見出し画像

この気持ちに逆らえない。(続ける勇気について)

REO Speedwagon というバンドがいる。
全盛期からメンバーチェンジはしているものの、
今でも活動し、ライブを行っていると聞く。

アメリカのイリノイ州で生まれたそのバンドが、もっとも輝いていたのは、80年代。
自分も多感な頃だった。

その頃自分は、学生用の英字新聞を購読していた。
時事問題などは、ほとんど読まず、
ヒットしている洋楽の歌詞を採り上げ、山本さゆりさんが解説しているコーナーだけを
好んでスクラップしていた。

受験勉強に日々追われていた自分の、本当に数少ない楽しみのひとつだった。

ある時、その英字新聞のコーナーで「Cant' Fight This Feeling」という曲が採り上げられ、解説されていた。
REO Speedwagonの大ヒット曲である。(1984年のアルバム「Wheels Are Turnin'」に収録)

山本さゆりさんの訳では、
Cant' Fight This Feeling とは

「この気持ちに逆らえない」

となっていた。
要は、誰かを好きになった男性の気持ちを歌う、恋愛ソングなのだが、
その、彼が、好きな人に打ち明けるまでの葛藤や、その好きな人に見い出している「希望」が、平素な言葉でストレートに綴られた歌詞に、強く共感したのを覚えている。

You give my life direction.
You make everything so clear.

こんな風に想える人が、いつかは自分にも現れるのだろうか。
この曲の作者である、ケヴィン・クローニンの繊細そうな容貌と歌声に
いつしか、自分の憧れを重ね合わせるようになった。

彼らは、デビュー後、なかなかヒットに恵まれなかった。
強烈なオリジナリティがある訳でもなく、技術的に特に優れているとも
思えなかったが、彼らは、とにかくライブを多くまわった。
年間300本のライブをやった年もあった。
とにかく、彼らは、ライブを信条として、長い年月をかけ、自分達の
地位を、少しづつ少しづつ確立していった。
その、不器用だが、誠実な感じが、自分には他人事に思えなかった。

世間はともかく、自分の信条を貫き続けること。
派手でなくても、誰かが褒めてくれなくても、自分の信じることを
長く続けることの大切さ、すばらしさを、彼らは教えてくれた。

ほかにも彼らには名曲が多い。
興味があったら、一度ベスト盤でいいから聴いてみて欲しい。

<だそくのコト>

高校時代、選択授業で受けていた英作文の授業があった。

出来の良くない生徒であったけど、
一度だけ、自分の文章がみんなに発表され、褒められたことがあった。
好きな有名人に、ファンレターを書こうという課題で、
自分は、REO Speedwagon に「Cant' Fight This Feeling」の
歌詞を日本のファンからのファンレターとして、したためたのだった。
辞書を引かずに全ての歌詞を書ける程、この曲が大好きだった自分に、
意図せず与えられた、彼らからのプレゼントだった。

(cakesコンテスト投稿のため、再掲しました)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?