寝る

 なんでこんなに寝てしまうのだろう。やらなければいけないことがあればあるほど、眠たくて仕方ない。私の趣味は寝る事か。

 春になりました。相成りました。夜中に窓を開けるといい匂いがする。これ二回目だっけ。今年の桜はなんとなく咲いて、なんとなく散っていった気がする。ちょうど満開終りぐらいに中目黒に行く機会があり、人が多くいた。みんな、内カメラで写真を撮っている。顔を決めて。その光景を写真に撮った。なぜか滑稽で、写真を撮り終えた後は見向きもせず、橋を渡って行った。
 夜中にバイクに乗っていたら、桜並木を通った。その日は風が強く、満開の桜が一斉に吹き飛んでいた。それでもまだ木はピンクで、まだまだ粘っていた。その光景は写真に収めることのできない恐怖があった。第一、バイクを運転していたので両手はふさがっており、物理的に写真を撮ることは無理だ。しかも大体60キロくらいで走行していたため、過ぎ去るのも早かった。「こんなもんだよな」と感じた。なにがとか、誰がとかではなく、「こんなもんだ」別に写真に撮らなくたって目を瞑れば思い出せる。脚色されているかもしれないが、それは優しい嘘。

 私も写真を撮らないわけではない。好きな人とどこかに行けば、写真も撮るし、ぎこちなくツーショットも撮る。宣伝用の写真を撮るために相方の不細工な写真も撮ったりする。しかし、それはただの付け足しで、写真を撮ってないときの方が格段に面白いし、その面白いなと感じたことは写真を見返さずとも思い出す。エピソードトークのために記録として写真を撮ることはない。特に景色は圧倒的に直接見た方がよい。


 私はバイト先の元店長に言われた「見て仕事ができるようになったら、次は耳で、最後は感覚だ」という言葉が忘れられない。これは焼肉屋の仕事だけでなく、日常に通じることではないか。視覚が一番楽な作業だ。ただ見ることにエネルギーはいらない。そういう人が多い。だから映画観るの下手くそな人が多い。最近は10分くらいに要約してほしいらしい。インスタの投稿をするための写真を撮るのやめません?人に話してみませんか?どんな感情になったのか。表現できなかったら、表現しがたい感動があったって言えばいいんですよ。もし友達がそうやって話してきてくれたら、感覚で感じ取ってあげてください。本当に感動したんだと。


 文章という見る媒体で何言ってんだ。寝ろ!


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