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いつかすべての高校生・大学生たちに。始まりの話、その2。高校の教育現場で感じたこと。

国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高等学校を、文科省が指定するスーパーグローバルハイスクールという制度があって、指定された高校には子どもたちの探究活動をサポートするための予算が出ます。その制度を受けている学校のひとつに東京都練馬区にある東京学芸大附属国際中等教育学校(以下、学芸大国際)があります。

2017年、学芸大国際で探究活動の責任者を務めるA先生から「学校でチームラボの話をしてくれないか」と依頼がありました。


当時、全国の学校からチームラボやチームラボキッズに来る問い合わせや依頼のすべてを見ることのできる立場にあって、また、僕がそういうジャンルが好きなことは社内で知られていたので、学校からの依頼は僕のところに話が来るようになっていました。

それですぐに行くことになり、ただせっかくなら学芸大国際のことを知ってからチームラボの紹介をしたかったので、 学祭を案内してもらったりしました。チームラボについて学生の前で話すことはもちろん依頼通りおこなって、そのあとこちらからから「実は、学生の探究活動に対してこういう問題意識があって、教育プログラムを開発して展開しようと考えています。こちらでやらせてもらえませんか?」と提案したところ、A先生がものすごく柔軟かつ寛容に話を聞いてくれました。それで意見交換しながらできたのが、2018年10月から始まった学芸大国際でのプログラムでした。


どう進めるかより、何にするかに困っている

2022年から全国の高校で、総合的な学習の時間をブラッシュアップした「総合的な探究の時間」が必修化されます。それに先駆けて、学芸大国際では全校生徒が2年半ほどかけて「課題研究」として探究学習プログラムに取り組んでいます。

やりたいことをやりたいだけ突き詰められるプログラムに学校の授業として取り組めることはおもしろい試みだと思いましたが、いざ生徒たちの研究内容を見たら「みんな、これ本当にやりたくてやってるのかな」と、課題に感じていたこととやはり同じ印象になってしまったんですよね。こういう研究にしたら書きやすそう、評価されそうと学校が求めているものを当てにいっている印象があって、具体的に言うとSDGsなどいわゆるな「社会課題」に向かう研究があまりに多かった。

実際に、課題研究をやった生徒たちのアンケート結果でも「課題研究をやったことが今後の進路の決定に影響があったか」という内容の質問に対して「あった」と答えた生徒は20%未満。2年半も課題研究をして自分の進路決定に影響がなかったということは、実際には自分の好きなことを研究対象に選んでいないのではと感じ、そのことをA先生にお話しすると、先生も同じ問題意識を持ってらっしゃった。実は課題を進めることよりもなにに取り組むか決めることに、いちばん苦労していると。

僕らは同じ問題意識を持っていました。


(続く)


※これは、高校生・大学生のパーソナルメンター「1on1 college」がどうやって生まれたか、インタビューしてもらった内容を文字におこしたものです。

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