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感性を、想像力を。

休校が延長しました。
そして新生児から大学生まで、地域にもよりますが、多くの子どもが家にこもって毎日を過ごしています。多感で、エネルギーに溢れる、貴重な年代の日々にも関わらずです。

失われたのは授業だけでなく、遊びや部活、習いごとの時間も同様に失われました。次にチャンスがあるかどうかという点において、オリンピック・パラリンピック以上に甲子園の方が貴重かもしれません。高校球児に限らず、各個人にとっての「甲子園」的な存在すべてが同様に貴重で、今失われています。
大人たちも、かつて自分にとって甲子園的な存在があった人も少なくないはずです。それがいかに自分の人格形成に寄与したか、大きさは計り知れないでしょう。今回のコロナが学力格差を助長するなどとも言われていますが、僕は格差だけでなく、今この瞬間の未就学児から大学生までの全員が「コロナ世代」として地盤沈下することを危惧しています。

今日は、休校による数ある懸念のうち、個人的に最も憂慮している原体験・感動の減少と、その中で見えてきた希望について綴ります。

※このnoteは、親/保護者、教員/コーチなどの教育関係者、管理職、部活のキャプテン、あるいは今日子どもと接するかもしれない大人たちなど、人間の成長・変化に関心と影響があるすべての「教育者」に向けて書きます。


持つ者と持たざる者

主催する1on1 collegeを通して、日頃から継続的に高校生・大学生と接していますが、コロナによる休校は学生を「持つ者」「持たざる者」の2つに分けました。

■ 持つ者:
時間が生まれたことを有効活用し、休校の日々を謳歌している学生。
学校の好き・嫌い問わず、今しかできない何かを見つけ、実践している。休校延長も歓迎。

■ 持たざる者:
時間が生まれたことを有効活用できず、暇を持て余している学生。
何かやろうと模索するものの、うまく実行・継続できないことも多々。休校延長もただただ落胆している。

ではこの「持つ者」は何を持っているのか?
それは、原体験です。感動であり、動機であり、エネルギーです。「やりたいこと」とも言い換えられるかもしれません。
学生と接する中で感じるのは、持たざる者にとって、withコロナのオンラインのみの世界は、新たな原体験・感動を生みづらい環境で、持つ者になる機会が奪われているということです。両者はコロナ前から分かれてましたが、今その差が如実に広がり始めているように感じます。

一筋の光明

では、もう持たざる者はそのままなのか。
懸念が完全になくなるわけではありませんが、以前、感動について書いたnoteを読んでもらった方からのご意見に、1つのヒントを見つけることができました。昨今の子どもたち、特に今小学生や未就学児は、このオンラインのみの世界からも十分に感動を得ているのではないか、ということです。

もしかしたらコロナになる前の過ごし方にちがいがあったり、何か別の要因がありかもしれません。ただ、世代によって感じ方・考え方に変化があるように、オフラインとのハイブリットだったデジタルネイティブのさらに次世代、純オンラインネイティブのような「ニュータイプ」が出現してもおかしくありません。プリウスからテスラへの進化のようですね。

フィジカルな体験ではないのかもしれませんが、彼ら/彼女らはオンラインで出会った何かに、確かに感動したり、憧れを抱いたりしてます。例えば最近、ミスチルが過去のライブ映像をYouTubeで公開していました。僕からすればそれはライブでの熱狂がなくても、娘からしたら実際に体感したかのように興奮を起こし、記憶に残っていました。鍵は、感性と想像力、それぞれの豊かさなのだと思います。

世代を超えて

その点、感性と想像力が未だ瑞々しい世代は、ニュータイプとして、この難局を乗り越えられるかもしれません。しかし、既にそれらが失われつつある年代、例えば高校生・大学生以上は、一体どうなのでしょうか。もしかしたら、未就学児や小学生より、何か「感じやすさ」は衰えてるかもしれず、比較すると原体験を生みづらい世代と言えるのかもしれません。

ただ、もともとコロナ前も、年代問わず、フィジカルな経験を伴わずに感動することはあったはずです。本や写真、映画などで感動し、それが原体験となって、明日へのエネルギーを得ることもあったはずです。人によるところもありますが、人によってできるということは、誰でもできるのだと思います。

時間の余裕ができているなら、何かへの「感じやすさ」はコロナ前よりも整っているかもしれません。現に、これまでなかった散歩の習慣があったりして、空模様や道端の草花、季節の変化に気づきやすくなることもあるでしょう。料理をするようになって、味覚が繊細になるかもしれません。
こういった日常の彩りが、年代を超えて人々の感性と想像力を豊かにし、新たな感動を生む。新しい原体験がある日々を、この休校期間は高校生・大学生と模索しようと思います。

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今日もありがとうございます。
これからも、人間の成長・変化に関心と影響があるすべての「教育者」に向けて、新しい教育への挑戦と、その過程から生まれた考察を毎日綴ります。

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