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耳が悪くなる原因には何がありますか? 抗がん剤もその1つです。

耳のセミナーで「耳が悪くなる(内耳の細胞がダメになる)原因は何がありますか?」と聞かれて、私が「抗がん剤もその1つです」と答えました。やり取りの中で「もうその抗がん剤は使われてないはずです」という話も出たので、改めて調べてみました。

主に Oxidative Stress and Inflammation Caused by Cisplatin Ototoxicity という論文をもとに、このnoteを書いています。

今でも立派に使われている抗がん剤、シスプラチン

シスプラチンはDNAなどの生体成分と結合して抗がん効果を発揮する抗がん剤です。白金原子を持っていることから、抗がん剤の中では「白金製剤」に分類されています。化学名はシス-ジアンミンジクロロ白金で、その頭文字をとってCDDPとも呼ばれています。1845年に合成されたのですが、電場の細菌に対する影響を調べている時に、プラチナ電極の分解産物が大腸菌の増殖を抑制したことから、がん細胞に対する研究が行われ、製剤化され1978年に世界で承認されました。日本では1983年に承認され、今では多くのがんに対して使われています。

シスプラチンについて | 国立がん研究センター 東病院

シスプラチンという白金系の抗がん剤は、日本では1983年に承認され今でも現役で使われています。

白金系の抗がん剤は耳に悪い(=耳毒性がある)

耳に悪影響を及ぼす薬を「耳毒性」があると言いますが、シスプラチンに代表される白金系の抗がん剤(カルボプラチンやオキサリプラチンも)は、耳毒性があります。

Wikipedia

白金系とは文字通り、その構造の中に白金が含まれています。

シスプラチンが耳に悪影響を与えるメカニズム

シスプラチンは受動拡散や促進拡散によって細胞内に侵入する可能性があります。また、トランスポーター(CTR1、OCT2)を通じて細胞内に入ることもできます。

シスプラチンは細胞に入ると水によって加水分解され、アクアシスプラチン複合体が生成されると考えられています。このアクアシスプラチン複合体(aqua-cisplatin complexes)は非常に毒性が強く、DNAを損傷する可能性があります。


シスプラチンによる耳への悪影響を高い音ほど早くに現れてきます。これは耳の内耳と呼ばれる部位の入口にある細胞(外有毛細胞)からシスプラチンの影響を受けるからです。

加齢によって高い音が聞こえづらくなるという現象がありますが、これも同様に内耳の入口にある細胞(外有毛細胞、そして内有毛細胞も)が加齢によって徐々にダメージを受けダメになって欠落していくからです。

#抗がん剤 #難聴 #耳毒性 #シスプラチン

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