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失ったものが教えてくれたこと

手に入れたものと失ったものを数えると同じぐらいある。だが、失ったものは案外大切だったのかもしれないと気付いたのは、失ったものを見つめ直した瞬間だった。

過去は振り返ることができても、戻ることはできない。今の自分に残された選択肢は、後悔か納得の二択だ。人生は前にしか進めない。選んだ道が後ろ向きだったとしても、人生は勝手に前に進んでいく。そんな当たり前の言葉を何度も目にしてきた。

新しい何かに挑戦して、できることが増えていく。その喜びは凄まじいエネルギーがある。新たな成功体験を求めて、また別の何かに手を出す。人生はそれの繰り返しで、求めれば求めるほどにキリがない。時に努力は裏切るけれど、努力で得た経験は裏切らない。その言葉はたくさんの夢破れた人たちを救ってきた。努力は美しいけれど、そこにもきちんと限度がある。一定のボーダーラインを超えた瞬間に、その美しさはあっという間に崩れ去り、己の体に食い込む刃物と化す。ボロボロになった体を再起させるのは簡単ではない。決して元には戻れないし、傷ついた体で新しい道を探す必要がある。

体力がある限りは、蟻のようにがむしゃらに働くことができる。歳を重ねれば、重ねるほどに体力が低下し、昔のような働き方ができなくなっていく。だからこそ、毎日を過ごしながら、自分の人生について深く考える必要がある。人生の進め方を間違えれば、取り返しのつかない事態を招く。

失ったものは案外大切なもので溢れている。20代の頃にできていた徹夜、無知だからこそ持つことができていた自信、それらは全て無駄じゃなかったし、自分に必要なものだった。無理はしても無茶はしない。傷ついた体はきちんとケアをする。壊れないように、壊さないように、残りの人生を楽しみたい。他人は大切にできるくせに、自分は大切にできなかった。それすらも愛おしい過去で、大切なことに気づかせてくれたかけがえのない財産だ。


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