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村上春樹作品を読もう

村上春樹作品が好きです。おそらく主題の10%ほどしか理解できていないと思いますが、それでも好きな作品は何度も読み返し、今現在も未読の作品を楽しんでいます。
一つのテーマについて、何年も何年も考え続け、問い続け、それを書き続けることができる人は本当に限られると思います。そういった意味で、やはり個人的にはぜひともノーベル文学賞を獲ってほしいと思っています。

最初に手に取った作品は実家の本棚にあった『ダンス・ダンス・ダンス』で、パラパラとページをめくり、内容が意味不明だったので即刻読むのをやめました。次は確か『ノルウェイの森』だったかと思いますが、とりあえず全部読んでなんだか悲しいラブストーリーだなくらいにしか思いませんでした。多分高校生くらいだったかと思いますが、当時司馬遼太郎作品にはまっていたので、大志とか幕末の戦乱とかで頭がいっぱいの高校生に響くはずはありません。

学生時代に友人などと村上春樹作品の話題になると、何となくネガティブな意見が多かったように思います。個人的に読めない理由は下記のようなものがあげられると思います。

読めない理由
文化全般特に音楽、小説、映画、お酒など、固有名詞が多くていちいち調べていられない
わかりにくいメタファー、象徴
主人公にどことなく漂う倦怠感
性描写の多い男女関係、都合の良い女性がよく登場(女性ウケしない)
イマイチ納得感のない結末

次に上記2.の象徴についてです。
文学なので、象徴、隠喩がよく出てくるのですが、これまたよくわからない。何がどうで、どう関係しているのかが、わからない。もちろん作者もある程度解釈を読者に委ねている部分もあるのでしょうが、道筋そのものが見えにくい。

象徴の例
ウイスキーとビール
猫と羊
クラシックとジャズ
男と女
肉体関係の有無
親と子※父親は出てこない

ではなぜそれでも読みたくなるのかというと、作者自身の葛藤や思考プロセスを少しずつでも理解したいという思いに駆られ続けるからです。自分が一番強く感じるテーマは、端的に言えば、理不尽な悪との戦い、どうそれに立ち向かっていくかのプロセスを示している点です。理不尽な悪とは、原因に関わらず、例えば政情不安や戦争、独裁や理不尽な言論統制それ以外にも自然災害や経済活動の弊害等により人を長期的に、根本的に苦しめるもの というのがあくまで個人的な定義づけです。

そして、テーマの変遷です。作品を通して、作者が投影されている主人公のスタンスが劇的に変わっていきます。最初は、積極的に救う努力をせずに救えなかった →仕方なく協力、ヒントを得ながら、少しずつ真実究明にむかう→ダメージを負っても戦いに参加→直接的に悪と戦う といったようにです。こういった流れが、次はどうなるかという期待につながります。

また、何より好きなのが、結論を求めず、とりあえず読んでて心地が良い文章であることと思います。結論ありきではなく、本を読むこと自体を目的化できる感覚になったのが、自分の場合は村上春樹作品でした。ということで、ぜひ感想を聞かせてください。

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