マガジンのカバー画像

どうして生じた?領解文問題

18
改めて領解文問題を考えます。 宗門に長年携わっている松月博宣さんの連載です。
運営しているクリエイター

#門主

どうして生じた?領解文問題 vol.15

松月博宣ノート 例証編⑰悲痛な声 今回の領解文問題は、その制定の経緯に疑義があるという点と、その内容に多くの真宗門徒の理解が得られないという点があります。ご門徒に読んでもらうことで理解してもらおうと「解説文」を、消息同意の条件として勧学寮が出されたものを読んでも、ますます分からなくなるという奇妙なループに陥ります。 制定の経緯については、「手続きに瑕疵はない」という木で鼻を括ったような説明で終始しています。「こうこう、このように制定したのだから瑕疵はない。これについては

どうして生じた?領解文問題 vol.14

松月博宣ノート 【例証編】⑫「こうあるべき」の呪縛 これは2021年11月22日の宗門総合振興計画事業の進捗状況点検のおり、 見込まれる成果として書き込まれている文章です。ここで「ご親教三部作」を「ご文章」と表現している事に驚きます。おそらく『ご親教3部作』を「現代版ご文章」と位置付け、『新しい領解文』を「現代版領解文」とした上で、これからの浄土真宗本願寺派の教化の柱とする目論見がはっきりと見て取れます。 ご親教3部作の《「念仏者の生き方」「私たちのちかい」「浄土真宗の

どうして生じた?領解文問題 vol.11

松月博宣ノート 門主制についての一考察⑥ 今回の混乱はご門主と石上さんの歪な関係性が災いしていると私は考えています。法灯継承式は2014年6月、園城前総長の時でした。その2ヶ月後の7月末に病気で倒れられ、9月初頭に療養に専念する為に辞意を表明され、9月10日に臨時宗会の招集を自らされ評決の結果、総長辞任が認められました。 その臨時宗会で総長候補として本多氏と石上氏の2名が門主より示され(いわゆる「玉手箱」)、次の日の選挙で石上さんが総長に就任することになったのです。 こ

どうして生じた?領解文問題 vol.10

松月博宣ノート 門主制についての一考察① 新しい「領解文」についての消息が発布され、その内容とともに発布の経緯に疑義があると宗門内は混乱の極みにあります。また一般メディアもこの問題を宗門を分断するほどの内紛であると報道する向きもあります。同時にご消息を発布した門主にその責任があり「門主制」そのものの在り方を問うという意見も散見されます。筆者はこの度の混乱の主因を単に門主制に求めるならば問題の所在が明らかになる事はないと考えます。 この度の混乱は「門主制」を巧みに総長が利

どうして生じた?領解文問題 vol.9

松月博宣ノート 検証⓲最高議決機関「常務委員会」 宗報4月号に「常務委員会の主な審議要旨」が掲載されてますが、石上氏の著書で「やはり」と危惧した箇所が総長答弁に使われていました。それは あの石上智康氏の著書(生きて死ぬ力)を読んで、当該文章の所で「きっとこの文章はアリバイ作り(私は関与していませんよ)のために「増補版」にわざわざ書き込んでいるな」との印象を持ちましたが予想は当たっていました。実に用心深く用意周到に計画されていることに舌を巻きます。 「宗報2023年4月

どうして生じた?領解文問題 vol.8

松月博宣ノート 検証⓫大きな錯誤 「唱和」と「出言」、言葉の違いだけだろうという意見もあるかもしれません。ここは宗教的行為で言っているのです。「唱和」は他者からの強制を伴うもの。「出言」は自発的表出。この違いは大きいと考えています。 「ご消息」にも「宗務の基本方針」にも唱和することの意味が検討がなされている形跡は見当たりません。実に安易に用いておられるように感じられるのです。それは「領解文」の重みを検討しなかったことに原因があるように思われます。ご消息に ここに領解文

どうして生じた?領解文問題 vol.7

松月博宣ノート 検証❻宗務の基本方針 前項で転載した基本方針策定の理念のもと第321回定期宗会で議決されたのが今年度の「宗務の基本方針」です。以下それも記載しておきます。 と、なっています。ざっと読んだら本願寺派として当然の事項が並んでいるように思えます。が、これの具体策こそが総局の目指す所なのです。その具体策は宗会ではなく常務委員会で議決されているのです。 その具体策をいちいち揚げればキリが無いので、今回の「新しい「領解文」関連」の箇所だけここに転載しておきます。

どうして生じた?領解文問題 vol.6

検証❶宗門の抱える病理 新しい「領解文」についての消息発布の経緯について、その不可解なことの背景を管見の誹りを受けることを恐れず書いてみました。今回の「西本願寺・令和の迷乱」とも名付けたい程の混乱は宗門が抱えていた問題を露呈した状況となり、それがもたらす影響は計り知れないものがあります。 1つには宗門内に惹起した相互不信感 2つには宗務機構の脆弱さ 3つには総長門主複数指名制の危険性 4つには勧学寮の信用失墜 5つには宗会の宗務行政チェック機能能力の低下 6つには宗会議員

どうして生じた?領解文問題 vol.3

松月博宣ノート 補遺(1)進退伺い ご消息発布までの経緯を私なりに記してきました。 こうした事を公にすることに正直、少し躊躇いがありましたが、この度のことが単なる噂話として広がると事が余計ややこしくなってしまう。ここら辺りで正確な情報を知ってくださった上で、この度の混乱の問題点を一緒に考えてくださればと「新しい領解文を考える会」福岡・北豊LINEグループ上(現在288人参加)に投稿をし続けています。 徳永一道勧学寮頭は本願寺新報2月1日号紙面に「解説文」の掲載を確認され

どうして生じた?領解文問題 vol.2

松月博宣ノート ⑥現代版「領解文」制定方法検討委員会 さて勧学寮がご消息に同意した経緯に話を戻しましょう。 ここで少し、その前段階をお話しした方がわかりやすくなると思います。現代版「領解文」制定方法検討委員会なる訳のわからない委員会(注/寮頭発言)が設置されたのは2022年4月1日付け宗則によってです。これは2022年3月25日、宗派の議決機関である常務委員会で法規事案「現代版『領解文』制定方法検討委員会設置規程宗則案」として提案され、その提案理由として「第1期計画当初か

どうして生じた?領解文問題 vol.1

松月博宣ノート ①宗門法規 この度のご消息発布に疑義があるという意見が多数あります。それはどこがどうして疑義を生んだのか?ということを整理しておく必要があります。それにはまず、私たちの浄土真宗本願寺派は何によって運営されているのか?から知っておく必要があると思うのです。 それは「宗門法規」に全ての根拠を置いて運営されています。これに沿わないものは認められない形になっています。根本は「宗制」です。これは国で言えば「憲法」のようなものです。そこには本尊・聖教・教義・歴史・宗