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どうして生じた?領解文問題

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改めて領解文問題を考えます。 宗門に長年携わっている松月博宣さんの連載です。
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2023年5月の記事一覧

どうして生じた?領解文問題 vol.11

松月博宣ノート 門主制についての一考察⑥ 今回の混乱はご門主と石上さんの歪な関係性が災いしていると私は考えています。法灯継承式は2014年6月、園城前総長の時でした。その2ヶ月後の7月末に病気で倒れられ、9月初頭に療養に専念する為に辞意を表明され、9月10日に臨時宗会の招集を自らされ評決の結果、総長辞任が認められました。 その臨時宗会で総長候補として本多氏と石上氏の2名が門主より示され(いわゆる「玉手箱」)、次の日の選挙で石上さんが総長に就任することになったのです。 こ

どうして生じた?領解文問題 vol.10

松月博宣ノート 門主制についての一考察① 新しい「領解文」についての消息が発布され、その内容とともに発布の経緯に疑義があると宗門内は混乱の極みにあります。また一般メディアもこの問題を宗門を分断するほどの内紛であると報道する向きもあります。同時にご消息を発布した門主にその責任があり「門主制」そのものの在り方を問うという意見も散見されます。筆者はこの度の混乱の主因を単に門主制に求めるならば問題の所在が明らかになる事はないと考えます。 この度の混乱は「門主制」を巧みに総長が利

どうして生じた?領解文問題 vol.9

松月博宣ノート 検証⓲最高議決機関「常務委員会」 宗報4月号に「常務委員会の主な審議要旨」が掲載されてますが、石上氏の著書で「やはり」と危惧した箇所が総長答弁に使われていました。それは あの石上智康氏の著書(生きて死ぬ力)を読んで、当該文章の所で「きっとこの文章はアリバイ作り(私は関与していませんよ)のために「増補版」にわざわざ書き込んでいるな」との印象を持ちましたが予想は当たっていました。実に用心深く用意周到に計画されていることに舌を巻きます。 「宗報2023年4月

どうして生じた?領解文問題 vol.8

松月博宣ノート 検証⓫大きな錯誤 「唱和」と「出言」、言葉の違いだけだろうという意見もあるかもしれません。ここは宗教的行為で言っているのです。「唱和」は他者からの強制を伴うもの。「出言」は自発的表出。この違いは大きいと考えています。 「ご消息」にも「宗務の基本方針」にも唱和することの意味が検討がなされている形跡は見当たりません。実に安易に用いておられるように感じられるのです。それは「領解文」の重みを検討しなかったことに原因があるように思われます。ご消息に ここに領解文

どうして生じた?領解文問題 vol.7

松月博宣ノート 検証❻宗務の基本方針 前項で転載した基本方針策定の理念のもと第321回定期宗会で議決されたのが今年度の「宗務の基本方針」です。以下それも記載しておきます。 と、なっています。ざっと読んだら本願寺派として当然の事項が並んでいるように思えます。が、これの具体策こそが総局の目指す所なのです。その具体策は宗会ではなく常務委員会で議決されているのです。 その具体策をいちいち揚げればキリが無いので、今回の「新しい「領解文」関連」の箇所だけここに転載しておきます。

どうして生じた?領解文問題 vol.6

検証❶宗門の抱える病理 新しい「領解文」についての消息発布の経緯について、その不可解なことの背景を管見の誹りを受けることを恐れず書いてみました。今回の「西本願寺・令和の迷乱」とも名付けたい程の混乱は宗門が抱えていた問題を露呈した状況となり、それがもたらす影響は計り知れないものがあります。 1つには宗門内に惹起した相互不信感 2つには宗務機構の脆弱さ 3つには総長門主複数指名制の危険性 4つには勧学寮の信用失墜 5つには宗会の宗務行政チェック機能能力の低下 6つには宗会議員

どうして生じた?領解文問題 vol.5

松月博宣ノート 補遺(11)「権威」にたよる宗務運営 先に記した「顧問弁護士」も世俗の権威、「出身大学」も権威、それどころか現代版領解文制定に関しても権威。何かに付けて「権威あるもの」を求められる宗務姿勢には目を背けたくなります。「権威」は強者の論理だと思うのです。そこに弱き者、声を上げられない者、弱者への視点は欠けています。浄土真宗・親鸞聖人の教えに一番そぐわないのが「権威」でありましょう。実は先の「制定方法検討委員会」でも委員の勧学さまは設置規程の変更まで意見として述

どうして生じた?領解文問題 vol.4

松月博宣ノート 補遺(6)現代版「領解文」制定方法検討委員会設置規程 まるで火曜サスペンスドラマの容疑者がアリバイ工作した上での弁明との印象を受けたと前回申しましたが、それを裏付けることが「現代版領解文制定方法検討委員会」であっていたようです。 まず設置規則を全文あげておきます。 補遺(7)制定方法を検討する場 (6)でご覧になった設置規程で発足した委員会ですがその冒頭に「現代版「領解文」制定方法検討委員会の位置付けと役割」が以下のように明示されています。 従って

どうして生じた?領解文問題 vol.3

松月博宣ノート 補遺(1)進退伺い ご消息発布までの経緯を私なりに記してきました。 こうした事を公にすることに正直、少し躊躇いがありましたが、この度のことが単なる噂話として広がると事が余計ややこしくなってしまう。ここら辺りで正確な情報を知ってくださった上で、この度の混乱の問題点を一緒に考えてくださればと「新しい領解文を考える会」福岡・北豊LINEグループ上(現在288人参加)に投稿をし続けています。 徳永一道勧学寮頭は本願寺新報2月1日号紙面に「解説文」の掲載を確認され