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2019年「インドア花見」キャンペーンの振り返りと、マーケとPRの連携ってやっぱ大事、という話

お花見シーズンも一段落したと思ったら、もうGW10連休。みなさん、今年のお花見はいかがお過ごしでしたでしょうか?

僕が所属しマーケティングを担当しているスペースマーケットでは、この春のお花見シーズンに「インドア花見」というテーマでキャンペーンを仕掛けていました

昨年は「うまくいくかわからなかったがやってみたら成果が出た」というラッキーパンチだったのですが、今年は昨年の実績もあったので社内からの期待値もあり、なんとなく「きっとインドア花見は成功するよね」という雰囲気でした。
そんななかで、「いかに再現性をもって昨年以上の結果を出せるか」を考えながら進めていたった施策でした。結果、ありがたいことに今年も大きく反響いただくことができまして、個人的にも「ちゃんと考えて設計して実行すれば結果はついてくる」と少しだけ自信をもてたかな、と思います。

今回の取り組みは、マーケティングチームやPRチーム、他社内外の関係者のみなさんにおんぶにだっこに肩車でございました。

チームの仕事の棚卸しをするのと今回得た知見を今後に生かすためにも、この記事で今回のキャンペーンの裏側を振り返ってみたいと思います。

多くの組織では「マーケティング」と「PR」は違う部門・チームに担当が別れているケースが多いのではないでしょうか?弊社もそうです。
そんな、マーケティング部門とPR部門の連携について何かしら課題感を感じている方に少しでも参考になる部分があればうれしいです。

チーム体制

今回のキャンペーンで主に関わったスペースマーケットのビジネスおよびコーポレート部門は

・ホスト開発チーム
スペースを貸す側(ホストと呼ぶ)を開拓するチーム
・マーケティングチーム(堀田はここに所属)
スペースを借りる側(ゲストと呼ぶ)を集客するチーム
・法人営業チーム
法人顧客の開拓およびスペースマーケットを活用したコラボレーション施策を推進するチーム
・PRチーム
コーポレートPRおよびサービスPRを担当するチーム

と多くの関係者を巻き込んだプロジェクトでした。
主に、僕が所属するマーケティングチームと、PRチームが協働して進めつつ、必要に応じて各チームとも連携するという体制。弊社はPRに力を入れていることもあり、今回のケースのようにマーケ×PRが日々連携しながらコミュニケーションの施策を進めています。

先日、「広告会社やPR会社を入れていたんですか?」と聞かれたのですが、(予算が限られていることもあって)今回のキャンペーンは企画から実行までほぼほぼ全て社内のメンバーで完結させています。

そもそも、なぜやったのか?

スペースマーケットは場所を簡単に貸し借りできるサービスです。ただ「場所を借りる」という体験自体がまだまだ新しく、浸透していないというのが実情...。そのため、「レンタルスペース」や「場所を借りる」という体験自体から広めていく必要があります。

まずは「インドア花見」というカテゴリを認知してもらい、それを体験できるのはスペースマーケットだよ、という順番でブランドを認知してもらうのが狙いです。

①カテゴリ認知:「インドア花見」を知っている

②ブランド認知:「インドア花見」を体験できる「スペースマーケット」を知っている

③利用意欲喚起:「スペースマーケット」で「インドア花見」したい

(この画像は昨年のインドア花見キャンペーンの振り返り資料から抜粋したものです。)

KPI

今回のキャンペーンのKPIは「インドア花見対象スペースの成約金額」です。
・キーワードの指名検索数
・サイト訪問者数
・メディア露出数
・ハッシュタグ付きの投稿数
などの数値は中間のモニタリング指標としてはおいていますが、あくまでも「売上」がついてこないと意味がありません。
「売上および利益から逃げない」というのはこのようなキャンペーンを設計する上では大事かなと思っています。

キャンペーンの全体像

インドア花見キャンペーンの全体像は以下の通りです。

マーケティングコミュニケーションにおいてやるべきことは
①コンテンツ・商品・体験を開発し
②それを各種メディア/コミュニケーションチャネルを通じて伝える
ことに尽きる
のかなと思っています。

どちらが欠けてもダメ。そもそもいい商品がないとコミュニケーションが上手くいってバズっても売れないし、商品がよくても知られないと売れません。
今回のインドア花見キャンペーンでは「良いコンテンツ・商品・体験」と「それを広めるためのコミュニケーション」の両輪がうまく回っていくことを意識して設計しました。

では、まず「コンテンツ・商品・体験開発」から取り組みを振り返ってみます。

①コンセプト設計

まずは、「インドア花見」をテーマにキャンペーンを設計するにあたって、コアとなるコンセプトを決めます。そしてそのコンセプトをコミュニケーション上のキーメッセージに落としていきます。

コンセプトを決める際には、プロジェクトチームで
・リサーチ
・ディスカッション

を繰り返すことでブラッシュアップしていきました。

▼リサーチ
<目的>
「お花見」に関する生活者インサイトを得ること

<手法>
・デスクリサーチ
 お花見関連ニュースや最新トレンドについて徹底的に調べ上げる

・ソーシャルリスニング
 twitterのエゴサーチ、Instagramのハッシュタグ検索

・ヒアリング
 周りの人に聞きまくる

▼ディスカッション
<目的>
リサーチしてわかったインサイトをコンセプトにまとめてチーム内で合意すること

<手法>
・一人でブレインダンプする
ブレインダンプ(Brain Dump)とは、脳内に浮かんだことを吐き出して言語化することです。時間を決めて、アイデアをとにかくたくさん出して言語化します。決めた時間は手を止めずにとにかく書きなぐります。

・みんなでブレインストーミングする
自分のアイデアをブレインダンプしたあとは、プロジェクトメンバーみんなでアイデアを持ち寄ってブレストします。

・チャットでメモを共有しまくる
「こんなことできるかも」と思いついたアイデアを思いついた瞬間にslackのチャンネルに投げます。「いいね」と思ったアイデアにはコメントで深掘りします。

・一人でドキュメントにまとめる
ブレストとslackのメモで広がったアイデアをもとに、最終的には一人で企画書またはドキュメントに落とし込みます。企画ができそうであれば、必ず企画書やドキュメントに落とし込むことを強くおすすめします。「あの企画、どうなってたっけ?」と聞かれた時に「ここ見てください〜」と言える状態にしておくととても便利です。

今回のキャンペーンでは、リサーチの結果、
「今年は花粉症が昨年の7倍くらいになって深刻化するらしい」
ということが見えてきました。

それを受けて、今回のキャンペーンでは、最終的に「花粉症でも楽しめるお花見」をキーコンセプトにインドア花見キャンペーンを進めていくことにしました。


②商品・体験設計

コンセプトができたら、次は「商品」「体験」を作ります。

スペースマーケットにおいては、「インドア花見」を体験できるスペースを開発することです。

今回のキャンペーンでは、「プロパリピ」としてパーティーコーディネートの活動をされている山口モモコさんにプロデュースしていただき、「インドア花見装飾キット」をスペースのホストの方々向けに販売しました。

また、実際に装飾したスペースで「スペースホスト向けインドア花見見学会&説明会」を開催し、数十名のホストのみなさまにご参加いただきました。

こういった取り組みを通じてスペースホストのみなさまの「インドア花見スペースを作りたいけどどうやって作ったらいいかわからない」という課題を解決していきました。

最終的には、インドア花見を体験できるスペースは150を超える結果に...。うれしい...。(昨年は数十ほどだったのに対し、今年は多くのホストにご参加いただきとてもありがたかったです。)


③企業コラボ

「体験を設計・開発する」にあたって、非常に有効な策が「他社とのコラボ」です。他企業とコラボレーションすることで、提供できる体験の幅が広がります。自社だけでは提供できなかった体験を顧客に提供できるようになります。

今回のキャンペーンではイデアインターナショナルさんが提供する激シャレオツホットプレート「BRUNO」とのコラボが実現。

スペースマーケット掲載のインドア花見スペースで桜色のBRUNOを使った料理を楽しめるようになりました。

さらには、グライダーアソシエイツさんが運営するキュレーションアプリ「antenna*」とのコラボが実現しました。

コーヒーとスイーツの美味しい食べ合わせである「コーヒーマリアージュ」を体験できるイベントがインドア花見スペースで開催されました。

企業・ブランドがオウンドメディアで発信することが当たり前になっている今、
・顧客に提供できる体験の幅が広がる
・発信する主体が増えて話題化しやすくなる

という点で他企業とのコラボレーションは非常におすすめです。
(↓の記事でコラボの魅力は少しだけ書いています)

ということで、
・「花粉症でもインドア花見」をキーコンセプトに
・インドア花見を100箇所以上のスペースで体験できるようになり
・BRUNOさんとantenna*さんとのコラボも決定

しました。


コミュニケーション設計

コンセプト・商品・コンテンツ・体験ができたら次はそれを伝えていくためのコミュニケーションを設計します。

僕の場合は、「Owned/Paid/Earnedのトリプルメディアそれぞれを通じてどのように話題化させていくか」という視点で考えることが多いので、その順序でまとめてみます。

【Owned Media】
→自分の発信したいコンテンツをまっすぐ伝える

①特集ページ(LP)と記事コンテンツ
以下のようなインドア花見特集ページをLPとして作成しました。

「そもそもインドア花見って何?」
「どこで体験できる?」
「事例は?」
などなどインドア花見に関する疑問に答えるコンテンツを準備しました。

重要なポイントは「インドア花見」のようなキャンペーン上重要なキーワードでGoogle検索1位を確実にとっておくことです。あわよくば3位くらいまで独占することです。メディア露出が上手くいって「インドア花見」という言葉の検索数が伸びた際に、検索結果を独占しておくことでサイトへの訪問さらにはそこからのコンバージョンを独占することができます。

②SNSの自社投稿
露出が増えることを見込んで、各種SNSのハッシュタグ検索におけるSEO対策をします。twitterおよびInstagramでインドア花見に関するコンテンツを投稿。
自社投稿でバズることはあまり期待していません。あくまでも、SNSで検索された時に自社アカウントにたどり着いてもらうための導線を作っておくイメージです。

・Instagram

・twitter

・Pinterest
(Pinterestを活用していない会社さんは、ぜひこの機会に公式アカウントを作成することをおすすめします!結構トラフィックあります。)



【Paid Media】
→お金を支払って確実にコンテンツを発信してもらう

・タイアップ記事
今回は厳密には記事広告というよりは、「コラボ記事企画」に近い形なのですが、OZmallさんとヒトサラさんにスペースマーケットのインドア花見特集を取り上げていただきました。

コラボ記事を配信していただくメディアの選定基準としては、メディアのなかでも予約やお店の訪問などの「行動喚起力」が強いことをとにかく重視しました
KPIは成約金額。いくら読者が多くてもそれを読んで行動を起こす人がいなければ今回の施策としては意味がありません。その点で、OZmallさんとヒトサラさんはそもそも読者に予約行動を促すメディアであり、まさにぴったりでした。

・リスティング/SNS広告
少額ながら、リスティング広告とSNS広告も出稿していました。
それぞれの主な目的は以下の通りです。
リスティング広告:「インドア花見」「エア花見」などの検索をもれなく拾うため
SNS広告:おもにリマケで一度興味を持ってくれた人への再想起を狙うため

【Earned Media】
→UGCもしくはメディアで言及してもらえるように仕掛け・仕込みを作る

今回の施策では、予算も限られていることから、Triple MediaのなかでもEarned Media(つまりオーガニックなメディア露出とUGC)を最重要視していました。ここは特にPRチームとがっつり連携しながら進めていきます。戦略的にUGCを生み、メディア露出を作っていくためにとった方法は主に「調査PR」「PRイベント」「戦略的プレスリリース」「インフルエンサー起用」の4つです。

①調査PR

お花見およびインドア花見に関する調査を行い、その調査をフックにスペースマーケットの取り組みを取り上げてもらうのが狙いです。

今回は、「昨年よりもお花見に行きたくない人が増えていて、その要因は花粉症だよ。インドア花見ならば解決できるよ」という示唆を与えられるような調査を実施しました。

実際に行った調査がこちら。

結果として、ありがたいことにこの調査結果をフックにいくつかのwebメディアやテレビ番組に取り上げていただきました。


②PRイベント

また、今回はメディア関係者さん向けのプレスイベントも開催しました。メディア関係者のみなさんに実際にインドア花見を体験していただき、その模様を発信していただくことが狙いです。

↓開催概要↓

いくつかのメディア関係者のみなさまにご参加いただき、こちらもありがたいことに複数メディアで記事化していただきました。

▼ルトロン

個人的に大好きなお出かけ動画メディア。「動画の訴求力やべえ」ってなりました。

▼笑うメディア クレイジー

取材中、担当者さんがとても楽しそうだったのが印象的でした。動画をGIF化して記事内に入れるなど、芸が細かくて勉強になります...。


③戦略的プレスリリース

今回、インドア花見に関するプレスリリースは何回かに分けて出しています。あえて「戦略的」といっているのは、ただ単に「インドア花見特集はじめました」と発表するのではなくて、メディア担当者に刺さるような文脈でメッセージを作り込んでいるためです。メディア担当者が「いつどのタイミングで何を取り上げたいと感じているか」を「メディアインサイト」と呼ぶそうです(違ったらごめんなさい)。弊社はいつも一緒に働いているPR担当の方々がそれはそれはやべえみなさまで、メディアインサイトを捉えたプレスリリースづくりが上手くていつも勉強になっています。

たとえば、

・フライング花見客昨対3倍
メディアインサイト:実際のお花見シーズンよりも少し前から先駆けてお花見に関する目新しいニュースを取り上げたい

・東京で桜満開な週末が雨なのに合わせてお花見幹事応援キャンペーン
メディアインサイト:「桜満開だけど雨予報」という最新の天気予報とともに視聴者に有益で課題解決になるような情報を届けたい


結果として、これらのプレスリリースを発表したあとに続々と取材の問い合わせをいただき、テレビのニュースを中心にいくつかの番組で取り上げていただきました。


④インフルエンサー活用

今回はSNS施策の主戦場としてInstagramを選びました。お花見に関するポジティブな投稿はtwitterよりもInstagramの方が多く、相性が良いと思ったためです。

具体的には、実際にインフルエンサーさんにインドア花見を体験していただき、その様子を投稿していただきました。

実は今回のインフルエンサーさんの起用にあたり、キャスティングフィーはかかっていないんです。あくまでもインドア花見を体験してみたい、という方を純粋に募集させていただき、十数名の方にご参加いただきました。
このキャスティング0円の座組みはとあるインフルエンサーマーケティング会社さんと一緒にやらせていただいていて、個人的には神施策だなと思っています。(興味ある方は、担当者さんご紹介できるかもなので @ryo10hottie までDMください)

インスタで少し話題になったこともあり、その後「渋谷109」のインフルエンサー・ライターのみなさんにもご利用いただき、その様子を記事化までしていただきました。



というわけで、ここまでが今回のインドア花見の取り組みで実施した施策でございました。

結果

さて、結果です。

・指名検索数
KPIは「インドア花見対象スペースの成約金額」でした。
成約金額の前に、ひとつ重要視していた指標があります。それが「インドア花見という言葉の指名検索数」です。
「インドア花見」というキーワードの検索結果は前述したオウンドメディアでページ作りをしていたこともありGoogle検索結果の上位を独占しています。「インドア花見」という言葉の検索が伸びれば伸びるほどスペースマーケットのへの流入は増えていく構造です。

↓Googleトレンドの「インドア花見」の検索数推移(過去5年)↓

ぱっと見、昨年より減って見えるのですが、昨年は特定の1週間のみテレビ露出によって伸びただけでその他の週にはほぼ伸びなかったのに対し、今年は数週間にわたって検索数が増えました
一定期間にわたってコンスタントにメディア露出できたのがよかったのかなと思っています。
結果として、検索数の総数としては昨年対比で60%アップしています。

・成約金額/成約数/体験者数
具体的な成約金額までは公開できないのですが、インドア花見スペースの体験者数は昨年対比で5倍以上まで伸びました。メディア露出はもちろん、実際の売上まで貢献できた点ではよかったかなと思います。

ありがたいことに社内で四半期の表彰もいただきました〜。

↓インドア花見プロジェクトメンバーと代表でパシャり↓


さて、今回のインドア花見キャンペーン、最初にも少しふれましたが、予算がかなり限られていました。イメージ、社会人4年目の1年間の飲み会代1人分くらいです。

そんななかで非常に費用対効果の良い結果を出すことができたのは、「マーケティング部門とPR部門ががっつり企画から実行まで連携して進められたから」だと思っています。

マーケティングチームが売上目標を明確にもっているからこそ「商品・体験の開発」が実現できたし、PRチームの戦略的なコミュニケーションとメディアリレーションがあってこそ、ここまで多くのメディアに取り上げていただいて話題化させることができました。

大切なのは「企画段階から一緒にやること」です。たとえばマーケティングチームが考えた企画を、PRチームに「後はプレスリリースよろしく」的な感じで渡すのでは、今回のような綿密なコミュニケーション設計はできていなかったと思います。逆も然り、PRチームのみで考えた企画を「後はADの出稿よろしく」と渡すだけでは、露出に対して商品在庫が足りていなかったり訴求ポイントに齟齬が生まれたりなどの問題が発生するリスクがあります。

ということで、気づいたら8000字近い長文になってしまったのですが、結論。

当たり前ではあるのですが、

「マーケティングチームとPRチームが強く連携すると相乗効果すごいぞ」

という話でした。

今後も、マーケ・PRで連携しながら、「スペースを活用した新しい体験や文化・トレンド」をどんどんつくっていきたいなと思っています。

もし、「トレンド×リアル体験」という文脈でスペースマーケットと何かしらコラボできそうかも、と思った方いらっしゃいましたら、ぜひ堀田までご連絡くださいm(__)m

新しい体験や文化をつくることに興味ある方がいらっしゃったら、絶賛採用中のポジションもありますのでぜひwantedlyでチェックしてみてください〜。


(もう社内向けの振り返り資料もこれでいいかな...)

最後までお読みいただきありがとうございました! サポートいただいた金額は、さらなるインプットにあてさせていただきます。 今後とも何卒よろしくお願いいたしますm(__)m