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働きたくない(30代半ばの頃 その1)

 この当時、正社員での登用は35歳が限度という35歳リミット説みたいなものがあり、年齢不問としている場合でも、ほぼ35歳という年齢で最初の篩が掛けられていたというのが私の実感です。

 派遣で務めていた有名企業を契約期間終了で終えたのは丁度35歳のときでした。正社員として会社に潜り込むには、何の実績もスキルもない私にとっては年齢的にも最後の機会と考えていました。その割には事前準備というのを全くしていなかったのは、働きたくないという気持ちが本能になっているからでしょう。

 採用募集をしている会社にどれだけ応募したか覚えていません。数十社にはなっていたと思います。書類選考で落とされる日々で、そこから先に進むことはありませんでした。かなり落ち込みましたし、財政面でも蓄えがなくなってきてこともあり焦りも出始めました。

 吝嗇と思われるかもしれませんが、履歴書とか職務経歴書の用紙代のほか、履歴書に貼付するための顔写真の費用だって地味に負担になりますし、作成の手間暇も掛かります。パソコンで作るのがいいとは個人的に思うのですが、受け手側としては手書きというスタイルに拘るというか、手書きでないといけないという暗黙のルール的なものがあるなとは感じました。書き損じたら用紙は無駄になるし、時間も無駄になるし、SDGs的にも今の時代には合わなくなっている価値観ではないでしょうか。

 そんな日々を送っていましたが、有り難いことに一社だけ私に興味を持っていただき、面接を行い、採用が決まりました。何社から選ぶという選択肢はなく、条件も悪くなかったのでお世話になることにしました。決まるときはトントン拍子に決まるもので、このときはこの会社に骨を埋めるつもりでした。もうあんな大変な就職活動はしたくない、という邪な気持ちも当然ありました。

 入社当初は就職した会社が請け負っていた仕事を担当することになり、別の会社に常駐する形で久し振りの正社員としての勤務を開始することになりました。実態的には派遣社員時代とはかわりはありませんでしたが、精神的には正社員ということもあってか楽に感じていました。

 そろそろ業務請負先での常駐勤務の期間が終わろうとする頃、業務請負先の会社からうちの社員にならないか(正社員としての雇用です)という誘いがありました。会社規模から言えば業務請負先の企業の方がかなり上ですし、ある有名企業の子会社で安定度は抜群の会社なので、将来を考えると私にとってはいいお話でした。ただ、業務請負先でやっていた仕事については、ずっと続けていきたいものではないという気持ちも強く、贅沢ではありますがお話はお断りしていました。

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