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【感想】ものをつくるひとたち(ネタバレナシ)

目安:約2200文字

※この記事は映画内容の感想ではありません

スラムダンクという少年マンガを
タイトルだけでも知っている
という人の数はかなりのものだと思う

・リアルタイムで少年ジャンプを買っていた
・兄弟が持っているコミックスを読んだ
・TVアニメを見た記憶がある
……などなど

自分と同じくらいの世代の人が持つ
この作品にまつわる体験はこんな感じかもしれない
更には、よりコアなファンや
バスケ漫画であるこの作品の影響を受けて
バスケ部に入部した、という人もいるかもしれない
リアルタイムには生まれてなかったけど
この作品が大好きという人も多いかもしれない

自身はというと
吹奏楽部に属しつつも
遊びはおおかたバスケットボールで
休み時間のたび体育館にダッシュする、という
中途半端に影響された学生時代で
ついでにマイボールも持っていたから
休みの日も近所の小学校の校庭解放に行って遊んでいた

あとは余談だけど
絵を描くのが好きだったので
誰それを描いてくれという
リクエストにもお応えして楽しんでいた

そんなスラムダンクが
劇場版アニメになって帰ってくるという

……世の中が震撼したわけである

1.原作・脚本・監督

この映画の存在を最初に知ったのは
原作者である井上雄彦先生が
『スラムダンクが映画になる』
旨の発信をしたことだったと思います

そこから公開までの時間が結構あったので
その後の時系列が曖昧だけど
とにかくその発信の後
井上先生が脚本と監督もされるという
決定事項を知りました

2.小説と漫画の違い?

既に発表されている作品が映像化される
というのはよくある話で
小説原作のテレビドラマや映画も多いですね
漫画原作の映像作品も
もちろんたくさん存在します

その際、原作もしくは原作者が
どこまで関わるのかというのは
ものすごく繊細な事柄だと
今回の井上先生の件で感じるようになりました

小説は小説家のもの
映画は映画監督のもの

そういう言葉は聞くし
実際そうなのかなと思います
プロデューサーの目に留まった原作が
監督のフィルターを通して
どのような作品になるのか

小説と映画は作品としては別のものである

というのも聞いたことがあって
たぶんそうなんだろうなと思います

文字情報だけで描かれた小説の世界に
形や色、光、音などを与えて
ある種の『正解』を作り出す
それが映像化だと感じているからです

ただ、漫画は
小説以上の情報が既に原作にあり
だからこそアニメ化や実写化などの際に
懸念を抱く人が一定数いるのも
まあまあ頷けます

ファンが好きなものの『正解』が
既に原作の中にたくさん存在するからです
キャラクター、舞台背景など
決定的な視覚情報が既に豊富です

原作が小説よりも、漫画の方が
映像化するための
(制作する方々の)ハードルは高いのかな
と思っています

今回の場合は『原作』以外にも
過去に一度『TVアニメ』としての
正解を出しているだけに
どの部分を好きかとういうファン個々の基準によって
見方も感じ方も期待の仕方も千差万別

これだけ多くのファンを抱えた作品なので
決定事項の公式発表もタイミングや方法が
そうとう難しいものだったのではと思います

3.先生の創り出す正解

自分は結構何事もふわっとしているのか
原作もアニメもリアルタイムで好きだった勢ですが
井上先生の創り出す正解のみが楽しみだったので
公開前にいろいろ世間が心配していた事は
あまり気にならず
公開初日に映画館に行ってきました

率直な感想は『ヨカッタ

先生の創り出す正解を観れたこと
評判を耳に入れず初日の朝に映画館へ行けたこと
この作品が大好きだったこと
良かったヨカッタ

劇場に持って入ったお茶を
結局一滴も飲まずに食い入るように観ていた
感動と一言で言うには惜しいくらいの不思議な感情で
劇場の明かりが点くまで
じっとスクリーンから目が離せなかった
井上先生アリガトウ

明確で具体的で強い正解を持っていたら
原作者もどんどん映像化サイドに挑んだ方が
描きたい想いや世界が伝わるんだなと感じました

とはいえやはり
この作品が、より多くの正解を内包した
『漫画』であったこと
それから井上先生とこの作品が
圧倒的に認知されていたこと

これらの要因があったからこその
結果なのかなと思うと
やはり今のところは
原作と映像化作品は
別物と考えた方がいいのかもしれません

4.ものをつくるひとたち

この世の中には、たくさんの
ものをつくるひとたちがいます
考え方はたくさんあると思いますが
その中のひとつに『売れる・売れない』というものがあります
確かに、売れなければ次につながらないし
売れたらそれだけ広く伝わっていきます
『描きたいものを、想いだけで作っていても売れない』
という意見があるのも一理あると思っています

今回の映画に関して言うと
すでにこの『売れた』事実が根底にある作品
というのが前提にはなってしまうのですが
その上で『創りたいもの』『描きたいもの』『想い』
などを大切にされたんじゃないかなと
感じました

井上先生の絵が自然に動き出したようなリアル
映画館ではなく体育館で試合観戦をしているようなリアル
声や音や色が付けられたような気がしないリアル
もしかすると、井上先生が表現したかったのは
デフォルメに注力して作り上げる感動作品ではなく
リアルの中から湧き出る気付きによって感動できる作品だったのかもしれない

『売れる売れない』と『想い』の比重は
絶妙なバランスで成り立っていると思いますが
『ブレない想い』も
大なり小なり
その時に必要なバランスで持ちながら
ものづくりをしていけたらいいなと
改めて思いました

つまり、映画公開初日に観れたよ!
ヨカッタよ!
自分もがんばるよ!
というおはなしでした

もしよろしかったらネタバレアリの記事↓もご覧くださいませ!

最後まで読んでいただきありがとう
ではではまたまた

梅本龍

最後まで読んでいただきありがとうございます!