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英語の文章がイタリックで書いてあったら?

 英語の文章を読んでいると、所々で、イタリック(斜めっぽい字体)で書かれている箇所がある。

 例えば、『フレームワークで考える内科診断』の中には、イタリックで

Alcoholic hepatitis is usually classified as a cause of hepatocellular liver injury, but it can be cholestatic in some cases.

 という文章がアルコール性肝炎の説明文の中に登場する(NOTEの仕様ではイタリックにならないようです。すみません)。

 翻訳家の越前敏弥さんの『翻訳百景』によると、英文でイタリックが使われる理由は、

1.固有名詞の場合
2.強調したい場合
3.ひとりごとや回想などの場合
4.ほかの位相と違う、特徴的な語りや描写が挿入されている場合

なのだそうだ。越前さんは文芸書の翻訳をされているが、私の場合は専門書なので、3とか4になることはまずなく(医学書で回想シーンがでてくることはまずない)、1か2である。上に上げた例は2の強調したい文ということになる。

 翻訳したときの表現の仕方として、日本語のフォントでイタリックはあまり見やすくない。というわけで、傍点を打ったり、下線をひいたり、強調文字にするという方法がとられる。傍点は、村上春樹氏の小説のように効果的に使えるのならともかく、やたらと使うとうるさく見えて、英文での強調の程度を越えているように感じる。というわけで、下線を引くか、書体を変えるというのが現実的な解決となる。『フレームワークで考える内科診断』では、書体を変える方を採ることになった。