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磁石

まるで磁石のように惹かれあった2人。今では反発しあってしまった2人。運命かのように惹かれあって、運命かのように別れを告げる。始まったら終わるだけ。そして、終わったらまた別の物語が始まるだけ。

手のひらサイズのコンパス。方位磁針はまた次の人へと向かうのがオチ。反発しあった磁石。壊れたら元には戻らないんだって。「そりゃそうか」って肩を落としながら現実を受け入れるのがオチ。

見たくない過去。終わってしまった現在。君がいない未来。出会いと別れの両方に意味があるのなら、なぜ二人を出会わせたのか教えてちょうだいよ、神様。

君の瞳の奥にはもう私はいなくて、私の瞳の奥にはまだ君がいるのは、まだ私が前に進めていない証拠。繋いだ手から少しずつこぼれ落ちた愛情に、気づけなかった二人の過ちの代償だねって。戻れないことが切なくて、君がいた日々が懐かしくて、いつでもここに戻って来れますようにと、願いを込めたところで、君には届かないのがオチ。

前に進めないのを、長く伸びた前髪のせいにしちゃうところが私の悪い癖。そういえば嘘をつくときに、そっと目を逸らしながら話すのがあなたの悪い癖だったね。悪い癖も別れてしまったら、愛おしく思えてしまうから、きっと私が惚れてたんだろうなって。

目をつぶればそこには笑顔の君がいて、目を開けばもうそこには君はいない。かつては当たり前だった2人。今では特別にすらなれない2人。2人で1つだなんて、嘘で騙して、私を乱して、用がすんだら、はい、ばいばい。

2人で回したねじまき時計。今ではすっかり動かずに、2人の時間とおんなじだねって。安っぽいガラクタみたいな運命。枯れてしまった花のように、価値がなくなった2人。めいっぱい傷つけて、めいっぱい傷つけられて、おあいこだねって。

この思いすらもおあいこになれば良いのに、最後の最後まで私が負けたことを認められないまま君が去った。

運命のように惹かれあった磁石。そして、運命じゃなかったことに気づいて離れてしまった磁石。反発しあった2人の恋に、今さよならを告げるよ。

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