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どうして生じた?領解文問題

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改めて領解文問題を考えます。 宗門に長年携わっている松月博宣さんの連載です。
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#本願寺

どうして生じた?領解文問題 vol.15

松月博宣ノート 例証編⑰悲痛な声 今回の領解文問題は、その制定の経緯に疑義があるという点と、その内容に多くの真宗門徒の理解が得られないという点があります。ご門徒に読んでもらうことで理解してもらおうと「解説文」を、消息同意の条件として勧学寮が出されたものを読んでも、ますます分からなくなるという奇妙なループに陥ります。 制定の経緯については、「手続きに瑕疵はない」という木で鼻を括ったような説明で終始しています。「こうこう、このように制定したのだから瑕疵はない。これについては

どうして生じた?領解文問題 vol.14

松月博宣ノート 【例証編】⑫「こうあるべき」の呪縛 これは2021年11月22日の宗門総合振興計画事業の進捗状況点検のおり、 見込まれる成果として書き込まれている文章です。ここで「ご親教三部作」を「ご文章」と表現している事に驚きます。おそらく『ご親教3部作』を「現代版ご文章」と位置付け、『新しい領解文』を「現代版領解文」とした上で、これからの浄土真宗本願寺派の教化の柱とする目論見がはっきりと見て取れます。 ご親教3部作の《「念仏者の生き方」「私たちのちかい」「浄土真宗の

どうして生じた?領解文問題 vol.12

松月博宣ノート 【例証編】①引き継がれた新総局 池田新総局となりましたが、これで新しい「領解文」問題の終息はますます遠くなったように思え今日もため息とともに目を覚ませました。池田氏は石上氏を継承して「新しい「領解文」をこれからも推進していく」と支持を取り付け総長になり、指名受諾演説でもそのことを明言しています。従い新総局もその路線に賛同した方々によって構成されているものと思います。 もし「私は本当はあの領解文には納得していないのだが」と言う方があれば、それは即ち「局内不

どうして生じた?領解文問題 vol.11

松月博宣ノート 門主制についての一考察⑥ 今回の混乱はご門主と石上さんの歪な関係性が災いしていると私は考えています。法灯継承式は2014年6月、園城前総長の時でした。その2ヶ月後の7月末に病気で倒れられ、9月初頭に療養に専念する為に辞意を表明され、9月10日に臨時宗会の招集を自らされ評決の結果、総長辞任が認められました。 その臨時宗会で総長候補として本多氏と石上氏の2名が門主より示され(いわゆる「玉手箱」)、次の日の選挙で石上さんが総長に就任することになったのです。 こ

どうして生じた?領解文問題 vol.8

松月博宣ノート 検証⓫大きな錯誤 「唱和」と「出言」、言葉の違いだけだろうという意見もあるかもしれません。ここは宗教的行為で言っているのです。「唱和」は他者からの強制を伴うもの。「出言」は自発的表出。この違いは大きいと考えています。 「ご消息」にも「宗務の基本方針」にも唱和することの意味が検討がなされている形跡は見当たりません。実に安易に用いておられるように感じられるのです。それは「領解文」の重みを検討しなかったことに原因があるように思われます。ご消息に ここに領解文

どうして生じた?領解文問題 vol.6

検証❶宗門の抱える病理 新しい「領解文」についての消息発布の経緯について、その不可解なことの背景を管見の誹りを受けることを恐れず書いてみました。今回の「西本願寺・令和の迷乱」とも名付けたい程の混乱は宗門が抱えていた問題を露呈した状況となり、それがもたらす影響は計り知れないものがあります。 1つには宗門内に惹起した相互不信感 2つには宗務機構の脆弱さ 3つには総長門主複数指名制の危険性 4つには勧学寮の信用失墜 5つには宗会の宗務行政チェック機能能力の低下 6つには宗会議員

どうして生じた?領解文問題 vol.5

松月博宣ノート 補遺(11)「権威」にたよる宗務運営 先に記した「顧問弁護士」も世俗の権威、「出身大学」も権威、それどころか現代版領解文制定に関しても権威。何かに付けて「権威あるもの」を求められる宗務姿勢には目を背けたくなります。「権威」は強者の論理だと思うのです。そこに弱き者、声を上げられない者、弱者への視点は欠けています。浄土真宗・親鸞聖人の教えに一番そぐわないのが「権威」でありましょう。実は先の「制定方法検討委員会」でも委員の勧学さまは設置規程の変更まで意見として述

どうして生じた?領解文問題 vol.4

松月博宣ノート 補遺(6)現代版「領解文」制定方法検討委員会設置規程 まるで火曜サスペンスドラマの容疑者がアリバイ工作した上での弁明との印象を受けたと前回申しましたが、それを裏付けることが「現代版領解文制定方法検討委員会」であっていたようです。 まず設置規則を全文あげておきます。 補遺(7)制定方法を検討する場 (6)でご覧になった設置規程で発足した委員会ですがその冒頭に「現代版「領解文」制定方法検討委員会の位置付けと役割」が以下のように明示されています。 従って

どうして生じた?領解文問題 vol.3

松月博宣ノート 補遺(1)進退伺い ご消息発布までの経緯を私なりに記してきました。 こうした事を公にすることに正直、少し躊躇いがありましたが、この度のことが単なる噂話として広がると事が余計ややこしくなってしまう。ここら辺りで正確な情報を知ってくださった上で、この度の混乱の問題点を一緒に考えてくださればと「新しい領解文を考える会」福岡・北豊LINEグループ上(現在288人参加)に投稿をし続けています。 徳永一道勧学寮頭は本願寺新報2月1日号紙面に「解説文」の掲載を確認され

どうして生じた?領解文問題 vol.2

松月博宣ノート ⑥現代版「領解文」制定方法検討委員会 さて勧学寮がご消息に同意した経緯に話を戻しましょう。 ここで少し、その前段階をお話しした方がわかりやすくなると思います。現代版「領解文」制定方法検討委員会なる訳のわからない委員会(注/寮頭発言)が設置されたのは2022年4月1日付け宗則によってです。これは2022年3月25日、宗派の議決機関である常務委員会で法規事案「現代版『領解文』制定方法検討委員会設置規程宗則案」として提案され、その提案理由として「第1期計画当初か

どうして生じた?領解文問題 vol.1

松月博宣ノート ①宗門法規 この度のご消息発布に疑義があるという意見が多数あります。それはどこがどうして疑義を生んだのか?ということを整理しておく必要があります。それにはまず、私たちの浄土真宗本願寺派は何によって運営されているのか?から知っておく必要があると思うのです。 それは「宗門法規」に全ての根拠を置いて運営されています。これに沿わないものは認められない形になっています。根本は「宗制」です。これは国で言えば「憲法」のようなものです。そこには本尊・聖教・教義・歴史・宗