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【自治体の皆様へ】コロナ下における、行政PR事例8選

いよいよ全国に緊急事態宣言発令。コロナと共に暮らす日々が長期化することも見えてきている中で、全国のあらゆる自治体が、関連情報を発信するだけでなく、市民のためにできる+αのアクションを起こしはじめています。

「うちも何かやらないと」「他の自治体は何をしているのか」そろそろ気になる時期かと。今回は、全国の「コロナ非常事態」を受けた、自治体のPR事例ならびに「こういうのもあるのでは」なアイデア8選と、実施のポイントをご紹介します。

(ご参考)行政広報担当者向け:コロナ関連情報のまとめ方

事例1:SNSで「テイクアウト飲食店」を支援

もっとも多く見られるのが、各地のテイクアウトを応援するべく、それぞれの自治体が独自のハッシュタグを制作して紹介をするアクション

各種事例はありますが、つくば市がちょっと他と違うのは、一般の写真家さんたちからつくばの魅力を紹介する「写真コンテスト」をこれまで実施していた実績から、つくば市内の「テイクアウト」情報も、コンテスト形式で映えなテイクアウト写真を募集していること。

即席で作られたキャンペーンではなく、かつ「なんでもいいから紹介」でもなく「映えなテイクアウト写真」を選んで紹介するあたりが、住民(あるいはつくばファン)と一緒に盛り上げる雰囲気を醸成し、違和感なく受け入れられるキャンペーン設計になっています。

商品紹介のために「映え写真」を用意するのは、飲食業階の鬼の鉄則ではありますが、マイペースな地方の飲食店には、なかなかそこまで気が回っていない店も少なくありません。いくつか「テイクアウト」支援サイトを拝見しましたが、福井県のテイクアウト(デリバリー情報まである)サイトは、「グルメ画像」のクオリティたるや、そのシズル感がたまりません。

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・・・どれもこれもよだれが出てくる美味しそうな写真ばかり。県外の人間でさえあーー注文したい!と思える画像が目白押しです。おそらく新撮したわけではなく、物産観光部署が持っていた画像なのかとは推測されますが、そうであれば、これも普段からちゃんとした撮影素材を持っているからこそできるスピーディなわざ。料理は1にも2にも、写真で売上は大きく変わります。サイトのデザインもシンプルで、スマホ向け設計になっているあたりも、市民目線でサービスが作られていると言えるでしょう。

テイクアウトをSNSで支援する際に注意しないといけないのは(長崎でも起きていましたが)拡散のために利用する「ハッシュタグ」は、他に類似のハッシュタグがないか、確認する必要があることです。自治体以外にも個人だったり、商工会だったり、JAだったり、あらゆる団体が、類似の紹介キャンペーンを始めているかもしれません。実際に、長崎でそれが起きていたので、整理するところから始めました。

また、もう1点「テイクアウト●●(地名)」という名前はGoogle 検索上、なかなか上位にヒットしないので、気をつけてください。これまでコロナ以前から散々、あらゆる人が検索した「テイクアウト」ですので、これを覆してGoogle検索のトップに上げるには相当難易度があり、広告を出すなどの工夫が必要かもしれません。これから使うハッシュタグ候補を「Google トレンド」などを活用して、これまでどの程度利用されているのか、利用頻度の比較などを必ず行い「まだ誰も使っていない言葉」を作るところから始めると、(うまくいけば)すぐに検索トップに上がってくると思います。

〈#別府エール飯〉美味いは、コロナに負けない。別府市民が飲食店を応援!ハッシュタグ企画がスタート湧き上がれ、別府市民。立ち上がれ、別府の料理人達大分県別府市にて、テイクアウトムーブメントをつくるハッシュタグプロジェクトnews.goo.ne.jp

別府は「 #別府エール飯 」で支援。温泉名所ならではの「沸き上がれ」のコピーは、もはやお家芸。ブレない市民ブランドを作り上げると、長期的な目線でまちへの愛着に繋がりますよね。

事例2:ふるさと納税型クラウドファンディングで支援を求める

ふるさと納税を、今回の新型コロナウィルス対策に活用しようという動きも、行政らしいアイデアの1つと言えます。神奈川県ではこのクラウドファンディングで1,200万円以上を集めています。一般の方々には「ふるさと納税型クラウドファンディング」の認知度は、いまだに高いとは言えない状況ですが、今回をきっかけに「ふるさと納税型クラウドファンディング」の認知をあげるチャンスかもしれません。

(参考)「ふるさと納税」と「ふるさと納税型クラウドファンディング」の違い
通常の「ふるさと納税」は「返礼品が何か」に人々の注目が集まることが多く、返礼品偏重の傾向に昨今問題となっている(納税したけど、人々は返礼品ばっかり気になっていて、納税後のお金が何に使われているのかわかっていない)一方、クラウドファンディング型は、ふるさと納税されたお金の行き先が明確になっているところがポイントです。何に使われるか(Causeコーズ)次第で人々の寄付への関心を集めるので、より一層まちづくりにコミットする機運を高めることができる手法です。

ふるさと納税は住民税の控除につなげながら、地方の社会貢献もできる一挙両得の手法。佐賀県も実施しているようです。他自治体も追随されてみてはいかがかと思います。

事例3:ご当地キャラで「外出自粛」を呼びかける

もはやブームが去ったように思われるご当地キャラですが、今もメッセージを発信する上で役立つことがあります。せっかくつくったご当地キャラを生かして、メディアを通じて情報を発信できる可能性を秘めていますので、宝の持腐れにならぬよう、伝えるべき情報をあらゆる形で伝える1つの手段に活用するのも1つの手かと思います。

事例4:恒例イベントをオンラインで開催

あらゆる行政主催のイベントを軒並み中止に追い込まれているなか「オンラインでできるのでは」と考えるのも1つの手です。日本酒で有名な新潟県では「にいがた酒の陣」を中止にめげずオンラインで開催しました。毎年数万人規模の来場客を集める「にいがた酒の陣」(これ一回行ってみたいんだよなぁ)をオンラインで開催することで、これまで来場できなかったポテンシャル来場者にもアプローチができ、次回の開催への弾みに繋がる可能性も秘めています。オンラインでやるからこそ、今までと違うアプローチで地元をPRできる。ピンチをチャンスに、オンラインイベントの開催を行政がサポートしてあげるのも一手ではないでしょうか。

事例5:医療関係者には、シンプルに称える

不眠不休で患者さんらを支える医療関係者へのエール。福岡という街はいつも「人々がもつ、あたり前のあたたかさ」を形にするのが本当に上手だなと感心します。これぞ、過去、住みたい街全国1位に選ばれたことがある人気の秘訣です。本来、小さいまちほど、支え合う空気感を醸成しやすいはずです。大きな予算はなくても、批判ではなく称え合う空気感を作ることはできるはずです。それぞれの街ならではの「支え合うカタチ」を、まちの人たちと一緒に考えてみる場を(オンラインでも)設けてみてはいかがでしょうか。市長、町長が先導して動くとさらに街は1つになるはずです。

称えるつもりが炎上に繋がる事例も出てきているのも要注意です。あまり格好をつけたりせず、シンプルに応援すること。大事なのは、ドヤ感を出さないことです。ついつい関心を引くために大風呂敷を敷いてしまいがちですが、市民との温度差が生まれることがあります。あくまで主役は市民。自治体が手柄をあげようという魂胆が見えてしまうと、市民は一瞬で冷めてしまいますので、注意が必要です。

事例6:ご当地物産品で生活を応援

自粛する方々へインセンティブを送る」という方策は増えてきましたが、現金ではなく、地元の名産品を届けるというのも素晴らしいアイデアです。新潟県燕市では、燕市への帰省を自粛している、緊急事態が宣言された区域に住む燕市出身の学生に対し、米5㎏と布マスク1枚を贈ることが話題に。プレゼントする米は燕市で生産された『コシヒカリ』で、有志の厚意とのことですが、これと、クラウドファンディングを掛け合わせるのもありかもしれません。

ただマスク2枚を送るくらいなら、そのお金があるのなら、地元の名産品を届けて農家さんなどの生産者さんを救う方が、反対意見も出にくいのではないでしょうか。これから政府からの支援金が各自治体に落ちていく中で、自粛を要請しながら地元の産業を守る上で、このマッチング支援は価値があるアイデアだと感じます。

事例7:ZOOM会議にご当地名物コンテンツを提供

せっかくの観光地、今が見頃なのに、人が呼べない・・・と忸怩たる思いを持たれている観光部署の皆さんも、オンラインでなんとかその魅力を伝えることができるかもしれません。こちらは、VRでお花見を楽しめるコンテンツが登場したもの。パソコンで作業しながら家の画面で見頃の観光地をライブで流したりすることもできるはず。少しは家の作業空間に花を咲かせられますし、帰省できなかった方々に、地元を懐かしんでもらうコンテンツになるかもしれません。

アニメ業界や、ゲーム業界が、zoom会議の背景用にコンテンツを提供、というのもニュースになりましたが、地元の観光地、景勝地の画像・映像をzoom用に配布することも、観光部なら予算をかけずにできるはず。日々オンラインで会議が行われる中で少しでも地方の魅力を伝えられるといいですね。

私たちHafHも「自宅にいながらHafH気分」を味わってもらおうと、HafHの拠点画像をzoom用に配信していますが、好評をいただいています。

事例8:「#うちで過ごそう」にご当地グルメを販売

いくつかの調査によると、外出自粛、在宅ワークが増えたことで「増えた行動」の1番は「自炊・料理」。家で料理をする機会が、確実に増えていることを受け、その材料に地元の食材を売り込む千載一遇のチャンスが訪れています。在宅ワークに合わせた商品づくり(肉だけ!野菜だけ!ではなく献立でまとめ、3日分の献立に合わせた食材をまとめるなど)と、売り込む流通の準備を至急整え、オンラインでご当地グルメを販売する体制を可及的速やかに整えるべきです。

民間では、特別にオンライン販売を始めるところも出てきていますが、自治体の物産チームはどうもスピードが遅く、遅きに失する可能性があるので、民業圧迫にならぬよう、そして民業支援に繋がるよう関係値を構築しながらご当地グルメを世界中に売り出せる体制を整えられるといいかと思います。

大切なのは、まちに住まう人々を応援する気持ち

今は、日本人1億人の内需に頼らざるをえない中で、街にどんな財産があり、何を尖らせて発信すべきか見直す絶好のチャンスです。コロナだからこそ生まれたニーズと、これまで眠っているまちの財産を、テクノロジーを駆使してどうやってマッチングするかにかかっています。あれこれと欲を言わず、この街にできることはないか、他の街にできないこととは何か、考え、アイデアにして行かなければなりません。あらゆるアイデアを学びながら自分のまちに落とし込んでもらうきっかけになれば幸いです。



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