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Ep.010: ヘビ顏のおんな-ニューヨークの追憶

 私は人相学はやらないが、世の中には、様々な顔があり、それぞれに個性がある。タヌキ顏、キツネ顏、ネコ顏、イヌ顏、サカナ顏。

トリ顏は見たことないが、どこかにいるんだろう。

その中でも私はヘビ顏がとりわけ好きである。あの大きくアーモンドのような目でひとたび睨まれたら、カエルのように力が抜けて動けなくなってしまう。

手足が長く、首も長い、たぶん舌も長い。彼女らの一挙一動を見ているだけで、私は細目になり、心地よい時間が過ごせる。

彼女たちは少し破滅に向かって生きているような気もする。

もっとも、彼女たちを好きな私の方が、その傾向にあるのかもしれない。

 何か生き急いでいるような人生で、精神安定剤や薬物を服用しており、ハイになったりローになったり、普段は洞窟で寝ているが、太陽の下に一度出てくると、縦横無尽に動き回っている。

 定期的に開かれているパーティ会場にて、ヘビ顏のおんなに遭遇した。私は以前に彼女を見たことがあり、何度か挨拶もしただろう。彼女と目があって、私は笑顔を返した。すると彼女は長い手足をゆっくり動かしながらコチラを見据え、近づいてきた。目の奥にチラチラと青白い炎が見えた。

「私達会ったことあるよね?見覚えはあるんだけど。
私このイベントにいる時は大体ハイだから記憶が薄くて。
今日はまだ何もいれてないから大丈夫。
あなた名前は?」と私に尋ねた。

そこから私と彼女の交流は始まった。

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