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日本酒の日に考える時の流れの話 仙禽・クラシック亀の尾&ナチュールクラシックアン 後編

どうもこんばんは、りょーさけです。
この記事を書いた日から1.9キロ痩せました。このペースで行くと年内に自分の身長に対する推奨体重くらいまで落とせそうです。

…大丈夫です。体調はとても良いです。具合が悪いわけではありません。
ただいつもの3倍くらい動いているだけです。

さあ、本題に移りましょう。
これは仙禽のお酒について考える記事なのでした。

前回は「ヴィヴィッドな甘酸っぱさを売りに異端児として現れた」「しかしそれは戦略的にやったことでただウケ狙いでやったわけではないのではないか」「むしろそれはウケ狙いの妥協であり、目指すところはもっと別のところにあったのではないか」とそんなふうなことを書いた気がします。

で、流石に妄想を並べ立てても仕方がない。というか、上記がある程度事実と合致しているのであれば仙禽の方の言葉も紹介しなければ申し訳ないと思いいくつか記事を検索しました。

Saketimesさんの記事と、SuperCEOさんの記事が参考になりそうなのでいくつか抜粋しつつ書こうと思います。(よかったら元記事も読んでみて下さい。)
https://jp.sake-times.com/knowledge/sakagura/sake_g_senkin
https://superceo.jp/sp/tokusyu/domestic/100494

といいつつ自分の印象ベースで語り始めて恐縮なのですが、一体仙禽のどういうところからそういう印象(世間へ合わせつつ、合わせてなくって自らの理想に向かってるというような)を受けるんだろう。そのことについて考えてみます。

仙禽はレギュラー商品を出しつつ、季節モノもだしているのですがそれらが毎年確実に進化しているのがそのように感じさせる一因だと思います。
さらに言えばその進化の方向が「わかりやすく、ヴィヴィッドに」ではなく「わかりにくく、上質に」だからです。

皆さんが知ってる前提で話をしてしまって申し訳ないのですが、仙禽は夏に「仙禽 かぶとむし」という商品を、冬に「仙禽 ゆきだるま」という商品を販売しています。

これらはまず見た目がかわいい。万人に受け入れられうるポップさを持っていると思います。


ただ、最初に飲んだ時は割とわかりやすい味だった気がします。未熟者がもっと未熟だった時代の話なのに、こんなふうに言ってしまってすみません。
カブトムシは夏に嬉しい冷やして美味しい甘酸っぱいお酒。ゆきだるまは冬のこってり目の料理とも合いそうな甘めのお酒。

飲み屋で飲んだのが最初だった気がしますが、そんな感じでした。

しかし、今は違うように思います。
少なくとも前回のかぶとむしをゆきだるまは違った。ゆきだるまは甘こってりなだけでない独特の深みがあり、かぶとむしはそれほど冷えていなくても甘味と酸味を楽しめる独自の世界観をもったお酒になった。

レギュラー商品をキラキラとした甘酸っぱさから上質な酸味へとステップアップさせていきつつ、季節モノも手を抜かない。
そんなところから、素晴らしい職人的な態度を持つだけでなく戦略的に駒を進める(いい意味での)やり手だなあという印象も受ける。

とか思ってたら記事にこんなコメントが。

「商品開発とともに私が優先して取り組んだのは、せんきんのイメージづくりです。〈機会工業品としての酒造りをやめて、伝統工芸品としての酒造りを追求します〉という宣言を、ウェブサイトやTwitterをつうじて、ぶち上げました」 (superceo https://superceo.jp/tokusyu/domestic/100494 より)

やはり自分たちの道を追求するってのは狙ってやっていたのか…。

そりゃそうですよね。ただ売れる酒ではなくて伝統工芸品(トレンドに与せず自分たちの掲げる素晴らしさを追求する品物、くらいに解釈しますか)を目指すってそりゃ適当にやってできることじゃないよな…。

(っていうか「ぶち上げ」てたのに知らなかった自分の無知が恥ずかしい。やっぱり今度からはちょっと調べて記事を書くようにしたいと思います。)

で、更に別の記事を読むと最初に言った「ヴィヴィッドな甘酸っぱさ」も計算されて造られたものだということが発覚しましてですね…。

「今の日本の食卓には、肉料理もあれば、中華もイタリアンも並びます。それなら甘酸っぱい味がベストだと直感しました」と薄井氏。(superceo  https://superceo.jp/tokusyu/domestic/100493 より)

あっ仙禽はものすごい計算高さと技術でのし上がってきたんだこれ…。

と、ここに至ってようやく確信しました。

これはレギュラー商品のクラシック亀の尾。澄んだ酸味からの独特の複雑味がたまらない。

…すごいな。
あの酸味も、あの木桶の香りも、あの熟成感も、あの苦味までも全ては計算されつくされたものなのだろうか。そういった印象を受けてしまいます。ここまで聞くと。(インタビュー全部見るともっとよく分かるので、よかったらみてね!)

私も酒の世界の隅っこにいる身なので、すべてがすべて完璧な蔵があるとは思ってません。仙禽が完璧だとは断言できませんってことです。

しかし、蔵毎の差異は確実にあります。それは「個性」といった「みんな違ってみんないいよね」くらいの淡く口当たりの良い言葉で表される差異から、時に厳しく「優劣」とまで言っていいほどの差異まで様々あります。

仙禽はその意味では確実に「優れている」といっていいでしょう。

これからもその歩みから決して目を離すことができません。
ぜひとも信じられないパフォーマンスを見せつけながら第一線を走り続けていただきたいと、街角の酒好きとしては思っています。

素晴らしいです。

仙禽の見せるその先の世界に、乾杯。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。