なかよし

 地元に帰った。漫才衣装を持って、前乗りして、実家のご飯も食べて、おばあちゃんと話す。
 次の日朝9時集合、相棒とスタイリスト(小藤くん)三人で一時間の道中、ちょっと相棒と喧嘩、挨拶云々しっかりしてねと私が言うと、「わかっとるわ!」と怒鳴られる。怖い。
 10時入り、私とスタイリスト(小藤くん)は運営の方々、スタッフさんたちに挨拶をする。楽屋に戻ると、相棒鎮座。挨拶行ってきたよ、と伝えると、「なんで言ってくれんの?」と睨まれる。怖い。
 11時ステージスタート、出囃子Age Factoryが流れる。興奮している。子どもたちが笑ってくれる。上座の方にいる友達たちも笑ってくれる。漫才中にふと涙が出そうになる。これが仕事だ、と思うともっと泣きそうになって顔を洗う。漫才中に。ふと相棒を見ると、もうおれのボケに飽きてきた顔をしている。怖い。
 
 日本の宝物だと思った。この子たちにウケたいと思った。社員にウケたり、作家にウケたり、女子ウケだったり、もちろんそれも大事でわかってはいるけど、別にそこで悩んでいてもしょうがなく、絶対的にウケたい人たちの前で漫才ができたことがすごく嬉しい。子ども扱いせず、笑ってもらえることがこんなに嬉しいことなんだと思うと、もうやめられない。私の行動、言葉で知らない人が笑う。これは薬物より気持ちの良いものです。もっともっととなる気持ちもわかります。震えてくる気持ちもわかります。

 帰りの道中、小藤さんに感想を聞くと「おれお笑い評論家になりたくないんだよね」と言っていた。たぶんなにも感想がないだけです。

 相棒とは反省会のなかでもちょっと小競り合いがあり、落ち込んでいる相棒の姿を見て、女同級生たちは「えー可哀そう」と言っていた。相棒は落ち込み顔だけ上手くなっている。その顔に腹が立つ。「なかよし祭り」へなかよしじゃない2人が出演するという矛盾が発生している。皆さんも会社の同僚と毎日ニコニコして遊んでいるわけじゃないでしょ。大学のサークルの中でも別に仲良くないなって人いるでしょ。高校時代、同じクラスだけどそんなに喋らない人いたでしょ。それと一緒です。いつまでもイチャイチャしてるわけじゃない。
 そんな相棒は高校時代にめちゃくちゃ仲良かったやつです。ちなみに相棒はそんなに仲良かったわけじゃなくね?と最近言い始めました。怖いです。


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