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施行すべきか?

医学的な日本語を読んでいると、「施行する」という表現がやたらと多いように見える。

CTを施行する
ニカルジピンの静注投与を施行する
直腸診を施行する

などなど

「撮影する」とか「投与する」とか、もっと簡単に「する」とかでイイんじゃないの?と感じないこともない。

しかも、読み方に「しこう」派と「せこう」派があるらしい。「せこう」と聞くと「施工」っぽくて工事現場っぽい響きなのだが。

ところで、 医学以外の一般の日本語では「施行」にはどのような意味が在るのだろうか?辞書好きなので、さっそく調べてみる。

『精選版 日本国語大辞典』では、「施行」の意味として

①ほどこし行うこと。政策などを実行すること。
②公布された法令の効力を現実に発生させること。

となっている。

『大辞林』では、

①公布された法令の効力を発生させること。
②実際に行うこと。

の2つを示している。『新明解国語辞典』も同じであった。

どう考えても、法令とは関係なさそうなので、もう一つの「行う」の方なのだろうが、「行う」と言ってはいけないのか、と悩ましい。ちなみに、先の「せこう」読みは法律業界の読み方なのだとか。『フレームワークで考える内科診断』では、シンプルさを重視して基本的に「施行」は使わないように監訳を施行した。

医学領域以外でも「施行」はよく使われているのだろうか?