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「好き」最強論
結論、好きなことは最強だということで。
これはもうイニシエから連綿と語り継がれてきたことですが、「好き」という感情には敵わないという話です。寝ても覚めても、そのことしか考えられない。それは恋のように瑞々しく刺激的で、愛のようにあたたかくまろやかに。「好き」になった瞬間、「努力」という概念は消えます。呼吸するように思考し、ただただ打ち込む。遊びの延長線上にあるモノゴトで生活できると楽しいですよね。
世の中には、それを実現している人がいます。ぼくがインタビューをさせていただく人はそのようなタイプが多い印象です。つまり、「好き」を仕事にしている。端から見れば大変そうなことでも、当人はその状況さえも楽しんでいる。もちろん、それぞれに苦悩はあるでしょうが、根本にある「好き」が原動力となっています。
彼ら(彼女ら)は、大きく二つのタイプにわけることができます。「好き」を仕事にした人と、仕事を「好き」になった人。要は、「好き」の順番は、後でも先でも問題ないということです。
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「大人になる」ということは、「現実と折り合いをつける」ということなのかもしれません。実際的な問題として、人は生きてゆかねばなりません。生きるためには衣食住が必要です。先立つものは、お金です。
守られていた頃は、楽しいことをピュアに追いかけていればよかった。自立すると、自分で生活するためのお金を稼がなくてはいけません。多くの人はそのために仕事をするのですが(中にはレクリエーションとして仕事をしている人もいます)、ここで壁に当たります。「好き」を仕事にするのは難しいということです。
労働に対価が支払われる理由は、「誰かの役に立っているから」という構造を知ります。そこではじめて、自分の「好き」が誰の役にも立っていなかったことに気付きます。さて、ここからが分岐点です。自分の「好き」を脇に置いて誰かの役に立つことを仕事にするか、自分の「好き」を誰かの役に立つ仕様に仕上げてゆくか。
結論、どちらも「大人の発想」であり、そこに優劣はありません。ただ、仕事を「我慢して誰かの役に立つ時間」にするのは少しもったいないように思います。いかに「好き」の力を利用できるかがポイントになります。「我慢」よりも「好き」の力の方が大きいからです。
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「遊び」を大人的に解決する。
「好き」を仕事にする場合には、世の中との結節点を見つけることからはじまります。文章を書くことが好きな場合は、文章を書くのが苦手な人(あるは、書く時間のない人)の代わりに書いてあげると、それは仕事になります。あるいは、相手のこころを打つ文章が書けるならば、それも仕事になります。とてもシンプルです。
重要なことは「誰かの役に立つ」という視点です。そのためには社会や人が求めていることを知らなければいけません。ピュアに「自分が好きなもの」を追求することが子どもだとすれば、社会や人との関わりをつくることが大人的な解決です。関係性を築くことで、「遊び」は仕事となる。
自分が楽しかったり、苦しかったりしても、大きなことを成し遂げたと思っていても、誰の役にも立っていなければ、それは仕事になり得ません。「好き」を仕事にするためには、社会を知り、人を知ることが大切です。
続いて、後天的に仕事を「好き」になる場合。それは、仕事の中の楽しさを見つける練習をすることです。学生時代に引っ越し屋のアルバイトをしていたことがあります。体力的にハードな現場でしたが、「筋力トレーニングをしている」と思い込んだ途端に楽しくなりました。実際、みるみる筋肉がついてゆくので成長している実感を得ることができます。全ての仕事は「誰かの役に立っている」という前提なので、そこへさらに新しい意味づけができると楽しくなります。
元来、ぼくは人が喜んでくれることが好きなので、飲食店の現場で働いていた時も、イベントの仕事の時も、お客さんが楽しんでもらえるとうれしくなります。「どのように喜んでもらえるか」という工夫がはじまります。その工夫こそ、「遊び」です。つまり、仕事の中に「遊び」の要素を入れる。「遊び」というのは、「自分の好き」を追求することです。そのためには、自分のことをよく知らなければいけません。自分は何に喜び、感動し、笑うのか。成長することが好き、人が喜ぶことが好き、整理されてゆくことが好き……それらの要素を、仕事に注入してゆく。
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さて、お気付きの通り、これら二つのタイプは同じことです。
「好き」を仕事にする場合は、外側(社会や人)を知り、「遊び」との関係性を築いてゆく。仕事を「好き」になる場合は、内側(自分)を知り、「仕事」との関係性を築いていゆく。入口は反対ですが、本質的には同じことをしています。これが、「遊び」を大人的に解決する方法です。
結局は、自分のことも、他者のことも知らなければ「好き」を仕事にできないのです。それを繋ぎ合わせる力が大事なのだと思います。それは「他者に迎合しろ」という話ではなく、迎合せずともクライアントを納得させる方法はあるはずです。言われたことをそのままやるだけではなく、その答えを自分の力で探し出すこと。そのためには、相手が何を求めているのか、社会が何を求めているのかをよく知らなければいけません。問題解決の方法は、言われたことをやるだけではなく、根本的な問題が解決できれば何だっていいのです。
大人が遊ぶとは、そういうことなのだと思います。
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。