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ミスチルが青春のすべてだった

「自分の好きなものはなんだろう?」と考えたときに、すぐさま頭に浮かんできたのは国民的アーティストの「Mr.Children」だった。

ミスチルにハマったのは小学生の時だったと思う。ミスチルを知ったきっかけは、母がCDコンポよく聞いていたことだ。数あるアルバムの中でよく母が家で流していたのは、「深海」と「ボレロ」だった。でも、自分が好きなアルバムは「肉」と「骨」と呼ばれるアルバムで、母はあまり「肉」と「骨」を聞くことがなかった。だから、母が家にいないときにこっそり「骨」と「肉」を楽しむのが僕の習慣だった。

中学生に上がり、親に携帯を買ってもらった。「これでどこでもミスチルが聞けるぞ」と舞い上がった記憶がある。でも当時は、音楽を有料でダウンロードして、楽しむのが主流だった。とはいえ、中学生の僕には有料課金するほどの金銭的余裕はない。だから、勝手にミスチルの楽曲をダウンロードした。もうこれで、親にバレると怒られるのは確定だ。だから、親に内緒で2階の屋根裏部屋で、ミスチルの楽曲をこっそりと楽しむことにしたのであった。

好きなものを誰かになるベく共有したかった僕は、ミスチル好きの同年代がほとんどいないという問題に直面し、好きなものを共有する喜びを味わうことができなかった。でも、誰も知らないものをこっそり楽しむのも悪くない。「天才的アーティストを発掘している同年代が自分以外にいない」という優越感に浸り、中学生ながら毎日ミスチルの音楽を楽しんでいた。そして、誰にも知られずに、味わい尽くすという自分の価値観を180℃変えてしまったのが、ミスチルであり、桜井和寿の歌声の偉大さでもあった。

でも、僕がこっそり楽しんでいたミスチルは、中学2年生の時に、「オレンジデイズ」の主題歌である「Sign」の登場によって、大々的なアーティストへと一気に躍り出てしまった。たくさんのクラスメイトが教室の中で休み時間に「Sign」を口ずさむようになった。マイナーからメジャーへと躍り出たあの悔しさと喜びは、今でも忘れられない。「Sign」を歌えるようになりたかった僕は、何度も同じ場面を聞き直し、自分なりに歌詞をノートに書き連ねていた。でも、自分の書いていた歌詞は正しい歌詞とはあまりにも程遠いもので、そのクオリティの低さに落胆してしまったこともある。今思い返せば、本当にバカみたいな話だよね。

中学3年生の時に、国民的ドラマの「14歳の母」にミスチルが抜擢され、「しるし」が主題歌となった。「しるし」は友人とカラオケに行くときに、必ず歌っていた楽曲だ。家で熱唱しすぎて、何度も親に怒られたし、シングルを親に買ってもらって、音が擦り切れるぐらい聞いたのも懐かしい思い出だ。

「しるし」の後に販売された「フェイク」は「しるし」を越えることができないというミスチルの潔い諦めによって、40万枚限定500円で世に出ることになった。もちろん僕は購入した。40万枚しか世界に存在しないCDだぜ?手に入れるか、絶対手に入れるかの2択しか僕の選択肢にはない。

これは完全に余談なんだけど、「フェイク」のシングルには秘密がある。桜井さんが歌い終わった後に、4分ぐらいの間奏があるんだけど、その間奏の中で一回だけ「フェイク」って桜井さんが言うんですよ。最後の歌詞の「それすら」の後に「フェイク」を重ねると「それすらフェイク」で終わるようになっている。その事実を知ったときの鳥肌はいまだに忘れられないし、後世のためにミスチルを好きになった人には確実に伝えるようにしている。

高校生に上がり、MDコンポやCDコンポで、音楽を聴くことが以前よりも少なくなった。そう携帯で音楽を聴くのが主流になったのだ。それでもミスチルが新譜を出すたびに、アルバイトで稼いだお金を新譜に費やしていた。「HANABI」や「GIFT」、「SUPERMARKET FANTASY」などあらゆるCDを購入しては、何度も繰り返し擦り切れるぐらい聞いた。母が持っていなかったアルバムはいろんなお店を周り、中古ですべて手に入れるという執念も発揮した。ミスチルのおかげで、「好き」はときに執念深さを発揮し、また無限の可能性を秘めたものなのだと高校生ながら、知ることができた。恐るべしMr.Childrenなのである。

当時はミスチルに限らず、たくさんのCDをCDショップで購入するのが趣味だった。でも、Apple MusicやSpotifyの出現によって、街のCDショップも閉店に追い込まれ、地元のCDショップもサブスクには勝てず、シャッターが下されていた。サブスクの出現によって、以前はCDで聞いていたものも、iPhoneで完結するようになり、少し寂しくなったような気もする。便利な時代になったけど、少しだけ不便さも残ればいいのにとたまに思ってしまうのは僕だけなのだろうか。

今はもうCDを買うことがほとんどなくなった。その代わりにミスチルを応援したいという理由で、音楽を有料でダウンロードし続けている。ちなみにライブのDVDも購入する。ライブのDVDを鑑賞するたびに、現地で見たライブの情景が思い浮かぶ。桜井さんの甲高い声のMCは全力で楽しんでる様がよく伝わってきて可愛いし、ジェンのおふざけはいつものこと。いつふざけてくれるのかがライブの楽しみでもある。いつ見ても長袖を着ているけんちゃんは汗腺があるのかなって、疑問に思ってしまうぐらいには涼しげな顔をしている。ナカケーの髪はいつもお洒落だし、それでいてクールな感じがたまんなくいい。毎年ライブに行き続けているのはミスチルだけで、ミスチルのライブに行くのが自分の楽しみでもある。

誰かに恋をしたときもミスチルの歌詞を参考に好きな人にアプローチした。そして、失恋したときもミスチルの歌詞に救われていた。受験前に励ましてもらったし、部活動で辛い時期を乗り越える時もいつも僕のそばにはミスチルがいた。そう僕の青春はミスチルがすべてだったのだ。

そして、28歳になった今でもミスチルが好きだ。ちなみにミスチルがメジャーデビューを果たした年に僕は産まれた。これもなにかの運命だと勝手に思っているし、ミスチルが同い年であることは僕の誇りである。ミスチルは青春の全てだった。ミスチルの変化に負けることなく、自分も成長できるように、前を向いて生き続ける。そして、これから先もずっと変わることなく、日本のモンスターバンドであるMr.Childrenの動向を追いかけ続けたいと心から強く思っている。

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余談だが、2階の屋根裏部屋でミスチルを聞いていたことはバレていたらしい。「携帯料金が高くなるまでは、黙っておこう」という両親の優しさがあったみたいで、20歳の秋に親にカミングアウトされ、恥ずかしい気持ちになりましたとさ。

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