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いつかすべての高校生・大学生たちに。始まりの話、その1。採用で感じたこと。

まだチームラボキッズに在籍していた頃、採用の責任者として、毎年新卒も中途も何百人もの人を面接していました。


そのとき、いちばん重要な採用基準は、

「何かに没頭したことがあるかどうか」
そして、「その没頭の度合い」でした。


没頭していたことはどんなことでもよくて、究極で言えば「渋谷でのナンパ」でもいいのです。人に余程の迷惑をかけていなければ。

成長意欲や思考意欲、何か考えなきゃいけないときにちゃんと考える意欲がそもそも培われているか。なにかに没頭した経験がある人は、何かしらスキルも身についています。ちなみにこの採用基準は何もチームラボ特有のものではなくて、真剣に採用を考えている企業であればこの結論にたどり着くことも多いでしょう。
いかにして新しいものを生み出すかというクリエイティブの文脈でも、言われたことをこなしているだけの人よりも、好きで没頭している人こそ新しいアイデアにたどりつく可能性が高いです。

だけど、残念なことに、この採用基準に満たない人が多くいました。
多いというか、ほとんどだったんです。


しかし一方で、学生や社会人と話していると、実はそうなりたかったという人は多かったんです。つまり、何かやりたいことを見つけて没頭するような日々があって、それで価値観やスキル、強みを磨いて、なおかつ仕事にも反映させたいと考える人はものすごい多いわけです。後々わかったことですが、加えて、学校関係者や保護者も、子どもたちに「自分のやりたいことを見つけて、仕事につなげてほしい」と考えている人が数多くいます。

ということは、ですよ。子ども自身も、親も、学校も、会社の採用側も、みんなが「やりたいことを見つけて没頭して仕事につなげてほしい」と本音では思っている。それなのに、凄まじい割合でそれが実現されていない。99.9%かもしれない。それを知って、なんて不幸なことが起きているんだと思いました。それがまず根本的な問題意識のひとつです。


やる気がなければ大した学びは起きていない

 一方、チームラボキッズでは「未来の遊園地」という子ども向けの教育事業で、デジタルアートを使った施設や空間づくりが進んでいました。魚の絵を描くとその魚が泳ぎだす「お絵かき水族館」のように、遊びながら学べる作品を、日本中そして世界中に展開していくにあたり、教育的な付加価値をより高めるために、学校やミュージアムなど、いろいろな教育施設を国内外で視察しました。

その中で知ったのは、英語やプログラミングだけでなく、ひとむかし前にはなかったような、企業の課題解決に取り組んだり、新商品を開発したり、インターン、海外研修、投資、演劇やデザイン、アート、ものづくり、様々な新しい施設、ありとあらゆるプログラムや機会が増えていることです。ただ、チームラボの採用で感じた問題意識と根本的には同じで、どれほど優れたプログラムだったとしても、参加している人たちにやる気がなければ大した学びは起きていない。つまり、没頭しなければ学びは起きず、没頭した人こそスキル的にも価値観的にも最も成長します。

だからそこに向かう態度、本人の「やりたさ」にこそアプローチしなくてはいけないと気づきました。


(続く)


※これは、高校生・大学生のパーソナルメンター「1on1 college」がどうやって生まれたか、インタビューしてもらった内容を文字におこしたものです。

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