教会旋法と全音音階
今回は教会旋法など様々なスケールを紹介します。
では前回の答え合わせから始めましょう。
まだこちらはご覧になっていない方は、こちらもご覧ください。
いかがでしたか?
では本題にまいりましょう。
教会旋法(チャーチ・モード)
教会旋法は元々中世ヨーロッパの宗教音楽で用いられてきた音階のような音の配列のことで、次第にメジャースケール、マイナースケールにとって代わられました。しかしラヴェルやドビュッシーなど近代の作曲家によって利用され始め、ジャズではマイルス・デイヴィスが使用するなど、教会旋法が使われた作品も再び出始めてきました。
現在では7種類が使われています。ひとつずつ見ていきましょう。
①アイオニアン旋法
従来のメジャースケールと同じものなので区別はできません。教会旋法としてはほとんど使われないものです。
②ドリア(ドリアン)旋法
これはナチュラルマイナースケールの6番目の音が半音上がったものと考えてよいでしょう。
教会旋法の中では一番使われているような印象です。イギリス民謡の『グリーンスリーブス』にもこのドリア旋法が使われています。
歌のメロディーはDを主音とするドリア旋法です。
③フリギア(フリジアン)旋法
これはナチュラルマイナースケールの2番目の音が半音下がったものです。
ルターが作曲して、バッハが編曲したコラール『深き困窮より、われ汝に呼ばわる』にフリギア旋法が使われています。
④リディア旋法
これはメジャースケールの4番目の音が半音上がったものです。
例としてはドビュッシーの『喜びの島』に使用されています。
Aを主音とするリディア旋法が使われています。
⑤ミクソリディア旋法
これはメジャースケールの7番目の音が半音下がったものです。
例としてはドビュッシーの『月の光』に使用されています。
1:48~の旋律はD♭を主音とするミクソリディア旋法です。
⑥エオリア(エオリアン)旋法
これはナチュラルマイナースケールと覚えて大丈夫です。
⑦ロクリア(ロクリアン)旋法
これはナチュラルマイナースケールの2番目と、5番目の音が半音下がったものです。
教会旋法の中ではほとんど使われることはありません。
全音音階(ホールトーンスケール)
全音音階はすべて全音で並んだスケールのことです。
先程の『喜びの島』にも全音音階は使われています。
あとは『鉄腕アトム』にもこの音階が使われています。
イントロのフレーズは全音音階です。
最後に
メジャースケール、マイナースケール以外でよく取り上げられるものをピックアップしてご紹介しました。他にもまだスケールはありますが、正直覚える必要はないと思います。
今回紹介したものを覚えておけば大抵の作品は分析できます。
では今回の問題です。
次のスケールを楽譜に書いてください。
①Fドリア旋法
②A♭フリギア旋法
③Gリディア旋法
④F♯ミクソリディア旋法
⑤Eロクリア旋法
⑥Dを主音とする全音音階
スケールはこれで一区切りとします。
次回は調(キー)についてご紹介します。
次回↓
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