見出し画像

「エンジェル投資家を紹介します」と言われて

僕は、まだ2年しか経っていないベンチャー企業の経営者だ。自分が正しいと思う道を進むためにベンチャー企業を作り、世の中を変えたいと思っている。

でも、それはウラを返せば、ひょっとしたら自分が正しいと思うことに誰からも見向きもされない可能性もあるということなワケで、経営者なんて言ったって、颯爽と格好良くいられるはずもなく、いろんなリソースがなくて四苦八苦する毎日だ。

ベンチャーなんて、成功するのはほんの一握りなのだから。と思って、ググってみたら、次のようなのが https://www.gaiax.co.jp/blog/entrepreneurship-success-rate/ にあった。

一般的に日本では、起業してから年数が経つごとに廃業するパターンが多くなります。一説のデータによると、起業して生き残る確率は以下の通りです。
・1年後:約40%
・5年後:約15%
・10年後:約6%
・20年後:約0.3%
・30年後:約0.02%

ぴえん。。。まあ、ですよねー。。。なるほどですねー。

そんな中で、自信は揺れ動く。ひょっとしたら「自分が正しいと思っていることが間違っているかも知れない」と考えてしまうのが最大の恐怖だ。

そんな時、僕はどうするか。「いや、絶対間違ってない、そのうちみんな気が付く!」と自分に言い聞かせる。自分を信じられなくて、経営者がつとまるか!と。

でも、世の中そんなに甘くない。みんな正しいものより欲しいものに飛びつく。「ニーズ」ってヤツだ。だから、自分の正しいと思うことと「ニーズ」が合致してないと、ベンチャーとしてはダメだ、ということになる。

そのために一所懸命考える。次に何をしたら良いか。仲間と議論するのはもちろん(そういえば、明日も仲間との議論だった)、子供と風呂に入っていてもトイレにいる最中も頭のどこかでどうしよう、と考えている。

でも、ベンチャーに正解はない。いつでも暗中模索、試行錯誤の繰り返しだ。資金だって、そう簡単には集まらない。

そういう時に甘い言葉が忍び寄ってくる。

「サイトを拝見して、御社の考えに共感しました。当社では御社に共感できるエンジェル投資家を紹介できると考えております。」みたいな感じの連絡がちょくちょくと来る。

資金調達をしたい経営者は、そりゃあ、そんな話がくると嬉しいと思う。特に、自分の考えに共感した、とか言われればなおさら。

ここから先は、実話とフィクションを混ぜて話をしたい。だって、そりゃあ、イロイロ大人の事情ってものがあるじゃない(マツコさん風に)。

で、話はなぜかトントン拍子で進んでいく。あ、ちょっと話は脱線するが、ちなみに、僕の会社の場合、有名な会社やベンチャーキャピタル(投資を専門とする会社)からも、「話を聞きたい」と言われて面談することがあるので、大体の会社のスピード感や投資のためには何が必要か、ということは分かってるつもりだ。

それからついでに言っておくと、日本に「エンジェル投資家」という人はほとんどいない、ということも知っている。例えば、https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00081/020100138/ では次のように言っている。

エンジェル投資家が少ないとされる日本だが、成功した起業家がエンジェルとなり、後輩を育てている例もある。これからの日本のエンジェル、そしてベンチャーに引き続き注目していきたい。

そう、大体エンジェル投資家なんてそんなにいるはずないのだ。日本の場合。

ちなみに上のサイトでは「エンジェル投資家」の定義について次のように言っている。

エンジェル投資家とは、創業まもないベンチャー企業を支援する個人の投資家のことだ。一般にVCのような巨額な投資は行わないものの、自身のノウハウやネットワークを活用して、起業家に有形無形の支援を提供してくれる。起業家にとっては「親や親戚」と「VC」の間を埋める存在、と言われることもある。

この定義は、僕から見ると、すごーく正しい。巨額でなくても投資してくれて、それだけじゃなくて「自身のノウハウやネットワークを活用して、起業家に有形無形の支援を提供」するってところがすごーい重要。

たまたま僕には本当の意味でのエンジェル投資家のアメリカ人の知り合いがいるので(残念ながら、彼の専門領域でなかったので僕は彼からは出資を受けられなかった)、僕はエンジェル側の事情を良く知ってる。

彼の場合、投資した後もその企業が倒れては困るので、資金が足りなくなれば起業家と一緒になって資金集めに奔走し、知り合いを紹介し、友達に投資を頼み、と必死になってやっていた。

今じゃ、彼はものすごい資産家になってる。でも、言っている。「エンジェルってね。。。本当、タイヘンだよ。。。いやあ、もうタイヘン。」

つまりエンジェル投資家にはその企業と一緒に自決するくらいの覚悟が求められるものなのだ。でも、アメリカの凄いところは、そういう人が結構いるって事。日本にそんな人、いる? 元々知り合いでなければ無理じゃない?

っていうか、半沢直樹の「貸すも親切、貸さぬも親切」じゃないけど、知り合いであれば、なおさら、お金出さないんじゃない? 出したら自分も破滅するかも知れないし。日本の場合は連帯保証とかさせたりするセコイ資金提供者も多いんだし。

で、脱線したけど話を戻すと、

その数少ない日本のエンジェル投資家を紹介してくれるという「エンジェル紹介業者」の方々との話はトントン拍子で進んでいく。が、途中から「次回はこれをやります」と言っていた話が「そのためには**万円必要です」とか言い出されたりする。

いやあ、こわ!!! ってか、聞いてないよ。

まあ、こういう話って本当にどこでもあって、別にベンチャー業界でなくても、宗教団体とかネットワークビジネスまがいのものとかでも同じような話はあるので、本当に気をつけなければならない。

また、僕は下手に英語が出来たりするので、海外からもそういう話が来たりする。有名なVC(ベンチャーキャピタル)とかからのお誘いならまだ良いが、LinkedIn経由で知り合いになった外国人が

「いや、それ日本では違法ですよ」

みたいな話を「世界的には合法だよ」とか真面目に言って話をしてくる。いや、だからここは日本だって。っていうか、世界的に合法な法律ってなんじゃそれ。

それから「自分は中国の投資家だけど、口座をスイスの銀行に作ってくれたら、すぐに払い込むから連絡先をくれ」とか。

もちろん、投資家の紹介をしている全ての人が、悪どいワケではなくて、真面目に「起業家のために」と頑張っている人も知っているので、全て、そういう人たちを否定するつもりはない。

けど、そうやって言い寄ってくる、あまり信用できない人々が一定数いるのも事実なので、起業家の皆さん、お互い気をつけましょう。

起業して「スタートアップ経営者」なんて気取っていると、色々なワナがあるから、皆さんも気をつけて。

まあ、結論としては、

ベンチャー企業の経営者なんて、そんなカッコよいものでも何でもないですよ、ってことかな。こちとら、いつも怖い話にビクビクしながら自分の信念を貫こうと思っています。

ではまた。明日も良い日でありますように!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?