしての私の頭のなかの小人たち

というふうにFFS理論だとこんな5つに分けているんです。が、実際のところ脳の中で物理的・生理学的に5種類の何かの物質の作用でそうなっているわけでもなく、あくまで社会的・外形的な振る舞いからそう分類されているだけです。

これを我々デザイナーのワークフローで求められる思考の方向性をもとにクリエイティブにアレンジするとこんな感じに分類し直すこともできそうだなと思っています。そこで今回は僕の仕事を手伝ってくれる頭の中の小人たちを紹介してみようと思います。

監督

彼が「監督」です。僕よりもオシャレです。

凝縮性が1、弁別性が2番目に強い。細部までこだわる神経質。あらゆることにおいてディレクションを決めたがる・1つの方向性に収束させたがる。自分の中の目的や理想を基準としてそれを推進することを正義・妨げることを悪としてバッサリ判断する。

デザイナーの仕事の中だと、抽象的なコンセプトから具体的な表現を決めるときに活躍する。コンセプトのようなふわっとして正解がないことにも勇気を持って色や形を与えてくれる心強い存在。反面、正しさに厳しいので人と衝突する原因になることも。

批評家

彼女が「批評家」です。めちゃくちゃ強い女性のイメージです。

拡散性が1、凝縮性が2番目に強い。細部までよく観察し粗探ししようとしている。主に他人の行動や発言・成果物について、矛盾や欠陥を見つけるのが得意・どんな些細なミスにも難癖をつけたがる。

デザイナーの仕事の中だと、主にデザインレビューの時に登場する。レビューを推進してくれるのだが、あまりこの人に任せすぎると伝え方がキツくなるので、コメディアンにハンドリングしてもらわないといけない。

予言者

彼女が「予言者」です。なんとなく田舎のおばちゃんみたいなイメージです。

保全性が1、拡散性が2番目に強い。些細な変化によく気づき、自分の未来に関係する悪い予兆に対して防衛的な反応をする。

デザイナーの仕事の中だと、タスクの計画立案や見積もりをするときに登場する。また、突発的な出来事やチームメンバーのリアクションによって(呼んでないのに)やってくることがある。

発明家

彼が「発明家」です。抑圧から解放された見た目をしてます。

拡散性だけが突出している。大雑把な性格で、無限にアイデアや仮説が湧き出てきて全てのアイデアを試したがる。子供っぽい。

デザイナーの仕事の中だと、ユーザーの利用シーンを想像する時やソリューションのアイデアを出す時に大活躍する。

コメディアン

彼が「コメディアン」です。人間関係を円滑にするため生まれました。

受容性が1、拡散性が2番目に強い。大雑把な性格で、他人を褒めたり喜ばせたり楽しませたりするのが大好き。また、褒めてもらうのも大好物。他人の感情を動かすことに前向き。

デザイナーの仕事の中だと、日常のコミュニケーションやチームビルディングやワークショップの時など他者と関わるときに窓口を担う。


具体的に人格が登場するシーン


彼らの働きによって、例えばこんなシーンでコンビネーションで活躍してくれています。

シーン1:批評家が見つけた矛盾や一貫性のなさといった課題に対して、監督がどう対処するかのディレクションを決めてくれる。

シーン2:予言者が気づいた計画遂行に欠けているピースについて、発明家がどう回避するかアイデアを出してくれ、修正案を立てることができる。

シーン3:批評家が見つけた後輩デザイナーのデザイン案の検討もれについて、監督が抽象化しディレクションの方針を決め、コメディアンがやんわりわかりやすく伝えてあげ、気づきを与える。

自分の頭の中に仕事を進めてくれる小人をたくさん育てることは良いことがある反面デメリットもあります。

メリット

  • 他人の意見をいろんな人格が受け止めてくれるので、ストレス耐性が強くなる

  • 自分の中にいろんな人格がいるため、より多くの人の考えを理解できるようになる

  • 自分一人でいろんな人の受け止め方をシミュレーションできるため、思考する時の網羅性が上がる

  • 状況や要求に応じて、人格を使い分けることで効率的に思考・行動ができる

デメリット

  • 1つの結論を出すまでに時間・エネルギーを使う

  • 他人から見た時に、一貫性がない人と思われる可能性がある。

皆さんの中にもきっといるはず。探してみてください。彼らをうまく取りまとめられると、お仕事もうまくいくはずと信じています。

終わり

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