なぜ、日本は貧乏になったのか?

今回の記事では、なぜ日本は衰退途上国と言われるくらい、「各国と比較して相対的に貧乏になったのか」を書いていきます。

日本は貧乏なのか?

まず、この点を確認しましょう。人によっては、まだまだ日本は豊かな国と思う人もいるでしょう。

まず事実として、先進国(欧米国家)の賃金や物価は、1995年を基準に上昇しています。1995年を100とすると、賃金は120~140、物価は130~180に上がっています。
昔から海外に行っている人たちが、最近は海外の物価が上がったというのは事実ということですね。
ちなみに日本は、どちらも1995年からあまり大きく変わっていません。(2023年に大きく物価は上がりましたが、それでも105程度です)

また発展途上国も大きく成長しています。タイやベトナムではこの20年で一人当たりGDPは4倍になっています。
もちろんまだまだ日本とは差がありますが、急激に差を縮められています。

なので、相対的に貧乏になってきていると言えます。実際に、食糧やエネルギーの価格は上がり、買い負けすることも増えてきています。

なぜ貧乏になるのか?

そもそも裕福、貧乏は相対的なものです。個人観点で言えば、他の人より稼いでいれば裕福ですし、他の人より稼いでいなければ貧乏です。
そして、人は買いたいものを買えなくなると、貧乏を実感します。

例えば、iPhoneの最新版がすごい高い値段で買うのを断念した人たちがいると報道されました。
しかし、iPhoneの価格はアメリカ基準であり、むしろ日本は物価が低いため、他の先進国より価格は少し安く設定されています。
それでも買えない人が大勢いるのは、先進各国の一般的な労働者より、日本の一般的労働者の給与が安い、貧乏だからにほかなりません。

他の国は賃金が上がっているので、賃金が上がらないと貧乏になっていきます。賃金を上げるためには、企業は売り上げを増やさないといけません。
そのためには価格を上げないといけません。そのため物価が上がることと、賃金が上がることはイコールになり、日銀はずっと物価を上げようと苦心していました。
(今の物価高は海外から買うための価格が上がっているだけで、国内の利益増大には繋がっていないため、日銀が求めていた形ではなく、そのためゼロ金利を今も続けています)

結論から言えば、日本は賃金がずっと上がらなかったので貧乏になってしまいました。

賃金はなぜ上がらなかったのか?

経済学で言えば、人もリソースであり、材料などと一緒にお金を出して確保するものになります。
なので、より良い人を雇うためにはお金が必要であり、他の企業も欲しがるから値段(給与)は上がっていきます。

また経済が成長すると、企業は増えていき、雇いたい人の数は国内で増えていくため(需要増大)、自然と人手不足になっていき賃金は上がるはずでした。(人はそんなに簡単に増えないため)

以前の記事でも書きましたが、そうして1990年代後半から人手不足になり、よりインフレになるはずでしたが、そこで女性と高齢者を一気に働いてもらう方向に政府は舵を切りました。
その数が大量すぎたこと、またそのころに派遣法も改正したことなどから、非正規社員が大量に増え、むしろ極度の人手余りになってしまいました。
経済学では供給過多になると、当然価格は下落します。実際、正社員から安い非正規に変える企業、官公庁、は増え、日本の賃金上昇は止まるどころか、下落するという異常事態が発生することになりました。
(通常、下落するのは大規模災害や戦争などの場合のみです)

日本特有の移動しない非正規労働者

もう一つ大きな理由があります。本来、非正規労働者は、正規労働者に比べて待遇の良いところへ移動しやすいのが経済学上の話です。
学生アルバイトが、「もっと時給高いところあったんで、そっち行きます」的な話です。

しかし日本では、その非正規労働者があまり移動していません。

理論上は、条件の悪いところから良いところへ人は流れていくので、自然と賃金は上がり、安い給与しか出せない会社は倒産し、成長できる企業が生き残り、さらに賃金は上がっていく、というものです。

なのでワーキングプアというのもある種珍しい話なのです。
働いてても生活に困るだけの給与しか出してくれない。それならば、もっと給与の高いところへ行くはず、というのが理論です。
海外だと、そのために自らスキルアップしようというのが普通の発想になります。

日本人は生活環境の変化を嫌う

実際に聞く声として、「最低賃金が上がりすぎると、潰れる会社が出てくるから上げすぎるな」という労働者が日本にはそれなりにいます。

本来は、それくらいで潰れる会社には潰れてもらわないといけません。
なぜなら、そういう会社が人を安く買いたたき、経済成長を阻害し、働く貧困層の温床になっているからです。

しかし、日本人は変化を嫌います。特に生活環境、住む場所や働く場所、それらの人間関係の変化です。

会社が潰れて、新しい環境に飛び込むことが嫌いなのです。

・現実、非正規の大半は女性
・アンケートで、女性の多くは「人間関係が良好」なら「賃金が少し低くても」辞めないという結果が出ている
・実際、最低賃金で長年働いている非正規が日本には大勢いる

これが事実であり、日本の賃金がなかなか上がらない理由の一つです。

まとめと補足

今回の記事では、非正規、女性に焦点を当てましたが、「賃金が上がらない理由は女性と非正規にある」ということではありません。

日本の場合、正規雇用者も、一度雇われるとそこからスキルアップしないことを経産省は問題視しています。
事実、一生懸命働いていたり、会社の仕事は覚えていても、市場価値のあるスキルを自ら習得しようとする人は多くありません。
(語学や国家資格、今なら生成AIやドローンなどのトレンドスキル)

これらの正規雇用者の多くは男性です。なので、女性がとか男性がということではなく、自ら自身の給与(市場価値)を高めていく人が少ないということは、日本人の共通課題でもあると言えるでしょう。

以上になります。
今後の記事もよろしくお願いいたします。

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