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酒詩

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日本酒が好きです。詩が好きです。それらを合わせて酒詩を作ります。デタラメを言ってはなんの価値もありませんが、事実すぎては酒が見せる素晴らしい虚構と折り合いがつかない。いつでも事実…
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2019年10月の記事一覧

酒詩:笑四季Sensation White 火入れ

酒詩:笑四季Sensation White 火入れ

空の海に月の浮かぶ夜は
どこまでも果てしなく進んでいけそうで
アクセルアクセル アクセル
規則正しさに覆われた 不規則な夜

満月から3日後に
下半分が雲に浸かった卵黄みたいな月に
目配せをしながら気分だけ
明るい夜道をあるく あるく

スマートフォンの光がまた
優しさにまけて去ってゆく 夜の
あなたは何をするひとぞ
ラインを送る気にもならない

深くそびえる電柱たちを見回して
季節に感じ入ってい

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どんなことがあっても書くのでね

どんなことがあっても書くのでね

ここ最近生活していて感じていることが3つある。3つ。キリのいい数字だ。三位一体、ホップステップジャンプ、長男次男三男。最後のやつは適当なのでスルーをよろしくお願いいたします。3つだ。まずは今自分が自分であるような選択肢をとってこれてよかったなということ。というのもこれは妻子がかわいいからでありまして、たとえば自分の性格とか人格とか乏しいスキルとかはまあ、どうでもいい。このひとたちの傍にいてよかった

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酒詩:上喜元 生酛美郷錦ひやおろし

酒詩:上喜元 生酛美郷錦ひやおろし

星の川辺で出会ったあなたと

千年続く文通をする

それにしてもここは谷底で

顔すら見えない夜のお話

ちくちく痒い木々のまわりは

夏以外がよく死んでいて一興

触る腕はまた

触れた脚はまた

いっそう感覚をひりつかせていく

言葉が通じないわたしたちは文通をする

いつでもはじめて使う言葉で

つぶやきのように

慰めのように

水が滴る

銀縁の眼鏡は月

消えた炎は体温も奪う

ずうっ

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