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自分の可能性を制限する思考「サボタージュ」

コーチングでよく扱う「サボタージュ(saboteur)」という考え方について書いてみたいと思います。「ずっとやりたいと思っているけどできていない事がある」「止めたいけどなかなか止められない」。もしこれを読んで自分の事を言われたように感じていたら、きっと今のあなたにも効果的なツールだと思います。

サボタージュとは何か?

この言葉は一般的にはサボるという言葉の語源になっている、労働者が企業へ労働環境改善等を訴える活動の事を差すと思いますが、コーチング業界では「自己制限的思考」、つまり自分自身の可能性を制限するような思考という意味で使われます。

何か変化を起こそうとする時に現れる「今のままで良い、変化はリスクを伴う、失敗しない方が良い」というような感情です。新しい事に挑戦したり大きく変化をする時だけでなく、これまでやってきた事を変えたり止めたりする時にも顔を出します。自分でその生き方を意図的に選択しているのであれば問題ありませんが、その選択に無自覚だったり思考停止してしまっていないかという事を見にいくツールとして「サボタージュ」を使います。

例えばどのようなものがあるのか?

「サボタージュ」はあなた自身の一部で、耳元で常に囁き続けるような存在とイメージ頂くと分かり易いと思います。例えば僕自身は最近本業で新しいプロジェクトを思いついてやってみようと思った時こんな囁き声が聞こえてきました。

「もっと時間をかけて用意周到にやるべき」
「どうせ今回もうまくいかない」
「周りに迷惑をかけて評価を下げたくない」
「面倒な仕事を自分で増やしたくない」

CTI創設者でStanford大学教授のShirzad Chamineは「サボタージュ」には10種類あると言っています。自分の中の「サボタージュ」を見つけにいく時の枠組みとして使う事ができます。

①裁判官:リーダー格。自分・他人・周囲の状況に責任をなすりつける。怒り・後悔・罪の意識・不安は大抵これが原因。②〜⑩を活性化する働きも持っている。

②潔癖症:完璧主義者。行き過ぎな位に整理整頓にこだわる。

③八方美人:人に好かれたい思いが強く手伝ったり喜ばせたり助けたりするが、何をしたら良いか分からなくなり、応えてくれない相手に不満を持つようになる。

④優等生:常に実績を挙げていないと自信が持てない。外面的な成功ばかり考え、持続不可能な仕事中毒に陥り、心の底にある感情や他者との絆を見失う。

⑤犠牲者:被害者意識が強く注目を浴びて愛されたい。

⑥理屈屋:あらゆる事を合理的に処理しようとする気持ちが強く、冷たい・よそよそしい・傲慢と見られがち。

⑦怖がり:あらゆる事に対して最悪の事態ばかり考えていて心配が尽きない。

⑧移り気:いつも次はもっと楽しい事があると期待したり、忙しさに気を紛らわせたりしており、今やっている事に安らぎを感じたり満足する事ができない。

⑨仕切り屋:不安から状況を支配しようとして他者を思い通りに動かそうとするるが、思い通りにいかず一層不安になり苛立つ。

⑩優柔不断:ポジティブなものや心地良いものに固執して、難しい事・楽しく無い事・争い事から逃げる。

どのように向き合っていくのか?

コーチングセッションではこの「サボタージュ」を探しにいき、見つかった「サボタージュ」を姿・形・色・声・音・感触・重さ・硬さ等の感覚的要素で可視化して、それぞれに名前をつけて、向き合う・脇に置いておく等の対処をしていきます。

よくある誤解は消したり閉じ込めて目の前に出てこないようにしようとする事です。残念ながら「サボタージュ」は人間が生存していく為に必要な恐怖心から来ている所もあり完全に打ち消す事はできません。ここで一番重要なのは存在を認識して対処していくという事です。

もし詳しく知りたくなった場合は?

今日お伝えした内容は僕の解釈が入っていますので、「サボタージュ」について詳しく知りたい方や自分で向き合ってみたい方には、Shirzad ChamineのTEDプレゼンや本をおすすめします。本はタイトルが中身を正しく表していない印象がありますが「サボタージュ」を深く理解する事ができる良い内容になっています。


以上です。貴重なお時間を割いて最後まで読んで下さりありがとうございました。


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