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会社設立freeeを使って株式会社をつくる手順(前編)

公証役場で電子定款の認証手続きを終えて自分の銀行口座に資本金100万円を振り込み、登記申請を目前に控えた今、会社設立までの前半戦を振り返ってみます。これから会社設立を考えている方の参考になればと思いながら自分の備忘録も兼ねて綴ります。

前回、記事を書いたのが2ヶ月前の9月上旬。
この時には既に会社設立を決意し、マークダウンで自分のPCのローカル環境に事業計画書を作成し始めていました。また、地方でスタートアップを夢見ていました。(もちろん今も)

バックグラウンド〜会社設立を決意するまで

2012年3月大学卒業。卒業後は憧れの高校教師に就くも1年で退職。
地元のコンピュータ専門の大学に進学した影響もあり、「ブログやSNSなどのWebで地元の情報を発信したい」という大学時代から胸の奥底にあった想いに火がつき勢いだけで独立。

スキルや実績もないまま個人で活動を始めて8年目を迎えた2020年。
30歳を過ぎてビジネス以外でも外部からの信用を気にする年齢になってきたことがきっかけで会社設立(法人成り)を意識し始めました。

しかし、資金調達できるような実績や知識・スキル、組織体制はなく、資本金も潤沢ではないので最初は合同会社で始めて地に足をつけた組織を作り、事業拡大で外部から資金調達を意識するようになった場合に株式会社に変更、もしくは別会社(or子会社)を設立すれば良いかな?というイメージからスタートしました。

知人の経営者に相談

会社設立を意識し出したのは2020年の春から夏にかけて。
まだ具体的な計画や決意表明を下していない中、日頃お世話になっている地元企業の社長数名に法人化を考えている旨を相談しました。

相談というよりも壁打ちのような感じで、自分の口で話すことで自分がどんなことを思っているか自分自身の整理やアウトプットを目的に話を聞いてもらいました。

まだ30歳という年齢的な若さもあり、相談した全ての先輩経営者に法人化を喜んで頂けました。(株式会社or合同会社に関する意見は少し分かれました)

口に出して話すことはアウトプット(インプットも含む)になるだけでなく、自分で自分の尻に火をつける方法としても便利です。

合同会社?株式会社?

相談した先輩経営者の中には応援する意味で「出資するぞ」と名乗り出てくださった方も数名いました。

自分の想いを語っただけで事業計画書などは見せておらず、本音か建前か分からないので出資額は聞きませんでしたが、そういったことを言ってくださった方がいたお陰で合同会社の選択肢は消え、いつの間にか将来の資金調達のために株式会社にすることを決意していました。

使えるものは最大限に活用する(人脈編)

■ オフィス
年上の経営者だけでなく、地元で数少ない年下で女性の社長にも会社設立の話をしてみました。

彼女は不動産会社を経営しており、今回会社設立を考え始める前から2度ほど「事務所にどうですか?」という声を頂きました。
当時は「会社を設立しても自分一人だろうからオフィスは不要かな?」とあまり前向きではない返事をしていました。リモートワークが浸透し、オフィス離れも進んでいるので今からオフィスを持つことに対して慎重派でした。

しかし、一般人の目線で見ると

株式会社
オフィスを構えている

この2点だけで信用が大きく高まり、扱いや見られ方も変わります。
個人事業主や合同会社、バーチャルオフィスなどでもちゃんとやっている人はたくさんいるのに…

不動産会社の自社ビルが完成し、事務所移転でパソコンの設定などを頼まれた際、以前勧められたオフィスを拝見したところ、「市役所の目の前で立地は最高。外観はアレだけど外観からは想像できないほどシンプルな内観で立地の割に家賃も安くて良いのでは?」と物件を見たのが大きな転換期でした。

「いつ事務所を借りるか分からないけど、事務所を借りるとしたらココにする」と彼女に伝えたところ、いろいろとサービスをしていただき、いつの間にか4階(最上階)を全て借りることになりました。現在はまだ会社登記を終えていないので仮契約です。

オフィスを個人の信用(顔パス)で契約までいけたことは会社としての実績がまだないスタートアップにとってかなりアドバンテージだと思いました。

■ 司法書士
地元の創業者のコミュニティで司法書士の先生とつながりがあるので会社設立について相談しました。

会社設立に関しては「会社設立freee」を利用すると決めていたのですが、お付き合いも大事なので、まず最初に知人の司法書士の先生に相談しました。

最初に相談したのが10月上旬。そして11月上旬に壁打ちも兼ねて現段階での事業計画書を見てもらった結果、すぐにお知り合いの日本政策金融公庫の方を紹介して頂きました。(日本政策金融公庫から融資を考えているため)

会社設立については、年内に設立予定で時間も限られていたのでfreeeで電子定款をパッと作って、それ以降を先生にお願いしようとしたところ、「freeeで一式依頼したほうがスムーズにいき、時間やコストの負担も少ないのでこちらに気を遣わずfreeeに頼んだほうが良いです。長いお付き合いになるので何かの際にはいつでも声をかけてください」というプロフェッショナルな連絡を頂戴し、とても感銘を受けました。さらに仕事の案件まで頂き、感謝してもしきれません。

■ 社労士
社労士も以前からのつながりのある若手の先生がいるのでご相談。
司法書士の先生に「知り合いの社労士がいれば助成金があるはずだから聞いてみるといいですよ」と言われたので確認したところ、12月中旬締め切りの助成金がありました。年内に設立予定だったところ、12月はじめには設立していないと申し込みに間に合わない為、ここから一気にアクセルを踏みます。

社労士の先生にも「タイトなのでご無理はなさらないでください」と温かい言葉を頂きました。

会社設立、そして設立後の事業がメインであって補助金や助成金をもらうことに躍起になってはいけませんね。でも、もらえるよう頑張る。

■ 日本政策金融公庫
司法書士の先生に壁打ちをお願いした翌週、担当者を紹介して頂いたので現段階での事業計画書や確定申告の控え(2期分)を持参し訪問。
※持参物は司法書士の先生からの助言より

「新創業融資制度」に申し込むつもりでいたところ、自分の場合、個人事業主から数えると創業から7年以上、確定申告も2期以上終えていたので新創業融資制度ではなく「一般貸付」に該当するとご指摘を頂きました。

マークダウンで記述したオリジナルの事業計画書も添付したお陰か、「良いと思います」を連呼された。完成していない事業計画書であったので本当に大丈夫なのか不安。

■ 信用金庫
地元の信用金庫にも知り合いがいるのでいろいろ相談しました。

① 個人のカードローンの整理
恥ずかしながら負債があるので一つにまとめてもらいました。
公庫に提出する企業概要書に代表者の借入状況を記入する必要がある為、複数箇所から借りているよりも一つにした方が見栄えが良くなると思ったのでお願いしました。(もちろん金利の面でも)

確定申告の控えを3期分提出し、2時間くらいで審査が通りました。
所得が低いので無理かと思いましたが救われました。

負債はありますが返済の滞りなどは過去に一切ありません。
気になる人はCICなどで個人の信用情報を確認することをおすすめします。

② 助成金について
今回申し込む予定の助成金は福島県指定の設備投資の融資を受けていることが条件なので設備投資の一部を信金で融資をしてもらう予定です。
公庫より信金の方が金利が高いので設備投資の一部のみ。

③ 会社の口座
会社の口座は受け用、支払い用、貯蓄用(税金用)の3つを用意すべしと学んだので信金を貯蓄用にしようと考えています。
登記前なのでまだ未作成。

会社設立に必要なもの

■ 印鑑(個人用、会社用)
会社設立freeeでも印鑑を購入できますが、ハンコ専門店で注文した方が値段も安く、素材も自由に選べます。

はんこプレミアムで作成しました。

【個人用】9,780円(税込)
黒水牛(極上) 実印60x18.0mm/銀行印60x15.0mm 2本セット

【会社用】19,680円(税込)
会社設立4点セット プレミアム赤彩樺実印18.0mm/銀行印16.5mm/角印24.0mm/バネなしタイプ3段住所印

個人用のハンコは既存のもので問題ありませんが、自分はこれを機にちゃんとしたハンコを使いたいと思ったので新たに個人用印鑑も作成しました。
新たに実印を作った場合、役所で印鑑登録を忘れずに。

印鑑登録に行った際に印鑑証明書を2部発行します。※発起人・取締役が自分だけの場合
※公証役場に1部、法務局に1部提出します。

■ 手続き費用
会社を設立するには資本金とは別に手続き費用がかかります。
合同会社と株式会社で費用が異なりますが、今回は会社設立freeeを使って株式会社を設立するケースになります。

◎定款認証料:50,000円(公証役場)
◎登録免許税:150,000円(法務局) ※記事執筆時は登記前なので未納
◯定款の謄本手数料:約2,000円(発行部数による)
△定款の電子署名料:5,000円 ※会計freeeを契約すると0円
◎:必ずかかる
◯:普通はかかる
△:必要であれば

■ その他/参考
【参考】知り合いの司法書士に登記依頼をした場合:310,000円(登録免許税、定款認証費用含む)
【その他】
・印鑑登録費:200円
・印鑑証明取得費:400円(200円×2部)

■ 資本金
資本金は1円から可能ですが素人でもチェックする箇所なので100万円にしました。資本金は会社の体力なので多いに越したことはないです。(1000万円未満の範囲内で)

■ 株について
・発行済株式総数
資本金100万円⇒1株100円×10,000株にしました。

定款認証で公証役場を訪れた際に公証人から「普通、1株1万円とか5万円が多いんですけど珍しいですね」と言われました。

・発行可能株式総数
上限はありませんが、一般的には発行済株式総数の10倍といわれています。
自分は今後の増資のことを考え、1億株にしました。

株については今後の増資や社員に渡すストックオプションのことを考えて細かく、そして多くしましたが会社のスタイルによって異なります
後から変更可能ですが、お金がかかるので最初にバシッと決めておいた方が良いです。事業計画書をしっかり書けていればロードマップも描けているはず。

■ 公告の掲載方法
一般的には「官報」か「電子公告」になります。
会社設立freeeでは「freee電子公告」があり、会計freeeで作成した決算書が自動連携されるのでfreee電子公告を選択。3,980円/年で利用できます。

【本題】会社設立freeeを使った会社設立(公証役場まで)の流れ

定款を作成して公証役場で認証手続きをもらうまでの流れです。
定款作成から定款認証まで約2週間くらいかかります。

会社設立freeeでは目安は約1週間となっていますが、
・電子署名依頼→代金費用確認まで2営業日
・確認から電子署名完了まで5営業日
土日祝日が間に入ると2週間くらい

①会社設立freeeで定款・登記書類の作成に必要な情報の入力
②定款の種類「電子定款」を選択
③定款に電子署名をもらう(お急ぎ便では3営業日、通常5営業日)
④公証役場に行く(要予約)
⑤出資金を入金

【持ち物】
・委任状と電子定款を綴じたもの
・印鑑証明書
・空のCD-R
・本人確認のできるもの

【公証役場でかかった費用】
・定款認証費:50,000円
・電磁記録保持:300円
・同一情報提供(定款謄本) 2部:1,400円
・定款 12枚(6枚×2部):240円
 合計51,940円

電子署名が完了したら管轄内の公証役場に予約します。
公証人から折り返しの連絡がメールで来ます。
この時に定款謄本の発行部数を聞かれたので何部必要なのか事前に決めておくといいです。

⑤資本金を振込
公証役場で定款認証を終えたら発起人の個人口座に資本金を振り込みます。
出資者は自分だけなので自分の口座に資本金を振り込みます。(誰が振り込んだか分かるように)

定款認証前に口座に預けてあったり、自分一人だけの場合は振り込みではなく預け入れでも問題ないようですが、初めての会社設立でやり直しになるのは面倒なので一般的な流れに則って行いました。

まとめ

定款さえできてしまえば難しい作業はありません。必要書類と出資金を準備できれば簡単です。
電子定款の署名をもらうまでが意外と時間がかかったので余裕をもって行動したほうが良いです。署名をもらうまでの間が暇になるので融資用の事業計画書を完成させるなり時間を有効に使いましょう。

次はいよいよ登記申請になります。登記申請した日が会社設立日となるので設立日を気にする場合は早めに動き出すことをお勧めします。


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最後まで読んで頂きありがとうございます。 戴いたサポートはスキルアップに使わせて頂きます。