僕が見た怪物たち1997-2018 第三話「二流には分からない、2012」まとめ読み版(約13000字)
暑い。
それまで冷房が効き過ぎて、寒いくらいの室内にいたからか、余計にそう感じてしまう。夏の夜気は生温く不快で、すでにささくれ立っていたあたしの負の感情はさらに増していく。
こんな寂れたような雑居ビルに通い詰める姿なんて知り合いには絶対に見られたくないし、もしもここで何をやっているかばれてしまったら、あたしはそのひとから距離を取るだろう。もう話してやるもんか。ほとんどのひとはたぶん知られたところで、別に気にしないよ、なんて言ってくれるだろうけれど、あたし自身のプライ