【ディープテック】 #秘密計算 スタートアップがPreAラウンドにて2億円の調達をした全41ページのピッチ資料を公開します!
はじめに
ご無沙汰しております、Acompany(アカンパニー)の高橋です。前回のnoteから一年弱が経過しています。(時間の流れ早すぎないか!?)記事公開した当時は、月1で投稿しようと思っていたので、流石にサボりすぎてるなと反省しています。
noteをサボっていた間に、AcompanyはPreAラウンドにてANRI、Beyond Next Ventures、DG Daiwa Venturesなどから総額2億円の資金調達を実施致しました。
本noteでは、実際に資金調達時に使用していた全41ページのピッチ資料を公開します!
資金調達のピッチ資料を公開することにした背景
今回のラウンドは、2020年の年末からピッチ資料作成を行い、2021年2月から調達活動を開始し、累計40社ほどのVCとコンタクトを取り、5月末までの約4ヶ月の期間で最終的にANRI、Beyond Next Ventures、DG Daiwa Venturesという本当に素晴らしい方々にご参画いただくことができました。
簡単にAcompanyについて紹介すると、秘密計算(セキュアコンピューティング)を軸にデータセキュリティ領域の研究開発を行うスタートアップであり、名古屋大学と名古屋工業大学から認定を受ける大学発ベンチャーでもあります。MPCベースの秘密計算エンジンである「QuickMPC」の開発を始めとする、ディープテック領域に取り組んでいます。
今回の資金調達をはじめるにあたり、まず最初に投資家向けのピッチ資料に取り掛かりました。資金調達は2度目になりますが、ラウンドが変われば伝えるべきことも変わっていくため、正直何から手を付けていいか全くわかりませんでした。
ありがちだと思いますが、一番最初にやったのは、参考になるピッチをひたすら探すということでした。
しかしながら、ディープテック領域で参考になるピッチ資料が絶望的に少なく、ものすごく苦労しました。特に、Acompanyの位置するPreAラウンドは、実際のお客さんに触ってもらい始めた一方で、PMFを十分に達成したわけではない(さらにPMFまで一定時間がかかる)という位置付けであり、プロダクトの必要性をどう伝えるのがいいか?など非常に難しいフェーズです。
そんな中で、LABOT 鶴田さんの下記noteを拝見しました。
背景+ピッチ本体という構成になっており、自分がピッチ資料を作る上で非常に参考になりました。公開していただき本当に感謝しております🙏
前述の背景もあり、今回のnoteでは、資金調達のためにAcompanyが作成したピッチ資料を、ディープテック領域で参考資料が少なく困っている方の参考になればと思い、ピッチ本体とその資料の作成背景を共有することにしました。(一部、公開が難しい部分は伏せております)
改めて振り返ってみると、資金調達期間で素晴らしい方々のフィードバックや事業の変化があったため、改善したいところばかりで、正直今この瞬間も公開するのが恥ずかしいという想いもあります。
しかし、このnoteを公開する前に同じくディープテック領域で起業する起業家仲間に「こんなの公開したら嬉しい?」と聞いて回ったところ、「本当に困ってるので、公開して欲しい!」と背中を押してもらったため、公開することにしました。
加えて、「秘密計算」という耳馴染みのないテーマについて、少しでも認知が広がって欲しいという期待も込めています。
コンセプト
今回のピッチ資料を作る上で、目指したゴールは、「Acompanyがトレンドにマッチした有望な技術を持ち、いいポジショニングで事業展開するスタートアップである」ということを認識してもらうことでした。
誤解を恐れず言えば、その他の細かい点はファーストコンタクトでは伝わらなくていいと割り切っていました。
上記を伝える上で、ピッチ資料を作る際に一番意識した点は技術の話を極力しないということでした。
Acompanyの強みの大きな要素の一つは、技術にまつわるものです。
一方で、資金調達において話をする相手は、暗号やコンピュータサイエンスの専門家ではない投資家の方々です。(もちろん、例外的な方もいます)
そういった、非専門家に研究発表のようなピッチをすることは、自ら自分たちの取り組む素晴らしい領域の理解を遠ざけてしまう行為だと考えました。
最終的に作成したピッチの本編部分での技術に関わる話は、あくまでAcompanyの強みとして、技術自体の抱える課題とそれに対する解決方法だけを伝えています。
Acompanyの取り組む秘密計算技術の仕組みは本編部分では伝えず、質疑応答で聞かれたら、初めて仕組みの話(しかも概要レベル)を解説するというスタイルにしました。
このように、技術の仕組みを伝えないというのは、ディープテック領域のピッチ資料としては、かなり珍しいポイントなのではないかなと思います。
結論から言うと、この施策は非常に良かったです。ファーストコンタクト段階で、技術の細かい質疑応答に終止するのではなく、事業について本質的な議論ができました。
技術の話は、聞き手(投資家)もわからなくて当然なので質問しやすいですし、話し手(起業家)も話すのが簡単なため、盛り上がったように見えやすいですが、結局事業の魅力は何もわからなかったというパターンに陥りがちです。
ピッチ資料の公開
ここまで背景を伝えるだけで2000文字を超えてきており、そろそろ実際のピッチ資料はよ出せや!という声も聞こえてくるので、全41ページのピッチ資料を公開していきたいと思います。では、どうぞ!
[--------チームスライド--------]
ここにチームスライドが入りますが、プライバシー保護の観点でこの部分は非公開にしております。
以上です。
PDF版が欲しい方がいれば、お渡ししますので、TwitterでDMください!
※ピッチ内で使用している画像については、freepickのサービス(有料会員)を利用しております。
留意事項
実際の資金調達では、ピッチはあくまで一要素にすぎません。
ピッチをどれだけ素晴らしいものにしたとしても、チームやそもそも目指すマーケットの魅力、資料に反映しきれない事業戦略などといった、その他の多くの要素を踏まえて、合意形成が行われます。
なので、本質的な事業内容やチームがあってこそ、新しい仲間(投資家)を引き入れることができるということが大前提です。
一方で、事業の魅力の本質を短い時間の中で理解してもらう(または興味を持ってもらう)という点で、ピッチの質を高めることは有効だと思います。
おわりに
今回のnoteでは、PreAラウンドで実際に使用したピッチ資料の公開を行いました。
資料作成からクローズまで約5ヶ月間(資料作成1ヶ月+調達アクション4ヶ月)は本当に濃密な期間でした。
資金調達の期間は、他のことができないくらいリソースが取られるというのも事実です。
そのため、Acompanyでは期間をVCの方々へのアポ開始から3ヶ月と設定し、検討していただいたVCの方にもコミットをお願いする形でかなりのスピード感を持ってクローズを目指しました。(金額規模的に3ヶ月というのはかなり短い期間だったと思います)
結果的には、4ヶ月掛かりましたが、心の底から信頼できる投資家の方々に仲間になっていただけました。
参考情報として想定より時間がかかった理由として、リード2社のコリード構成にしたこと、ゴールデンウィークが重なったことでした。最後の1ヶ月は、座組確定後の契約書の調整、定款変更などの手続きがほとんどでした。資金の緊急度が高い場合は、このあたり(特殊な座組、長期連休など)は意識したほうがいいかもしれないです。
リソースが相当必要であるというデメリットの一方で、素晴らしいVCの方々に頂いたフィードバックによって、事業戦略や多くの面における視座が上がり、事業の質が一段高まった実感があります。
このnoteをご覧の方は、今からの資金調達の参考にしたいと考えている方も多いと思います。
ぜひ、自分が出せる最高のアウトプットを創る気持ちで取り組んでください。そうすると、そのアウトプットを超えるフィードバックがどんどん飛んできます。笑
ここまでお読みいただきありがとうございます。
少しでもいいなと思っていただけたら、いいねや秘密計算の認知拡大のために拡散していただけたら、とても嬉しいです!
このnoteが、少しでもあなたの参考になれば幸いです。
【お知らせ】
Acompanyでは、学生インターンや秘密計算システム開発のための仲間を絶賛募集しています。一緒に最先端の技術を社会実装し、世の中を変える挑戦をしませんか?
少しでもご関心あれば、ぜひリクルートページ覗いてみてください🤲
気になっているから話を聞いてみたいくらいからでもお気軽にご連絡ください!連絡するまででもないけど、ちょっと気になるという方はぜひTwitterで発信を行なっているので、ぜひフォローお願いします!
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?