習慣的アプローチ•ダイエット

5W1Hに沿って考えてみると、ダイエットは大抵「この食材がいい」とか「このエクササイズが効く」という「What」に着目したものか、或いは「失恋を機に」とか「健康になりたい」という「Why」から語られたものが大半である気がします。

ダイエットは結局のところ、継続できるかどうか、言い換えればどんな習慣を身につけることができたか、が要諦なわけですから、動機や手法がどうあれうまくいった人は結果的に続けることができたわけです。

そこで、改めて習慣というレンズを通して見れば「What」や「Why」ではなく、「Where」「When」「How」を設計してしまう方がよっぽど簡単で、本質的なアプローチであるように思います。
※Whoは言うまでもないので割愛します。

「仕掛学」の表紙で既に察しがつくように、人は綺麗にしようという心掛けよりも、ついそうしたくなる仕掛けの方がよっぽど行動を促しやすいわけです。

また、「笑顔を作れば気分がよくなる」「姿勢を良くして胸を張れば、自信が湧いてくる」というように、内なる動機が無かったとしても自分の振る舞いが先行して気分や行動を作るという、脳には不思議なクセがあることは有名です。

ダイエットに話を戻すと、「めげそうになったとき、痩せたい動機を頭に思い浮かべて!」と言われがちですが、意志力は有限な資産であるため、仕事や家庭など他の要因によって既に意志力の残が無い日が来れば、堰を切ったように爆食いしてしまいかねないわけです。
そして、一貫性の原理のドツボにはまります。
節度のタガが外れた自分を肯定しようと、不摂生生活に舞い戻るという元の木阿弥になるわけです。

これまた有名なマシュマロテストという壮大な実験はその後の追跡調査によって、当時マシュマロを我慢できた子供は大人になってから経済的に成功しやすい、ということを明らかにしましたが、実はその後、別の側面がわかってきたそうです。

マシュマロを我慢できた子は、鋼の意志があったわけではなく、他の対象に意識を集中させた、つまりは気を逸らせたというテクニックめいたことをしていたというわけです。

これをダイエット法に置き換えてみると、高カロリーな食品が目に触れる機会が減るように環境を整え直したり、この時間にはこの靴を履くことが決まっていて、この靴を履けばランニングに出かける、という導線を設計してしまう、というわけです。
ドラマチックな動機や目覚ましいノウハウは不要です。
「Where」「When」「How」をそれとなく決めてしまうアプローチは、金もかからず効果的ではないでしょうか。

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