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星降る夜に

ふとしたタイミングで星が流れた。

「流れ星が流れてる時に3回願えば願いは叶うんだって」

いつしか僕に言った君の言葉。

流れ星に願いを掛けてみるけど、どう足掻いても星が消えるまでに3回も同じことを願えない。だから僕の願いはきっと届かない。

まるで僕と君の関係性みたいだった。繋がりたくても繋がれないそんな感じ。

君も今頃は夜空を見てるのかな。もしそうだとしたらすんごく嬉しいんだけど、きっと君は夜空を見上げるような真似はしない。

星降る夜に僕らは出会った。そして徐々に近く2人の距離。

なんの流星群だったっけ。覚えてやしないけど、流れ星を首が痛くなるまで見ていた。

本音を言えば、星なんかよりも君のことを見ていたかったんだけど、あまりにも君の横顔が美しすぎて、なんだか照れ臭かったんだよ。

なんども繰り返す天体観測。その度に君の星のうんちくを聞いて、その知識量に驚いていたんだよ。

天体観測は晴れた日に行われる。「午前2時踏切に望遠鏡を担いでった」とかそんなBUMPみたいなことをしたりなんかもしていた。

満点の空にはいつも無数の星。綺麗に輝く星に綺麗な君の横顔。

〇〇座とか適当な名前を付けたりして、2人は星の鑑賞会を楽しんでいた。

でもいつしか君は星の話をしなくなった。あんなに流星群が好きだった君が星の話をしないなんて信じることができなかった。

君は星が嫌いになった。その理由はいまだにわからない。

戸惑い隠せずただただ1人で星を鑑賞する毎日。

星が嫌いな君。そんな君とは裏腹に毎日星ばっかり見上げてる僕。

星の輝きに潜む美しさに君の美しさ。両方の美しさに惹かれ、僕はきっと恋に落ちていた。

星の美しさを教えてくれたのは全部君だった。

あれなぜだろう?距離は近づいたものの一向に2人の仲が進展するきっかけがない。

実は全部知ってた。君に彼氏がいたことも。僕には最初から君と一緒になる権利がなかったことも。

僕は今日も今日とて星のありかを必死で探す。

星の鑑賞会。2人の鑑賞会はいつしか1人になった。

天体観測。午前2時に踏切に君が来ることはもうない。

星降る夜に君ともう1度星を見たかった。

僕の願いはきっと叶わない。

それでももう一度だけ星に願いを。

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