東京タワーにいつかの夢を見て
東京タワーを少しずつ登っていく。徐々に遠のいていく街並みが綺麗だった。と、月並みな感想しか出てこない。届きそうで届かない星に手を伸ばして、落胆するみたいに、いつかの夢は叶わなかった。空に浮かぶ赤が沈み出す頃に、彼女の綺麗にかき分けた黒髪が赤に染められる。と、比例して、虚しさが募っていく。
夏が始まったばかりの夕方の気候はやけに生ぬるい。まるで僕たちの関係性ように。夜になれば涼しい気候になる。まだ煮え切らない僕の感情と比例して。東京タワーの最上階から街を覗く。ここにはiPho