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見えない悲しみも、綻びも

超天変地異みたいな台風が吹きすさび、気圧というものがさがってしまったのであろうか、わたしの頭脳は本日めっぽう機嫌が悪い。し、暑い。今ならサマーウォーズの劇中で氷を剥ぎ取られてしまったパソコンハード類の気持ちがわかる。わかるよ。人間とコンピュータが似ているのか似ていないのか論争には賛否があるけれど、今日ばかりはそっくりだね、と思った次第です。残暑どころじゃねえ、暑さどまんなか、暑中ってやつじゃん。湿度10%上がると体感温度は3度くらい上がるらしい。ということで今日も多分湿度込みなら猛暑日だと思う。仕事の休憩中にスマホでパワプロ(野球のゲームです)をやってるだけで画面の中で動き回る高校球児よりも発汗してしまう。困った困った。

自分が暑さの最中に最中を食べてると(筆者は「さいちゅう」が出てくると「もなか」って打ちたくなる性質を持っています)、ではなく暑さの最中にいると、「間違いなく自分が今世界で一番アツい!」と思い込んでしまう。そういう質のわたしですが、まあ相対的にでなくてもとかく暑い!暑くても汗をかかない人というのがいる。罪深い。そしたら着替えも制汗スプレーも汗ふきシートもデオコも要らないじゃあないか!わたしは全部を我が物にしてもなお夏の暑さに対応したバージョンにはアップデートできない。そういう仕様なのだろう。

妻に昨日遊びまくった疲れが出ていないかとラインをして調子を確かめると、妻は妻で胃が痛いという。昨日行ったラーメンがもたれているのか、それともよくわからない痛みなのか。はたまたこれも気圧なのか。同時に夫婦を苦しめるところのものが、まさに気圧というものであるなら、ぜひ気圧には色がついて欲しい。憂鬱なオーラみたいな感じで、迫ってきて欲しい。そしたら少し受け身を取れるかもしれない。「よーっしゃ、こんな憂鬱なカタマリに侵食されたらそりゃ今日は不調だぜ!」とか開き直るし、周りの人も「うわっ、あの人気圧に襲われてるー、いつも暗いのに今日は更に陰気ね」とかまで思われたら嫌だけれど、なんか分かってくれるかも。

米津玄師の「アイネクライネ」という曲がスキです。みんなはレモンのほうがスキですか?いいよね。京都の丸善でフラフラレモンレモンしてしまうってやつだよね。レモンいいねレモン。ごめんなさい梶井基次郎。

https://www.youtube.com/watch?v=-EKxzId_Sj4

冗談は本棚の上段にでも置いておいて、アイネクライネ。純なような、現代的に言えばちょっと病んでいるような女の子の独白調の歌詞、悲しいロックマーチング的なメロディーが感情の起伏をシンプルに表す。みたいな。まあ、スキ。サビで「消えない悲しみも綻びもあなたといれば それでよかったねと笑えるのが どんなに嬉しいか」とある。ここがまあ、更に素敵でスキ。最近思うのは、この「消えない」はちょっと言葉を替えてもまた乙だな、ということ。「消えない」じゃなくて「癒えない」とかもいい。「消えない」じゃなくて「見えない」でもいい。勝手に震える米津玄師ワールド。破竹の勢いとは、まさに彼のことだね。パプリカでも食って寝ようか。そういうの、オセアニアじゃあ常識なんだよ!わたしの眠気に代表される見えないものが可視化されたらいいのに、ってそんなことを思った一日でした、眠すぎるので、寝るよ。

↓三重は木屋正酒造の而今。名実ともに現代の最高峰のお酒と言えると思います。通年商品でも簡単には手に入りません、つまりレギュラー品でも簡単に晩酌のテーブルにはのってくれません。いけず。様々なお米を使って醸されていますが、その酒質を一言で言えば華麗にして上品。よい状態で手に入ればあなたの口元、鼻腔、胸いっぱいにゴージャスな果実様の香りをお届けすることでしょう。パイナップルや(青)りんごをシルクの生地に溶かしたようなやつです!飲む芸術です!見つけたら、飲むが価値。勝ちじゃない、価値。(なんだそれ)

ちなみにこれはお盆に買ったちょっといい而今なのでした。果実感がいつにもましてファサァーっと全嗅覚を満たす上に、味も適度に甘くて嫌味がないのでした。でも栓を開けて1ヶ月も置いといちゃだめです。これは。すぐ飲もう。而今。而今の意味は、過去に囚われず未来に囚われず今をただ精一杯生きる、だそうな。レモンにも囚われずに生きていきたい。いや嘘、たまには囚われてみたい。夢ならばどれほどよかったでしょう、最近ちょっと違う意味に聴こえてこれまた切ない。おやすみよ。


酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。