見出し画像

文章が届く三つのベクトル

「もっとたくさん読んでもらいたいんです」

文章を書いている人と話していると、そんなことばをよく耳にします。やっぱり、書いたら読んでもらいたいし、読んでもらえたらうれしいというのが、書き手の自然な想いですよね。

もちろん読んでもらえることだけが全てではありません。「書くこと」は、思考や感情を整理することに役立ちます。あるいは、記録としても機能します。また、「書くこと」自体が楽しいという側面もあります。

書き手の数だけ、「書くこと」の目的がある。その目的も一つに限定されるわけではありません。複数の利点を絡めながら、「書く」という営みに紐づけている。

インターネットの普及、それからSNSの登場によって、誰もが自由に発信できる時代となりました。書き手の多様性、内容の多様性、表現の多様性は豊かになる一方です。そこで、ふと気付いたのですが、ぼくの耳に届く悩みはほとんど変わらないということです。

「書くこと」には複数の利点がある。それならば、それぞれの課題が増えてもおかしくないはずです。「書き手」の数が増えたならば、悩みの数も増えることが自然だと思っていました。ぼくのところへ声が届く範囲内だけの話なのかもしれないので、他のコミュニティへも積極的にヒアリングを重ねていきました。結果、どうやらぼくの抱いた違和感は大きく逸れているわけではないらしいことがわかりました。

ここから先は

2,538字

「繭が風を手に入れ、シルクとなった」 対話のこと、文章のこと、考えるということ。

「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。