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2. SAKRA WORLD HOSPITAL

はじめに

 今回、訪問させていただいたSAKRA World Hospital(サクラ病院)は私立の3次医療機関で、セコム医療システムと豊田通商の共同で設立した病院になります。サクラ病院はインド第4の都市であるベンガルール(旧称: バンガロール)にあります。ベンガルールはインドのシリコンバレーと呼ばれるようにMicrosoft, AppleなどIT産業が集積している都市です。

病院の概要

 2014年2月に開設された病院です。病床は308床(集中治療65床、COVID専用4床)ですが、訪問時も増床を進める工事がされていました。位置付けとしては三次医療機関であり、循環器、消化器、整形外科、救命救急、リハビリテーション、小児科など23の診療科を持っています。スタッフ数は1,211名(医師227名、看護師470名、技師268名、その他246名)です。外来数は一日あたり700名前後だそうです。

新設中の病棟の様子

新型コロナウイルス感染症への対応について

 新型コロナウイルス感染症の流行にも対応し、発熱外来・PCR検査用検体採取のためのブースが2箇所ずつありました。また、排気ダクトを設置するなどして、陰圧環境を整備したりエリアを分けて院内感染を防いだりして工夫したそうです。インド内でいち早く、オンライン診察を全診療科へ導入し、新患は基本的にオンライン診療を推奨しています。また、COVID病棟に勤務する職員のために近隣ホテルを用意して家庭内感染を防ぐ工夫もされていました。このように、患者さんを最大限受け入れる方向でベンガルールの医療を支えたそうです。

検体採取ブース

病院の特色について

 サクラ病院ではリハビリテーションに力をいれているそうで、日本のリハ室のように広いスペースで多くのスタッフと患者さんがリハビリを行うような形にしていました。医師は英国や米国でトレーニングを受けた医師も多く、レベルは高いそうです。リハビリテーションの成果として、米国を旅行中に事故に遭った患者さんが寝たきりから歩行可能になった事例を紹介していただきました。
 また、近年は在宅サービス(訪問看護、訪問リハ、訪問健診)などへ力を入れているそうです。サクラ病院傘下のクリニックを開院するなど、地域包括ケアシステムの構築を目指しています。

リハビリテーション室の様子

病院が注力していること

 インドでは看護師の社会的地位や給与が低いために、一般的なインドの病院での離職率は50%と高いそうです。そのため、より良い待遇を求めて中東など待遇の良い地域へ行く人も多いそうです。そのため、給与水準の向上や看護師の教育を通して、看護師の育成と地位向上を目指す取り組みに力を入れていきたいと述べられていました。 

感想

 私はサクラ病院を見学して、患者さんの目線に立って質の高い医療を提供していると感じました。検査機器など病院の設備は日本の大学病院にあるものと同じメーカーのものも多くありました。また、高価な特別病床に対する需要も高いということに驚きました。また、診察の受付システムの自動化など効率的に運営をされている工夫(カイゼン)が随所にありました。
 帰国後、ベンガルールの若手医師とオンラインで話す機会がありました。彼は、SAKRA World Hospitalは日系の病院で質の高い医療を提供していると話しており、医師の間でもとても人気がある病院で彼自身もサクラ病院で働きたいと話していました。

参考資料


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