見出し画像

質疑応答から生まれる対話②

先月某日、早稲田大学にて講義をする機会をいただいた。
以下は講義終了後、学生から寄せられた質問とそれに対する回答である。

※もちろんプライバシーを考慮し、名前は伏せる。一部、文言を変更する場合もある。

以下は前回、①の続き。


夜分遅くにご丁寧にありがとうございます。
あともう一つ、長野さんのお時間のある時に答えていただけると幸いです。
以下長文になりますが、質問です。

Q.重度の障害のある子を育てる親が、仕事等で子供を見れない時に利用するサービスが、放課後等デイサービスです。祝日でも仕事がある方、仕事が休みの方の両者がいらっしゃると思います。
今回の実習で関わった子供の親のお話を職員さんから聞いたところ「仕事が休みの日は、ゴルフに行っている」と仰っていました。3日間しか実習していないため、その子供の家庭環境までよく分からなかったのですが自分はそこに引っ掛かりを感じました。
「仕事が休みなら子供と過ごしたらいいのに」と感じたのですが、日々子供を育てる中で疲弊し、リフレッシュするために子供を預けてこの日だけは休養をとろうとしているのかなと考えることも出来ました。しかし、休日は絶対自分の休養と常習化している可能性もあり、その場合子供と向き合えているのかと疑問に感じました。
現代社会は、「親を育てる」というテーマも掲げられはじめています。親も子供に先程のような当該行為を受けながら育児し、疲弊してしまうのは当然です。重度の障害を持つ子供の親への、育児はこれからどのようにしていくべきか長野さんの意見をお聞きしたいです。

A . 〇〇くんが実習で経験した放課後等デイサービスは、障害児版の学童と言えます。そして親御さんのレスパイト(休息)の役割があることも確かです。

しかし、支援者として目の前の子どもに寄り添ったからこそ、親御さんに対してもどかしい気持ちになったんだろうなと思います。
〇〇くんにその話をしてくれた時、施設の職員さんはどんな顔をしていましたか?どんなトーンで教えてくれましたか?

(短い期間の実習の中で)今回の様子を把握するには、それが大きなヒントになるのだと感じます。


もしホッとしているような表情をしていたのなら、「やっと頼ってくれた(休息してくれた)」ということだと思うし、もし「やれやれ…」という感じが見受けられたのであれば、残念ながら我が子と適切に向き合えていない可能性も否定できません。

仰るとおり「親を育てる」という社会課題も見え隠れする中で、大切なのは「1人で抱え込まない」→「気軽に相談できる場所を作る」→「子どもの障害を両親のせいにする方(親戚など)が周りにいたら、自分は親御さんの味方になる」などがすぐできる対策として思い浮かびます。

支援者側も1人で抱え込まないようにするためには、小さな異変に気付き、専門機関と繋がっておくことも大切かもしれませんね!

いただいたサポートは全国の学校を巡る旅費や交通費、『Try chance!』として行っている参加型講演会イベント【Ryo室空間】に出演してくれたゲストさんへの謝礼として大切に使わせていただきます。