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酒一本の魅力を伝えるマガジン

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日本酒レビューマガジンです。気持ちと思い入れを全面に出していきます。
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2018年12月の記事一覧

一人クリスマスにしみた酒

一人クリスマスにしみた酒

仙禽初槽、中取り。バナナセメダイン洋梨にかすかな森の香り。

これは上澄み。つまり入口。おりが馴染んでからが本番。(見辛いのですが、はじめは瓶の中で液体部分と濁り部分が分離しているのです。はじめに液体の部分を飲み、濁りと混ぜて飲むと面白いのです。)

捉え難い五味をたたえて仙禽は水に還る。クリアで柔らかな水に還る。舌の上で。

ゆえに後に残るものなし。春の残雪の寂しさ。冬だけど。

よもやまを書こ

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酸の魔力・水府自慢

酸の魔力・水府自慢

水府自慢。純米大吟醸、無濾過生酒原酒。
(漢字ばっかり。)

こちらのお酒を醸す酒蔵「明利酒類株式会社」は日本酒を醸すための菌、通称「10号酵母」の発祥蔵です。

(※補足…日本酒を醸すための酵母はいっぱいあります。そのうちの一つが10号酵母です。ホントいっぱいあるヨ!これ補足になってる?笑)

ワタクシ10号酵母の特徴をいまいち掴みかねていたため、勉強のつもりで購入いたしました…。

が!勉強と

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【不死鳥はオークをまとい更にその身を焦がしてゆく】

【不死鳥はオークをまとい更にその身を焦がしてゆく】

新政、陽乃鳥中取。
酒で酒を仕込む貴醸酒という仕込み方法で醸されたお酒。

舌に溶け染み込むブドウ香。酸味とともに硬口蓋に向けて羽ばたく。

香りが鼻に抜ける頃、ぬるい上昇気流に混じる甘い木の香。冷えた状態から常温に戻ったとき、オークの風味が冴えわたる。

混ざる、混じる、恍惚に溶けてゆく。酒の夜空を照らせ、照らしてくれ希望の陽乃鳥。美しい。

新政は、芸術だ。

食べる、という記憶

食べる、という記憶

南遷×カリ豚生麩ココナツソースと生野菜。

前衛的なオブジェの周りを螺旋階段で登ってゆく。景色が目まぐるしく変わり、高まる満足感。

一歩前が残像になり一歩先と重なって豊かな香味になり酔いしれる。重なる口福のままに食し食す。気がつけばオブジェはなくなっていた。

満足。

初雪のかき氷

初雪のかき氷

英君純米にごり。

上澄みは激烈ラムネ。白濁混じりてコクが出る。ラムネは引き白玉団子のようなやさしい香りがくる。

海辺にふる初雪で出来たかき氷をプレーンで口に入れたら、きっとこんな味がする。

なんて柔らかな鮮烈さだろう。器はどこか砂時計を想起させて切なくそれもよし。

短いけれど、これが今の僕のすべて。美味。
#日本酒 #GEMbymoto