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ことばのアトリエ

ユニークなプロジェクトが形になった。

「ギフトのためのことばを編む」

この記事を書いたことから、車輪は静かに動きはじめた。

僕はふみぐら社さんへ連絡した。理由はね、なんというか、ふみぐら社さんは「大切にしているもの」が僕と近いような気がするから。それは面影や佇まい、そう、気配のようなものに近い。わかる人は深く頷いてくれるだろうし、わからない人はそんなことに1mmも気に留めない。それが良い、悪いではなく、リズムや美意識の距離だと思う。

「素敵だなぁ」と思う文章はたくさんある。それがほんのわずかな人の目にしか触れられていないものであっても。僕も「読まれない」とわかっている文章を書くことが好きだし、ふみぐら社さんからも同じ匂いがする(そんな失礼に値するするような言葉を打ち開けた時、彼は一緒になって喜んでくれた)。

ふみぐら社さんとお話する。それを文章にしてギフトしよう。僕たちの間で交わされた言葉(あるいは沈黙)は贈り物という概念に近いから。「読みたい」と思ってくれた人にだけ届けよう。もちろん、気になる人は買って読んでくれればいい。

心地良さそうに車輪は回る。一つひとつプロジェクトは進んでいく。二人の時間に、僕はこんな名前をつけた。

ことばのアトリエ

「アトリエ」というのは工房のこと。僕もふみぐら社さんも、ことばを選んだり、磨いたり、くっつけたり、切り離したり、そういうことを積み重ねて「ことばの向こう側」にある景色を描く。インスタントなものじゃなく、職人が工房で手間暇かけてものをつくるみたいに。そういう時間を大切にする二人だと思うから、対談はことばやインタビューに関する内容にしたい。



まだはじまってもいない僕とふみぐら社さんの対談記事を「読みたい」と言ってくれる人がたくさんいた。やっぱりね、同じ匂いのする人たちばかり。

目的地へ向かって森の中を歩いていると、陽だまりを見つけた。倒木の背が日の光できらきらして気持ち良さそうで、そこにちょこんと座って深呼吸する。鳥のさえずりや風が木々を揺らす音、蝶がゆらりゆらりと描く軌道はポエティックで、空を見上げると青、呼吸は深まる。

そうやって何でもない時間を楽しむことが好きな人たちがシェアしてくれた(当たってるよね?)。目的地しか見えていない人は、黄金色の陽だまりなんて目に入らないんだ。僕たちは、まわり道の楽しみ方をよく知っている。それゆえ、目的地に到着するのがいつも遅れてしまうのだけど。

ふみぐら社さんとオンラインで会った。たくさん話をした。思っていた通り(いや、それ以上に)、それは素敵な時間だった。この「まわり道」には価値があると確信を抱いた。ふみぐら社さんの中を流れる速度が僕は好きだ。その時間の中に入ると、内側から思いもよらないことばがひょっこりと現れる。二人で積み上げることばから出逢う発見もあるけれど、ふみぐら社さんの時間の流れに導かれることばも多い。

ふみぐら社さんから記事が届いた(そう、彼が書いてくれた!)。あそこで流れていた「時間」を思い起こさせることばたちだった。心が満たされていく。やっぱり、僕たちは「大切にしているもの」が似ている。あらためてそう思わせてくれた素敵なギフトだった。

僕はこの「ことばのアトリエ」という時間や空間を大事にしたい。「数」ではなく、僕たちが本当に気に入っているものを贈り物にして届ける場所。それはアートに近い概念。




ぜひ読んでください


※「シェアしたけれど、届いてないよ!」という方、お手数ですが僕まで連絡ください。必ずお届けいたします。



「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。