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[Agile Again] 日本にもう一度アジャイルを取り戻す - 雇用について考える (1) -

雇用について切り込む。この問題はマジで難しい。。。。

/ 日本組織の雇用は守るべきか流動するべきか

2019年5月、TOYOTAの豊田社長は、日本企業として、日本の組織として、どうしても崩すことができなかったスタンスを崩す発言をした。

「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」

一週間後には、即刻この豊田社長の発言に反対表明の記事が出る。


しかし、時を同じくして経団連の中西会長は、4月22日、「終身雇用はルールではない」などと述べ、日本型の雇用形態を変えていく可能性を示唆したとのこと。

「終身雇用うんぬんっていうことは元々、ルールであったわけじゃなくて、企業から見ると『あなたを一生、雇用を続けます』という保証書を持っているわけじゃない」

さらに、中西会長は2020年となる今年の1月1日、改めてこう言及した。

「新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金が特徴の日本型雇用は効果を発揮した時期もあったが、矛盾も抱え始めた。今のままでは日本の経済や社会システムがうまく回転しない。雇用制度全般の見直しを含めた取り組みが重要だ」(日経新聞電子版より)

/ どんなことがあっても切り崩せなかった「雇用」にメスが入る。


かつて、1960年代に日本的経営を世界に知らしめたジェームズ・アベグレンにより、日本企業の強さの源泉と言われた三本柱として謳われた「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」の一つであり、最も強固かつ根源的な”仕組み”の1つである雇用についての、今までであればありえない発言だった。

いや、企業経営をしたことのある(TOYOTAと私が携わっていた零細企業を一括りに企業経営としてしまうのはあまりに申し訳ないが。。。)立場からすれば至極当然であるスタンスなのだが、経営者として言いたくとも言えない発言であったものを言わざるをえない状況まで来てしまっているということだと理解している。

組合はその立ち位置を時代とともに変化させ、年功序列は評価制度やプログラムで個社や系列ごとに柔軟性がある。しかし、雇用だけは法にリンクしており最も根源的な日本の制度であると言って良い。

ちなみに2013年の古い記事であるが、城氏のブログで、企業がいかに雇用についてスタンスを変えられないかを下記のブログが記している。いや法的に雇用を流動化させるのはかなり難しい問題であるのだ。

(この記事はあくまでも2013年のため現時点の見解ではないです。)

少々厳しい言葉だが、以下のような表現をしている。

要するに終身雇用の名の下、民間企業に社会保障機能を丸投げしているため「少なくとも余裕のある会社は雇用を守ってね、そのかわりその他のことは大目に見ますから」というわけだ。

ここから昨今、36協定ってのが改定される(された)って話で「働き方改革」ってのにより多くの企業が大企業から中小企業までワタワタしている理由となる。
で、「こんな古い記事載せんじゃねーよ!」って怒られそうなので、同じく城氏のこれらに関連する記事も引用しておく。

トヨタといえば、多くの企業が成果主義にかじを切る中「年功序列と終身雇用こそがモノづくりの屋台骨」と従来のスタンスを堅持し続け、日本型雇用礼賛の経営学者の最後の砦となっていた会社です。
そのトヨタのトップが春闘でああだこうだと煮え切らない交渉を続ける労使に対し「いつまで重箱の隅をつつくようなことやってんだ」と一喝したという話ですね。時流の変化をひしひしと感じます。

/ 時代はもう動き始めている

先の豊田社長、中西会長の発言をまとめた記事は「パンドラの箱は開くか」と問うている。それが2019年5月。

この記事の中では、こう記されている。

今のところ、自動車業界や電機業界の労働組合に、豊田氏や中西氏の発言を受けた動きはない。

しかし、有名なブロガーのちきりんさんも参照していた日経の記事には以下の内容が。2019年12月。

19年1~11月に希望や早期退職を実施し、募集や応募の人数を公開したのは、上場企業(子会社含む)36社で計1万1351人だった。最も多いのは富士通(2850人)で、業界別では業績不振が目立つ電機が12社でトップ、次いで製薬が4社だった。

足元が悪い企業だけではない。

さらに20年以降も、味の素(100人程度)やファミリーマート(800人程度)など既に7社が計1500人の希望・早期退職を実施する方針だ。そのうち多くの足元の業績は堅調で、好業績なうちに人員構成を適正化する動きが目立ちそうだ。
大手企業の賃金は年功序列型のため、50~54歳の賃金が最も高くなる傾向にある。企業にとって中高年はボリュームコストになっており、その層を削ることで、今後の成長分野を担う人材に原資を割り当てる。

この流動が、善なのか悪なのか、いや善悪など関係なくもう止められない動きなのだとしたら一体どう考えればいいのか。

次でもう少し考察しよう

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