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タネを知っても色褪せぬ魔術・乾坤一冬華

新マガジンを始めます。
エッセイでも、酒全般へのコメントでもなく一本の酒の魅力を伝えるマガジンです。

平たく言えば酒レビューなんですが、一点だけ最初に。
このレビューでは必要がなければ、ネットで調べたら分かることは載せません。

だから僕の文を読んで気になったら、そのお酒についてはセルフで調べてください。

(評判悪かったら調べて乗せるかもしれないけど笑)

この投稿はそのマガジンの1ページ目です。

記念すべき最初のお酒はアイキャッチのこれです。
乾坤一、冬華。純米吟醸一回火入れ。

もう一回ちゃんと姿が見たいので同じ画像を。

ラベルがシンプルです。美しい。潔い。
冬の華とはどの花のことなのか、そもそも現実の花のことなのかはわかりませんが、相当に凛とした美しい花を予感させます。

まずざっと味について書きますか。
酒は味です。最終的には味。

さあ飲もう、乾坤一冬華。

ワイングラスに注ぐと、早速香るはマスカット。
厚みのあるマスカットです。誠実そうな香り。それにわずかにアルコールの香り。アルコール度17度はダテじゃない。いや宮城だから伊達なんだけどダテじゃない。はいくだらない。

じゃ、一口いただきます。
…厚めのマスカット感は口に入れると少し刺激がある。酸味もある甘いマスカット。適度な甘味と旨味。その後にアルコールのピリッとした刺激。ごくんと飲み干すと、じわわっと柔らかいマスカット香。と、舌の上にたなびく若干の苦味。不快ではない。ふわりふわりと残像のマスカットとほろ苦さを追う口内小旅行が心地よい…。

素晴らしいです。

スペックはこんな感じです。
この美しい味をササニシキで出しているのか…確かに言われてみれば少しばかりノイジーな酸味を含んでます。

(補足ですが、酒米でない一般の食用米を使ってきれいな味の酒をつくるのは結構難しいのです。)

とても美しい。

このお酒は学生時代から飲んでいた酒なのです。初めて飲んだときから好きなお酒でした。美味しかった。

ただ、今は最初に飲んだときよりも多くのことがわかる。「こういうタイプのお酒だな」って何となく分かるのです。

しかし、わかっていたとしても素晴らしい。全く色あせない。

むしろ知れば知るほど「すごい」とため息をつきたくなる。
それはまるであまりに見事すぎて種を知ってもなお見たくなる手品、魔術のようです。

何度素晴らしさを見せつけられても不快ではない。
ただその美しさにひれ伏すばかり…。
僕にとってこのお酒はそういう感動をもたらしてくれるお酒なのです。

一泊二日の宮城旅行を締めくくるにふさわしいお酒でした。
皆さんも見かけましたら、ぜひ一杯。

この週末と、冬華に乾杯。

酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。