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ブレイブ・ハート

メルギブソン監督、主演の「ブレイブ・ハート」は1995年の作品。私は当時11歳、弟は9歳、妹は6歳。記憶に残りそうな年齢ではある。





この「ブレイブ・ハート」に関しては母としても特別な思い入れがあるはずだ…それはまた別の機会で語るとして、

過去記事「スタンディングオベーション」より

スコットランド独立のために戦った実在の人物、ウィリアムウォレスの生涯を描いた歴史スペクタクル映画。




1996年のアカデミー作品賞受賞の傑作である。




主人公ウィリアムウォレスを演じたメルギブソンの尋常じゃなく青い目。

全編を通してバグパイプがこだまする、ケルト音楽をベースとしたサウンド。そしてウィリアムウォレスの壮絶な生き様と死に様…




約30年前の作品だが、当時11歳の私にとっても印象的な作品だ。



この作品が公開されたのは1995年の10月14日。今でこそアカデミー賞作品だが、公開時はまだノミネートもされてはいない。
(翌1996年の1月ノミネート、3月に授賞)



私の住む町にあった今は無き映画館も、この素晴らしい作品を公開……という気配は一切なく、当然のごとくスルーするところであった。




というのもスクリーン4つのド田舎映画館ではスクリーン1で東映アニメや特撮ヒーローもののいわゆる子どもと家族向け映画。




スクリーン2で邦画。スクリーン3で人気作品の吹き替え版。スクリーン4で話題の字幕版。というのが通年のラインナップだった記憶がある。




公開されるとしたらスクリーン4の話題の字幕版カテゴリーになるのだが、この〈話題〉の基準となるにはアーノルドシュワちゃんやセガール辺りの90年代アクションスターたち主演のヒットが約束されたアクション作品や続編モノ。



あるいは全国公開されて3ヶ月から半年経ってある程度ヒットしてきた実績のあるヒット作品…という超守りの公開戦略の映画館であった。




そのためアカデミー賞のアの字もない段階、全国公開後の実績も不明の状態で「ブレイブ・ハート」の公開は望むべくもなかった。





そもそもである。今でこそこうして過去を振り返り、検索して情報を容易にまとめてはいるが1995年当時はインターネットがなかった。




ド田舎の小さな映画館の〈話題〉の基準が全国公開後の実績とならざるを得ないのは致し方なかったのだろう。






しかし「ブレイブ・ハート」に限っては全国公開とほぼ同時期、アカデミー賞のアの字もない段階で公開された。





一体なぜか??




ここに冒頭の過去記事「スタンディングオベーション」の引用、

この「ブレイブ・ハート」に関しては母としても特別な思い入れがあるはずだ…それはまた別の機会で語るとして、

のネタがある。




どこでどう情報を仕入れたのか母はこの「ブレイブ・ハート」をどうしても観たい!と思い、映画館に電話で直談判。




この作品だけは絶対公開しなければならない!勢いで訴えたのである。




もちろん映画館が公開に至った経緯がその甲斐あってのことだけとは限らないだろう。



しかしいつもは超守りの公開戦略の映画館が公開したのは異例とも言っていいと思う。



その決断にどうしても観たい!という超攻め行動力の母の直談判が一枚噛んでいたとしても不思議ではないのではないだろうか?




結果として「ブレイブ・ハート」はアカデミー作品賞他、5部門受賞となった。



もちろん母にとっても、自らの武勇伝として後年語り草にはなるのだが、いかんせん家族間での内輪ネタにしかならなかったこの話を、noteを介して全世界に公開することになることは母には伝えていない。



もうひとつ「ブレイブ・ハート」のエピソードがある。



この作品にもっとも影響を受けたのは弟であった。



「ブレイブ・ハート」が強く訴えかける自由、革命、戦いといったメッセージに影響を受けた弟はその後、「マルコムX」「アメリカンヒストリーX」「ブラック・パンサー」と近代アメリカの自由、革命、戦いを謳った作品群にハマり、




自由と革命、戦いの象徴チェ・ゲバラの分厚い書籍を読みきり、その後は中世ヨーロッパの「ジャンヌ・ダルク」や同じくメルギブソン監督の「パッション」



ジャンルは違うが「エクソシスト」と宗教にも興味を持ち、またしても宗教関連の分厚い書籍を読みきっていた。



このままだと過激派や思想家になりそうなものだ。



だが弟は絵画やオブジェを制作するアーティストとなった。




恐らく彼の作品の根っこには、当時9歳のときに母が呼び寄せ、映画館で観せた「ブレイブ・ハート」が強く影響している。


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