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好きなことを仕事にすること

今の世の中は「好きなことをする」という風潮になっている。特にYouTuberが「好きを仕事にする」という言葉を打ち出してから一気にそのムードになったように思う。ゲームが好きな人がゲーム実況でお金を稼ぐ。キャンプが好きな人がキャンプの動画を出してお金を稼ぐ。そんな時代になっていっている。

好きなことをやってお金を稼ぐことは大変なことだとも思う。その好きなことが職業としてあるならばなおさらだと思う。ということはすでに競争があって、その中に入っていき、生きるか死ぬかの戦いを先輩たちに挑まねばならない。

僕は好きを仕事にしている人だとは思っている。実は大学4年生になるまで放送作家という職業を知らなくて、自分が普段していることを職業に当てはめたら何になるのか?当てはまったのが放送作家という職業だった。

自分が普段していたこと。例を挙げておくと、小学生の頃、友達何人かで遊んだその場所で地形やアスレチックに合わせオリジナルのゲームを考えるのが好きだった。「これができたら○点」合計順位で1位を決める。みんなが楽しんでいる姿を見るのが好きだった。

自分が誰かに褒められた経験として覚えているのはボキャブラリーの多さや文章だった。小学校2年生の時の担任に「ボキャブラリーが豊富で子供が使うボキャブラリーではない」と言われ、小学校6年生の卒業文集ではクラスの中で一番面白かったと先生から発表された。この頃から書くことへの意識が芽生えていった。

中学に入ると、めちゃくちゃおバカで生徒会とは縁遠かったクラスメイトを生徒会に送り込むプロジェクトを仲間と立ち上げた。お昼の時間、立候補者はテレビに出てスピーチをする。そのスピーチの台本を自分が書いた。書き出しは確か「ニーハオ」だったと思う。クラスメイトの笑い声を、他のクラスから聞こえてくる笑い声を聴きながら、きっと満足気な顔をしていたと思う。最終スピーチではそのおバカな彼が真面目なスピーチをする中で、その友達の両サイドに僕と別の友達は立って挟み、スピーチの間ずっと剣道の早素振りをしていた。彼は結果、生徒会選挙で当選。副会長になった。(今そいつはAVの監督)

中3になると、舞台の脚本を書いた。主人公は学校の先生。先生たちの架空の恋模様を描いた。それを文化祭で、全校生徒の前で披露し、自分も先生役でステージに立った。演技指導もしていたから今でいうと総合プロデュースみたいな感じだろう。

こんな中学時代を経て、高校大学も同じような生活を送っていた。

日常でやっていることが、そのまま仕事になった、という点では「好きなことが仕事になった」ということになるんだろう。

放送作家という仕事に就いてから思ったことは、後輩がどんどん入ってきて、どんどん後輩は辞めていった。辛いし大変だし怒られるし先は見えないし稼げないし、そりゃあ憧れた世界から逃げてしまってもしょうがないとは思う。でも辞めなかった自分との違いはどこなのか考えたことがあった。

きっと自分はみんなより前に「フライング」していたなと思う。

15年も前から日常でずっとやってきたことだったから自信もあった。先輩たちより自分の方が面白い。絶対成功してやる。諦めない。そう思ってやってきた。ある意味根拠のない自信ばかりだけど、多分フライングしていたことが自信をもたらしてくれた感覚はあった。

それでもやはり大変な世界。全然稼げなかったし、すごい先輩も後輩もいて、特技も違えば、メンタルの強さも違う。

若いうちは面倒くさい仕事が多くて、自分がやりたいことはできなかった。雑用ばかりで時間もかかる。台本を書く仕事はほぼない。アシスタント生活はやはり辛かった。そのうちメインを任されるが、一緒にやるディレクターの方が先輩で自分のやりたいことをやる、というよりもディレクターの駒使いのような感覚だった。まだ一人前とも言えなかった。

自分が得意なことは何だろう? 好きなことは何だろう?

ここで行き詰まった。

自分の個性とは何だろう?

そこが分からないと勝てないな。強みを伸ばしたい。そんな悩みにぶち当たったのが放送作家になって8年ほど過ぎた時だった。

自分の個性の一つの「答え」。

それは自分の「過去」にあった。放送作家になってからたくさんの仕事をした中で、6年間無意識にやり続けていたことがあった。好きとかそういうことではない。どうしても考えてしまう。

それは、人の●●を聞くこと。

そのことに気づいた時に、自分がそのジャンルであれば能力を発揮できることがわかった。自分の個性の一つはそれで間違いない。

好きなことを仕事にすること。

就職を考えた時、過去の自分を振り返って、どんな職業に合うのか照らし合わせてみた。

職業に就いてから個性を探すために、働き始めてから今までの自分を振り返った。

立ち止まって、振り返って、歩き出す。その繰り返し。

昔から未来で進むべき道へ歩んでいたような感覚。

それが、好きなことを仕事にすることだ。

書きたいことはまだまだたくさんあるから、また書くことにしよう。


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