シェア
Y
2021年7月22日 11:05
「僕、実は鯨なんです」 最近よく顔を見るようになった男はそう言った。私が働いている定食屋でいつも唐揚げ定食を食べている。27歳の私と歳の近そうな男だ。「わざわざ大海原から遥々いつもありがとうございます」「いえ、海と比べたら陸なんて大した広さではないので」「それでも泳ぐよりは遠いでしょう」「この2本足というのが面倒で」「いつもはヒレですもんね」「そうではなくて、4本あるんだったら4本使
2022年2月27日 11:41
まるで 違う生き物のようにうつくしい言葉を使う あの人も同じように iPhoneの画面をなぞるそれは 鳥が鳴くのと 同じでからすも うぐいすも みな鳥ののどを使って同じ空気をふるわせ さえずる僕は からす色のiPhoneであの人は うぐいす色のiPhoneあ、春だ
2021年11月6日 22:03
まだ誰も焼いていない火葬場にまだ誰も焼いていない火葬場の人がまだ誰も焼いていないのにもう誰か焼いたような扉してもう誰か焼いたような顔した人が初めて誰かを運びいれて火葬場は初めて人を焼くもう誰か焼いた火葬場もう誰か焼いた人火葬場は誰かを焼いて火葬場になって火葬場の人は誰かを焼いて火葬場の職員になるまだ誰も焼かれていない火葬場がそこにある真新しい 火葬場が