都知事選は衆院選の試金石となるか?
東京都知事選も終盤に差し掛かり、情勢が見えてきたようだ。
立憲民主党にとって想定外だったのは、前安芸高田市長の石丸伸二氏が、予想外に支持率を伸ばしているのではないか?と言う点だろう。石丸氏はインターネット上での支持を拡大し、寄付金も2億円に達しようとしており、資金的にも余裕がある状態で、一層、街頭演説で聴衆を集める戦略に出ている。
今や、YouTubeをはじめとするSNSにおける利用は、中高年が増加していて、石丸氏のような改革路線を打ち出す候補者は、小池百合子氏を嫌う有権者や、これまでの都政に対して疑念を持っている有権者に対して、支持を訴えるに都合が良い。
筆者は石丸氏を支持してはいない。何故なら、蓮舫氏以上に国政に打って出ることを目標にしている石丸氏のような候補者は、地方都市の首長の経験があったとしても、東京都のように潤沢な予算と東京ならではの地方行政を行なっている大都市の舵取りは不可能だと考えているからだ。
それに加え、石丸氏には都政に対して具体的な政策、公約が打ち出せてはいない。いくら地方都市での首長経験があるとは言え、大都市東京に対して、現状を踏まえた新たな施政方針を打ち出すだけのブレーンも、本人の策もあるようには見えず、今回は落下傘的な候補者として知名度は上がるだろうが、本来目的としている国政に向けての地ならし程度に見ておいた方がいいだろう。
問題は、無所属となって東京都の無党派層への支持を拡大したかった蓮舫氏だ。現段階でその思惑とは裏腹に、支持率が上昇しない。この原因は、一重に、東京都知事に落選しても衆院への鞍替えをすれば良いと考えている浅はかさを有権者に見抜かれている点と、日本共産党と組んだことによる都民の反発が支持率に表れているからだろう。日本共産党お得意の事前運動に巻き込まれてしまったのも、大きな要因かもしれない。
これは必ずしも蓮舫氏や、立憲民主党東京都連の手塚幹事長が悪いわけではない。両名とも、先の衆院補選で自民党系候補者が連敗したことを受け、次に行われる衆院解散に向けて起爆剤となる候補者として蓮舫氏に目をつけたのは、宜なるかな、なのだ。
つまり、次の衆院選を踏まえてインパクトのある候補者として蓮舫氏を担いだのだが、しかし、立憲民主党だけで東京都知事になれるほど甘いものではないと知っている。そこで、組織票を持つ日本共産党への協力を打診したのだろう。日本共産党が蓮舫支持に回るとなれば、立憲民主党の支持基盤の一つである連合の支援を受けられないことは容易に想像がついた筈だが、手塚東京都連幹事長は固い組織票として共産党を選択した。
ところが、である。
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