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リズム、メロディ、ハーモニー~あまねくコミュニケーションに共通する力~

宮沢賢治は『セロ弾きのゴーシュ』という物語を通して、西洋音楽の三要素と呼ばれるリズム、メロディ、ハーモニーの重要性を描きました。

それは音楽と文学に共通する要素であり、それらの〈調和〉によって推進力が生まれるという話を、以前こちらの記事で書いたことがあります。

この文章を書いた頃からぼくは「リズム、メロディ、ハーモニー」の調和を意識して文章を書きはじめます。それは文体だけでなく、視覚的な要素を含めたリズム、メロディ、ハーモニーの調和。段落の構成、ことばのひらき、全体のバランス。

自身の文章の中へ落とし込むだけでなく、魅力的な文章を読む中で意識的に観察していく。そこに醸される空気、佇まい、気配、面影のようなものは、ことばでは表現できない求心力として機能することに気付きました。

目に見えない領域を意識的に観察する。その体験を蓄積する中で、複数あった光の筋が組み合わさって、一本の光になった瞬間があります。

「あ、わかった」

という瞬間ですね。これは、心地良いものです。この感覚を求めて、日々思考を繰り返しているような気がします。リズム、メロディ、ハーモニーの調和は何も音楽、文学だけではない。

ぼくには「バーテンダー」という顔もあるのですが、カクテルづくりはまさにリズム、メロディ、ハーモニーの調和です。それは料理に関しても同じことが言えるでしょう。材料の調和だけでなく、調理の工程、あるいはそれを食する体験にも同じことが言えます。

それら三要素の調和がグルーヴを生み、「わたし」を遠くへと連れていく。

それは、あまねくコミュニケーションに言い得ることです。

ぼくは「ダイアログ・デザイナー」として〈対話〉をデザインしていますが、ことばを聴く、話すから生まれる調和。あるいは、身体的なコミュニケーション。わかりやすく言えば、肌を触れ合う中で調和が生まれた時、意識は飛躍します。

それはある種、マジカルな力として見えるかもしれません。でも、一つひとつの要素に意識を持ち、それらの調和を生むことができれば、誰もが「わたし」(あるいは「あなた」)を遠くまで連れていくことができる。

反対に、「話が合わない」「盛り上がらない」関係性は、いずれかの要素に問題があり調和が乱れているんですね。それは相手かもしれないし、自分かもしれない。そこを改善してあげると、より良い対話が生まれます。

リズム、メロディ、ハーモニー、それぞれの調和。それを意識するだけで、今まで見えなかったことが見えてくるかもしれません。ことに、コミュニケーションにおいては。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。