見出し画像

次年度に向けて(2023年度 宗務の基本方針・唱和推進の具体策に関する評価)

お詫び
この1年、浄土真宗本願寺派に関わる方々に不安や不信を募らせることになり、誠に申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます。今、改めてこの1年を振り返る時、宗派には自らの過ちに気付いて欲しいと願うと同時に、それは自分自身の問題でもあることを気付かされました。

今回の騒動はさまざまな要因が考えられますが、そのひとつには、我々僧侶が宗派の動きにあまり注目してこなかったことがあげられます。それによって組織の閉鎖性が強まり、中で何をやっても歯止めのきかない状況が生まれていたことに気付けませんでした。我々宗門人の意見を集約し宗会の場に届け「ご法義を伝える宗務への提言をする」宗会議員は、我々が選出した各教区の代表ですが、その代表者が何を目指しどのような行動をしているのかも関心を持っていませんでした。この騒動の責任は我々にもあります。

今回の問題を機縁に、ご法義を第一義とし、宗派の動きに目を背けることなく、一歩でも収束にむかえるように努めてまいります。引き続き恥部を晒すようなこともあると思いますが、それは収束に向けた行いであることをご理解ください。どうぞよろしくお願い申しあげます。


2023年度が残り2ヵ月少しとなり、本願寺では来月下旬より定期宗会が行われます。ここでは非公式ではありますが、「新しい領解文」の唱和推進を含む「宗務の基本方針・具体策」を振り返ってみました。「新しい領解文を考える会」から見たいち評価です。宗会議員の方々におかれましては、さらに詳しく評価をした上で、次年度の基本方針を考えていただきたいと願っております。


①慶讃法要について

【具体策】
・宗派公式WEBサイト、宗報2月号等で周知
・慶讃法要の参拝のしおりに消息全文と唱和用の掲載
・拝読、唱和を組み入れた慶讃法要御堂プログラムを策定
・布教団連合との連携のもと、布教使へ内容理解を図る
・記念布教講師、白洲布教講師、教区における法要行事特命布教講師への内容理解を図る
・教区、組、直轄寺院、直属寺院における法要行事に際し、プログラム中に唱和を組み入れるよう通知

慶讃法要についての具体策

具体策の業務は滞りなく遂行されているが、「新しい領解文」の認知がない中で反強制的な唱和がはじまったため、全国からさまざまな声が上がった。特に唱和に対してどのような態度で臨むのかに多数の声が寄せられ、当会より匿名アンケートで慶讃法要の唱和に対して問うたところ、
「黙っている」46%
「お念仏や従来の領解文を出言する」17.7%
「唱和する」8.1%
「迷っている」7.7%
「黙読する」7.4%
「参加しない」5.1%
「退席する」5%
という結果で、それぞれに困惑している様子が伺える。

荻野総務は学習会で、「ほとんどの人たちは唱和していた」というが、まだほとんどの人が知らない上で法要中に唱和を促せば、そのまま従う人が多数なのは必然である。それはひとえに先人の方たちが築いてきた本願寺の信頼度をあらわしているとも言えるが、「新しい領解文」が認められたとするのは無理がある。また、声を出さずとも多くの人たちが悩んでいたことを宗門は把握しなければならない。

②各種発行物・掲示物等への掲載について

【具体策】
・本願寺新報2月1日号、宗報2月号、宗派WEBサイト等に掲載
・各宗務期間及び組事業所を通じて全国寺院に配布する
・日常勤行聖典の再販までの間、用紙を挟み込み販売
・聞法会館に消息全文を掲示
・中央宗務期間から発行の冊子等の掲載物、各種会議や研修会等のレジュメ、研修冊子等の資料に掲載するよう指示
・地方宗務機関に普及策を企画検討し実施するよう指示

各種発行物・掲示物等への掲載についての具体策

・本願寺新報に毎号表紙に掲載されていることに落胆の声が複数あがる。
・大きなポスターが各寺院に届いたが、本願寺へ送り返したという報告もある。実際に掲示している寺院がどれほどあるのか調査する必要あり。
・総合研究所発行「新時代の浄土真宗」を全寺院に郵送することによる費用対効果はいかほどか。この書籍は勧学寮は携わっている形跡がなく、満井秀城所長が中心になっていることに疑問が残る。
・日常勤行聖典に「新しい領解文」が収録される前に聖典を求める人が殺到した。その後、収録された聖典となってからは、購入を断念する声が上がっている。

③解説・普及本、物品等の頌布について

【具体策】
・本願寺新報2月1日号に勧学寮による解説を掲載
・本願寺出版社からわかりやすい解説本等を頌布する
・本願寺出版社から物品を頌布する

解説・普及本、物品等の頌布についての具体策

・勧学寮の解説に関しては多数疑義が生じている。
・「わかりやすい解説本等の頌布」はまだ発行されていない。
・わかりやすくはないが、学習会の後半から総合研究所の名で『なぜ「私の煩悩と仏のさとりは本来一つゆえ」なのか』が配布され、早々に批判の声が出ている。

④宗務所朝礼について

【具体策】
・1月17日の宗務所朝礼から拝読、唱和している
・地方宗務機関における朝礼で必ず拝読、唱和するよう指示

宗務所朝礼についての具体策

宗務員の方たちはどのようなお気持ちなのだろうか?これまでにも「私たちのちかい」など施設内に唱和が放送されていたため、すでに日常化されていると推測されるが、宗務員でここをご覧の方は、匿名でかまいませんので率直な感想をお待ちしております。情報の匿名性は厳守します。現場の声が何よりも大事であると考えます。
thinkout.ryouge@gmail.com

⑤学習会の開催

【具体策】
・全国教区、沖縄特区での学習会を開催し中央宗務機関から講師を派遣する

学習会の開催についての具体策

・8/30の北豊教区よりスタートする。開催時期が遅いという声あり。
・勧学寮は講師を辞退し、満井秀城勧学が代理をつとめる。学習会では全教区、批判の声が絶えず、それを納得させるだけの返答を出せずに混乱を助長させた。
・各教区の状況は以下の記事に一部掲載。
・終了時期が遅い。全教区終了してから総括すると次年度の計画に反映させられないため、途中経過を随時まとめて進めていたのか。

⑥その他

【具体策】
・得度式や御正忌報恩講法要での改悔批判は、内局において検討、協議がなされる
・僧侶養成機関(仏教学院、習礼教習所、勤式指導所、布教使過程等)において、毎日1回の拝読、唱和を徹底する。また、カリキュラム内に内容理解をはかる講義を設ける
・教化団体の各種会合等において、拝読、唱和するよう徹底を図る
・龍谷総合学園加盟学校に対して、教職員を対象に研修会等の開催を要請
・宗務科の学生生徒に対し、内容理解を図り拝読、唱和するよう要請
・「仏教」や「宗教」の講義において内容理解を図るよう要請する。なお、「私たちのちかい」については引き続き学校行事や日常仏参等で唱和し講義において内容理解を図るよう要請
・次回の宗勢基本調査(2026年1月)において、寺院行事での唱和100%をめざし、さらなる周知に努める。

その他の具体策

・「得度式」に暗唱が義務付けられる。それによって、得度受式を断念した人が複数名あった。
・「改悔批判」は、「従来の領解文」と「新しい領解文」の両方が使用される。安心の要となる「改悔批判」には「新しい領解文」を用いないようにと学習会でも声があがったが、それを全く聞き入れずに使用したことによって、反感が強まり混乱はより深まった。
・「得度式」と「改悔批判」は内局が担当となるが、ご消息の発布を申達した総局に全責任がある。また、総局と内局が話し合う「総合調整会議」において総局は内局に対してどのような意見を述べているのか。得度と改悔批判の使用に関して、学習会の声が内局に届いていないのではなかという不信が生まれている。
・宗門校では、批判的観点から自主的な勉強会が設けられたと報告があった。
・2026年までに唱和100%のところ、現在は何パーセント達成しているのか調査する必要あり。
・伝道院では、受講生に対して事務局(僧侶養成部)から「疑問に思うことがあっても批判はしないでください」と忠告があったと報告を受けた。

※この記事の公開時は上記の箇所を「受講生に対して講師から」と記していましたが、情報提供者に再確認したところ、講師ではなく事務局の言葉であったため訂正しました。別の情報では「疑問を投げかけることは構わないが、そこを通り越して宗派批判には至らないようにしてもらいたい」というニュアンスであったという指摘もありました。いずれにしても講師の方々には大変失礼いたしました。お詫び申し上げます。

宗門校に通った人たちの生の声はあまり得られていないため、ここをご覧の方がおられましたら、匿名でかまいませんので率直な感想をお待ちしております。情報の匿名性は厳守します。現場の声が何より大事です。
thinkout.ryouge@gmail.com

それ以外の総局が行った対応(懲戒申告)

・徳永前寮頭を懲戒申告する
・「勧学・司教有志の会」代表の深川宣暢勧学を懲戒申告する。

ご法義に誤解を生む可能性があることを指摘したことが懲戒申告にあたるならば、それは言論弾圧であり、権力の乱用と受け取られるのではないか。騒ぎの元はどこにあるのか。極めて大きな遺恨を残すことになり、本願寺派の僧侶や門信徒の間では、「次は誰か」と不信と不安の声が広がっている。

尚、徳永和上が武田前執行長をとおして発言したことや、勧学司教有志の会の声明が騒ぎを大きくしたと総局は考えているようだが、当会のFacebookグループのアクセス数によると、騒ぎのピークは3月29日の慶讃法要初日にある。また、その後の動きではこのサイト(note)のアクセス数を見ると、徳永和上の発言や有志の会の声明が突出しているわけではなく、総長選挙や得度の暗唱、改悔批判に「新しい領解文」を使用したことへの記事にアクセスが多く、現在は深川宣暢勧学を懲戒申告した記事が注目されているなど、むしろ宗派の行動に注目が集まっている。騒ぎの原因を外に探すのではなく、内にあることを省みなければ事態の収束は望めないだろう。

2023年2月5日に開設した「Facebookの非公開グループ」は、閉鎖する6月9日までのおよそ5か月間、1日平均67件のコメントがあり、総リアクションは82,538件にのぼる。会員数は最終的に1,821名。その多くが批判的な内容であった。


いただいた浄財は、「新しい領解文を考える会」の運営費に活用させていただきます。