読書感想文　『爆弾』

【爆弾】　読了

『このミステリーがすごい！2023』
『ミステリが読みたい！2023』
２冠作品

微罪で逮捕された男が、都内で起こる爆発の予言をし、そこから刑事たちを翻弄していくミステリ小説。


１番の読みどころは逮捕されたスズキタゴサクと名乗る男と刑事による言葉と心理による対決。
爆弾は何時にどこで爆発するのかをスズキタゴサクは『霊感』を通じて刑事たちにヒントを出していく。それを刑事たちは読み解いて未然に爆発を防ごうとする。そのやりとりがとても面白くグイグイ引き込まれていく。

これに加えて、この作品の魅力的な描写としては、人が日常的に心の奥深くに潜めている闇をストーリーに非常に良く馴染ませながら表現しているところだろう。
それは、『爆弾が爆発する』という危機的状況によって生まれる、
①判断が遅れることによって大勢の人が亡くなる可能性があるというスピードを求められる重さ
②危機的状況によって、普段は理性で押さえ込んでいる余計な闇の発現
この２つの書き方が上手いからだと思う。

読んでいて、ストーリーの面白さはもちろん、正直共感したくないような闇な部分にもどこか納得できてしまうところがあり、正直恐いところもある。でも、だからこそリアリティがある。


スズキタゴサクと刑事の対決を永遠と読み続けたくなってしまった。
続編あったらいいな。



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